220 / 244
隣国エテルカールトン
聖都(6)
しおりを挟むなーんか!悔しいんだよね!
何だろ?いい表現が無いんだけど、絶対いいもの作ってるって自信はあるのに信じられてないみたいな感じ!
度肝抜きたい、と言うか!驚かせたい!見返したい!みたいな気持ちがどんどん溢れてくる!
この感じ、オクタヴィアン侯爵と戦ったあの時に似てる!
でも、あの時と違って全然いい案が思い浮かばない。皆んなが度肝抜くってなると、尚更難しい。
1日一件しか認められないなら、ただ認められるだけでも凄いんだろうけども、そんなんじゃ足りない、って言うか…度肝は抜かせられない!
『だから言ってんだろ!そんな凄いもんじゃないと!』
ピーピーうるさいウンディーネを黙らせるために私は皆んなと別れて部屋に飛び込む。
「ウンディーネ!何度も言ってるけど!周りにウンディーネの姿が見えないのに喋ってたら頭のおかしい子に見えるの!」
『何を言っておる。お前は既に頭がおかしいだろ』
ぷっちーん。
もう、マジで一生無視してやる。
あと、もうシードルも作りません。
「なぁ~」
「ノアの分のワインはちゃんと作るからね?」
『むむ、どういう意味だ。我の分を作らないと言っているように聞こえるぞ」
「…」
『おい!』
「なぁ~」
『そんなのは知らん!我はお前と契約しているんだ!違反は許さん!』
「じゃあ、解除で。どうせならドラゴンと契約しようかな」
『何だと!?』
「ノアさん、相談なんだけども。私どうしたらいいと思う?」
「なぁ~」
『猫に頼らず、我の話を聞け!』
「ん、んんん、んんん!」
突然、口が縫われたかのように開かなくなり、言葉を発することができない。
『…何度も言ってるが、あれはそんな大層な物じゃない。我と同じような存在が気に入った物を持って行っていると思っていい』
「んんんん、んん?」
『まぁ、そんなところだ。おそらく、お前の作った奴を他のやつが先に渡したのだろうな』
「んっんんんんんんんんんんんんんん?」
『だから言ったであろう。そんな精巧なものじゃないと』
なるほど…。
誰かが私が作った魔法鞄やアクセサリーを既にお供えしてしまっていたから、二度目である今回は受け入れられなかったってことなのか。
あれ?でも、何にも問題解決してないよ。
だって一度お供えしてしまったら同じ物は…
『お前なら出来るだろう?今のよりほんの少しだけ性能を上げる事ぐらい。お前もそう思うよな?』
「ん?」
ウンディーネが視線を向ける方へ振り返ると、私の部屋の扉が勝手に開いていて、そこにはフィオさんがいた。
「ただ、そのまま持っていっても邪魔されるでしょう」
「んんんん?」
「恐らく、リザが作った物を教会関係者が先んじてお供えをしたと考えてる」
え?何で教会関係者が?そうする事で何か彼らに利点があるの?
「とにかく、今回は別の物をお供えしましょう。手っ取り早いのはお酒とかですが…」
「んーんん、んんんんんっんんんんんんん」
『なんでも良いんだろ?それならいつもアイツらに作ってるみたいに適当食べ物でも作っとけ』
「…アイツらに作ってる?」
「ん?んんんんんんんんんん…?」
『此奴マーサに比べるとまだまだだが、見込みはあるぞ』
「精霊様に認知して頂けただけでなく、お褒め頂けるとはとても光栄です。…それでアイツらとは誰のことでしょう?」
『キャスパリーグが気に入ってるデカイ男がいただろ。あれとか…ん?お前、あのジジィと似た匂いがするな』
「彼とは親子ですので」
『ほう。ならば奴も見えているのであろうな。うむ、こんなにいては我の威厳が…」
「他に見えている者はいないかと」
「んんんっ!!…っぷは!しゃべれる!」
『んんんんん、うるさくて堪らん』
面倒なのでお前がやったんだろ、とは言わずにフィオさんに向き直る。
「ここにない料理で私が作れる物探せば良いんだよね!」
それなら直ぐに出来る!ギャフンって言わせてやるんだから!
2
お気に入りに追加
884
あなたにおすすめの小説
神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。
SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。
サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」
異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。気長に待っててください。月2くらいで更新したいとは思ってます。
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
隠密スキルでコレクター道まっしぐら
たまき 藍
ファンタジー
没落寸前の貴族に生まれた少女は、世にも珍しい”見抜く眼”を持っていた。
その希少性から隠し、閉じ込められて5つまで育つが、いよいよ家計が苦しくなり、人買いに売られてしまう。
しかし道中、隊商は強力な魔物に襲われ壊滅。少女だけが生き残った。
奇しくも自由を手にした少女は、姿を隠すため、魔物はびこる森へと駆け出した。
これはそんな彼女が森に入って10年後、サバイバル生活の中で隠密スキルを極め、立派な素材コレクターに成長してからのお話。
異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど!〜
はくまい
ファンタジー
ひょんなことから異世界へと転生した少女、江西奏は、全く知らない場所で目が覚めた。
目の前には小さなお家と、周囲には森が広がっている。
家の中には一通の手紙。そこにはこの世界を救ってほしいということが書かれていた。
この世界は十人の魔女によって支配されていて、奏は最後に召喚されたのだが、宛先に奏の名前ではなく、別の人の名前が書かれていて……。
「人違いじゃないかー!」
……奏の叫びももう神には届かない。
家の外、柵の向こう側では聞いたこともないような獣の叫ぶ声も響く世界。
戻る手だてもないまま、奏はこの家の中で使えそうなものを探していく。
植物に愛された奏の異世界新生活が、始まろうとしていた。
器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。
武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。
人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】
前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。
そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。
そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。
様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。
村を出て冒険者となったその先は…。
※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。
よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる