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9章
元魔王様と暗躍する謎の集団 7
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「目的はなんだ?」
「私は偶然寄っただけですから、このまま撤退するだけですよ。」
このままジルの近くにいたらいずれ陣形魔法の効果が切れて殺されてしまう。
「工作員は別か。」
フードの男の言葉が真実かは分からないが、本当だとすれば工作員が他にいると言う事になる。
「おやおや、そこまで知られているとは。巫女の力は素晴らしいですね。」
フードの男がパチパチと手を叩きながら言う。
どうやらキクナのスキルもバレている様だ。
「巫女狙いか?」
未来の出来事を予知するスキルは有用だ。
使い道は幾らでも考えられる。
「半分正解とだけ申しておきましょう。おっといけませんね、イレギュラーの足止めに成功して気分が良い様です。口が軽くていけませんね。」
どうやら話しに付き合っているのはフードの男による時間稼ぎの様だ。
スキルや魔法道具が使えるとなれば、陣形魔法を解除出来る可能性もある。
それをされるとせっかく用意した陣形魔法による足止めが無駄になってしまうので、少しの間しっかり留められているか監視したいのだろう。
「そのまま話していてくれていいんだがな。」
陣形魔法の効果が切れれば、捕縛など考えずに瞬時に殺す準備は出来ている。
情報は得られないが他に工作員がいるのならば、そちらを捕縛すれば問題無い。
「ここで殺される訳にはいきませんよ、こう見えて多忙なんですから。そろそろいいでしょう、それでは全てが終わるその時まで漆黒の空間をお楽しみ下さい。」
そう言ってジルには見えないがフードの男が一礼してこの場を去る。
通路に足音が向かっていき魔力も感じられなくなった。
遠い通路の先の外から戦闘音だけが微かに聞こえてくる。
鬼人族とオーガが戦っている音だろう。
「やれやれ、誰か知らんがやってくれたな。」
情けなく立ち尽くすしかないジルが溜め息と共に呟く。
魔王の頃ならば簡単に解除出来た魔法でも、今はなす術が無い状況だ。
「しかしスキルが封印されなかったのは僥倖と言える。」
ジルは魔王時代の頃から、その圧倒的な魔力量と多くの魔法適正から、世界一の魔法使いや化け物とよく言われてきた。
なのであまり注目される事が無かったが、実は魔法に劣らずスキルののうも規格外なのだった。
言わば魔法に隠れた縁の下の力持ちである。
スキルは魔法に比べて戦闘面での力は落ちるが戦えない訳でも無く、汎用性で言えば魔法を上回るとさえ言えた。
「スキルを封印しなかった事を後悔するがいい。」
ジルは敵の企みを潰す為に無限倉庫のスキルを使い、封印項目にあった二つの大きな物体を取り出す。
前にシキが無限倉庫内にある物の仕分けをした際に、危険や過剰技術を理由に封印判断された物だ。
それは人の形を精巧に模してつくられているが人ならざる物である。
この世界では発展途上と言える技術、機械である。
これは魔王時代に孤独となってから作った魔法道具、所謂ゴーレムに分類される物だ。
自分を殺せる手段を探している時に作った、多用性型機械人形である。
結局失敗に終わったので、メイドの様な手伝いや雑用を任せる事が主となった事もあり、メイド服を着させている。
『タイプB、タイプC起動しろ!』
ジルの言霊のスキルによって名前を呼ばれたゴーレム達の目に光りが灯る。
ジルの魔力を糧として言霊のスキルによってしか起動させられないジル専用のゴーレムなのだ。
「「マスター、ご指示を。」」
機械で作られたとは思えない程の滑らかな動作や表情をしながら、メイドゴーレム達はジルの前に跪きながら口を揃えて言う。
ジルには見えていないが、そんな事はメイドゴーレム達にとっては些細な事だ。
自分達の全てはジルの為にあり、ジルの命令を遂行する事だけが全てなのだ。
「タイプB、洞窟の外にいる奴らの殲滅を頼む。精霊のシキ、スライムのライム、種族名鬼人族は保護対象だ。」
見えないまま片方のメイドゴーレムにジルが指示を出す。
タイプBと呼ばれた個体の別名は、近接戦闘型機械人形である。
身動きの取れない自分の代わりに外の戦闘を任せる事にした。
「命令を受諾しました。直ちに実行します。」
タイプBはそう言うと直ぐに通路に向かって進んで行った。
「これで外はなんとかなるだろう。配下に任せて座して待つのも久々だな。」
メイドゴーレム達は魔法道具ではあるが、ジルの中ではかつての配下達と変わらない。
自分の為に尽くしてくれる存在なので、道具の様な扱いはしないのだ。
「タイプC、我に掛けられた魔法を解いてくれ。」
タイプCと呼ばれた個体の別名は、解析兼支援型機械人形である。
ジルの持つ万能鑑定のスキル程高性能では無いが、調べる事に特化した機能と支援用魔法道具が多数取り付けられている。
なのでジルに掛けられた陣形魔法の解除も可能だ。
「命令を受諾しました。魔法の解析を始めます。」
タイプCはジルの魔法を解除する為に解析の作業に入る。
これで現状における最善手は打てただろうと、後はメイドゴーレム達に任せるジルだった。
「私は偶然寄っただけですから、このまま撤退するだけですよ。」
このままジルの近くにいたらいずれ陣形魔法の効果が切れて殺されてしまう。
「工作員は別か。」
フードの男の言葉が真実かは分からないが、本当だとすれば工作員が他にいると言う事になる。
「おやおや、そこまで知られているとは。巫女の力は素晴らしいですね。」
フードの男がパチパチと手を叩きながら言う。
どうやらキクナのスキルもバレている様だ。
「巫女狙いか?」
未来の出来事を予知するスキルは有用だ。
使い道は幾らでも考えられる。
「半分正解とだけ申しておきましょう。おっといけませんね、イレギュラーの足止めに成功して気分が良い様です。口が軽くていけませんね。」
どうやら話しに付き合っているのはフードの男による時間稼ぎの様だ。
スキルや魔法道具が使えるとなれば、陣形魔法を解除出来る可能性もある。
それをされるとせっかく用意した陣形魔法による足止めが無駄になってしまうので、少しの間しっかり留められているか監視したいのだろう。
「そのまま話していてくれていいんだがな。」
陣形魔法の効果が切れれば、捕縛など考えずに瞬時に殺す準備は出来ている。
情報は得られないが他に工作員がいるのならば、そちらを捕縛すれば問題無い。
「ここで殺される訳にはいきませんよ、こう見えて多忙なんですから。そろそろいいでしょう、それでは全てが終わるその時まで漆黒の空間をお楽しみ下さい。」
そう言ってジルには見えないがフードの男が一礼してこの場を去る。
通路に足音が向かっていき魔力も感じられなくなった。
遠い通路の先の外から戦闘音だけが微かに聞こえてくる。
鬼人族とオーガが戦っている音だろう。
「やれやれ、誰か知らんがやってくれたな。」
情けなく立ち尽くすしかないジルが溜め息と共に呟く。
魔王の頃ならば簡単に解除出来た魔法でも、今はなす術が無い状況だ。
「しかしスキルが封印されなかったのは僥倖と言える。」
ジルは魔王時代の頃から、その圧倒的な魔力量と多くの魔法適正から、世界一の魔法使いや化け物とよく言われてきた。
なのであまり注目される事が無かったが、実は魔法に劣らずスキルののうも規格外なのだった。
言わば魔法に隠れた縁の下の力持ちである。
スキルは魔法に比べて戦闘面での力は落ちるが戦えない訳でも無く、汎用性で言えば魔法を上回るとさえ言えた。
「スキルを封印しなかった事を後悔するがいい。」
ジルは敵の企みを潰す為に無限倉庫のスキルを使い、封印項目にあった二つの大きな物体を取り出す。
前にシキが無限倉庫内にある物の仕分けをした際に、危険や過剰技術を理由に封印判断された物だ。
それは人の形を精巧に模してつくられているが人ならざる物である。
この世界では発展途上と言える技術、機械である。
これは魔王時代に孤独となってから作った魔法道具、所謂ゴーレムに分類される物だ。
自分を殺せる手段を探している時に作った、多用性型機械人形である。
結局失敗に終わったので、メイドの様な手伝いや雑用を任せる事が主となった事もあり、メイド服を着させている。
『タイプB、タイプC起動しろ!』
ジルの言霊のスキルによって名前を呼ばれたゴーレム達の目に光りが灯る。
ジルの魔力を糧として言霊のスキルによってしか起動させられないジル専用のゴーレムなのだ。
「「マスター、ご指示を。」」
機械で作られたとは思えない程の滑らかな動作や表情をしながら、メイドゴーレム達はジルの前に跪きながら口を揃えて言う。
ジルには見えていないが、そんな事はメイドゴーレム達にとっては些細な事だ。
自分達の全てはジルの為にあり、ジルの命令を遂行する事だけが全てなのだ。
「タイプB、洞窟の外にいる奴らの殲滅を頼む。精霊のシキ、スライムのライム、種族名鬼人族は保護対象だ。」
見えないまま片方のメイドゴーレムにジルが指示を出す。
タイプBと呼ばれた個体の別名は、近接戦闘型機械人形である。
身動きの取れない自分の代わりに外の戦闘を任せる事にした。
「命令を受諾しました。直ちに実行します。」
タイプBはそう言うと直ぐに通路に向かって進んで行った。
「これで外はなんとかなるだろう。配下に任せて座して待つのも久々だな。」
メイドゴーレム達は魔法道具ではあるが、ジルの中ではかつての配下達と変わらない。
自分の為に尽くしてくれる存在なので、道具の様な扱いはしないのだ。
「タイプC、我に掛けられた魔法を解いてくれ。」
タイプCと呼ばれた個体の別名は、解析兼支援型機械人形である。
ジルの持つ万能鑑定のスキル程高性能では無いが、調べる事に特化した機能と支援用魔法道具が多数取り付けられている。
なのでジルに掛けられた陣形魔法の解除も可能だ。
「命令を受諾しました。魔法の解析を始めます。」
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