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隣国エテルカールトン

聖都(6)

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 なーんか!悔しいんだよね!
 何だろ?いい表現が無いんだけど、絶対いいもの作ってるって自信はあるのに信じられてないみたいな感じ!
 度肝抜きたい、と言うか!驚かせたい!見返したい!みたいな気持ちがどんどん溢れてくる!

 この感じ、オクタヴィアン侯爵と戦ったあの時に似てる!
 でも、あの時と違って全然いい案が思い浮かばない。皆んなが度肝抜くってなると、尚更難しい。
 1日一件しか認められないなら、ただ認められるだけでも凄いんだろうけども、そんなんじゃ足りない、って言うか…度肝は抜かせられない!

『だから言ってんだろ!そんな凄いもんじゃないと!』

 ピーピーうるさいウンディーネを黙らせるために私は皆んなと別れて部屋に飛び込む。

「ウンディーネ!何度も言ってるけど!周りにウンディーネの姿が見えないのに喋ってたら頭のおかしい子に見えるの!」

『何を言っておる。お前は既に頭がおかしいだろ』

 ぷっちーん。
 もう、マジで一生無視してやる。
 あと、もうシードルも作りません。

「なぁ~」

「ノアの分のワインはちゃんと作るからね?」

『むむ、どういう意味だ。我の分を作らないと言っているように聞こえるぞ」

「…」

『おい!』

「なぁ~」

『そんなのは知らん!我はお前と契約しているんだ!違反は許さん!』

「じゃあ、解除で。どうせならドラゴンと契約しようかな」

『何だと!?』

「ノアさん、相談なんだけども。私どうしたらいいと思う?」

「なぁ~」

『猫に頼らず、我の話を聞け!』

ん、んんん、んんんえ、なんで、くちが!」

 突然、口が縫われたかのように開かなくなり、言葉を発することができない。

『…何度も言ってるが、あれはそんな大層な物じゃない。我と同じような存在が気に入った物を持って行っていると思っていい』

んんんん、んん同じって、精霊?」

『まぁ、そんなところだ。おそらく、お前の作った奴を他のやつが先に渡したのだろうな』

んっんんんんんんんんんんんんんん?」作った本人じゃなくてもお供え出来るの?

『だから言ったであろう。そんな精巧なものじゃないと』

 なるほど…。
 誰かが私が作った魔法鞄やアクセサリーを既にお供えしてしまっていたから、二度目である今回は受け入れられなかったってことなのか。

 あれ?でも、何にも問題解決してないよ。
 だって一度お供えしてしまったら同じ物は…

『お前なら出来るだろう?今のよりほんの少しだけ性能を上げる事ぐらい。お前もそう思うよな?』

?」

 ウンディーネが視線を向ける方へ振り返ると、私の部屋の扉が勝手に開いていて、そこにはフィオさんがいた。

「ただ、そのまま持っていっても邪魔されるでしょう」

んんんんどうして?」

「恐らく、リザが作った物を教会関係者が先んじてお供えをしたと考えてる」

 え?何で教会関係者が?そうする事で何か彼らに利点があるの?

「とにかく、今回は別の物をお供えしましょう。手っ取り早いのはお酒とかですが…」

んーんん、んんんんんっんんんんんんん今回はそんなに持ってきてないです

『なんでも良いんだろ?それならいつもアイツらに作ってるみたいに適当食べ物でも作っとけ』

「…アイツらに作ってる?」

ん?んんんんんんんんんん…?二人会話できてる…?

『此奴マーサに比べるとまだまだだが、見込みはあるぞ』

「精霊様に認知して頂けただけでなく、お褒め頂けるとはとても光栄です。…それでアイツらとは誰のことでしょう?」

『キャスパリーグが気に入ってるデカイ男がいただろ。あれとか…ん?お前、あのジジィと似た匂いがするな』

「彼とは親子ですので」

『ほう。ならば奴も見えているのであろうな。うむ、こんなにいては我の威厳が…」

「他に見えている者はいないかと」

「んんんっ!!…っぷは!しゃべれる!」

『んんんんん、うるさくて堪らん』

 面倒なのでお前がやったんだろ、とは言わずにフィオさんに向き直る。

「ここにない料理で私が作れる物探せば良いんだよね!」

 それなら直ぐに出来る!ギャフンって言わせてやるんだから!


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