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隣国エテルカールトン

ダンジョンの主人(3)

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「ウンディーネ、此処も攻略が進まないと管理が難しいんでしょ?」

『此奴は我よりもあほうだからな』

 ———ほう?

『管理など殆どしておらん。見たであろう?このダンジョンのてきとうさを。管理して居ればこんなへんちくりんなダンジョンになるものか』

 ———へんちくりんだと!一体此処の何処らへんがへんちくりんなのだ!

「ダンジョンは自由に作れるって事?」

『そうだ。我の作りし素敵な城を見てお主も感動しておっただろう?』

「此処もすごく綺麗だったよ?」

 ———おぉ!分かるか!我のように美しいマグマにより生み出されしこの地の素晴らしさを!ただの小娘だと思うておったがなかなか見込みのある奴のようだ

「ありがとうございます」

 ———我のペットにしてやる 有り難く思え

「…またペットですか」

 んー、どうにかならないかなぁ?
 と言うか怒ってるのってウンディーネ達が入って来たからだよね?私達を食べるとか可笑しな話しだよね?

 それに二人の話の内容だんだんどうでも良いことばかりになってるし、此処にウンディーネを置いて行っても良いじゃない?

 ———何を言っている ダメに決まっておるだろう

「え?」

 ———惚けるでない ダメなものはダメだ

「何で…?」

 ———頭に直接話しかけておるのだ、頭で考えている事は全て我にも聞こえておる 他の者達は我の神々しい声は聞こえてはいるが言葉を理解しておらん

 うわぁ、これはまた厄介な。
 おっと、これも聞かれてるのか。

 ———此処が今どう言う状況にあるのか知りたいのではなかったのか?

 まぁ、そうですけど。

 ———ならば 我のペットになれば良い

 それは困るんですよね。

 ———何だと?ウンディーネの事は気にせずとも良い 今直ぐに大地に返してやる

『出来もしないことを口にするべきではないぞ」

 大地に…って、ぅん…。はぁ、じゃあもう此処には冒険者はこなくて良いんですね。攻略が進まなくなっても良いんですね。

 ———むむ それは困る

「じゃあ、こうしましょう。今回ドラゴンさんのお城に無断で入ってしまったお詫びに私達を食べたり、養分にする以外の事で出来ること何でも一つだけ叶えます」

 ———うむ 今回だけだぞ

「それは約束できません。帰りも通らないと行けないので」

 ———むむ それも容認しろと言うのか?

「では、二つにしましょう」

 ———仕方があるまい 2度目はないぞ

「もし、また来たい場合はどうしたら?」

 ———…我に会いたいのか?

「もしです、もーしー!」

 ———うむ、会いたいのなら仕方がない また来い 話し相手くらいにはしてやる その時も同じ条件にしてやろう

 何だよ、ツンデレのぼっちちゃんか。

 ———何じゃ?面妖な言葉を使いおって

「と言う事になりました?」

「りざ、随分と強気だな…?」

「大丈夫かにゃ?」

「あ…えっと~、大丈夫です!」

 ノアとウンディーネのせいで感覚がおかしくなってたけど、相手はダンジョンの主人でドラゴンで私達を食べるとか言ってたんだった…。
 本当怖いもの知らずだったわ。
 まぁ、でも仕方がないのかなぁ?ダンジョンの主人は100階層にいるから常に孤独なのかも。

 その後、ドラゴンのお願い事は帰りに聞く事を約束して、お別れした。
 逃げるのではないか、と散々粘られて、念押しされたけど、何とかご納得頂いて私達は坑道を抜けた。

 坑道を抜けた先は小高い山の中腹辺りだったようで、ユーグルタ領のダルクを一望出来た。
 ダルクもフローネに負けず劣らずの綺麗な街並みで、さっきまで危機的状況だったのが嘘のように穏やかな景色が広がっていた。

 実際の街中は思った通りではあったが、見た感じフローネよりも巨人族やドワーフ族が多く感じる。

「今日はここで一泊するから自由にしていいぞ」

「リザ、何処か見に行く?」

「うん、そうしようかな」

「この辺は鉱山に囲まれていて資源が豊富で昔から金属加工が有名で店もその手の店が多いよ。お勧めはあそこかな」

「フィオさん、詳しいね」

「そうかも。フローネからも近いってのもあるけど、ダンジョンで繋がっているからフローネとダルクの行き来に関しては昔から国境審査が免除になってるんだ。その代わりお互いの街の入り口では入念な審査をすると条約を結んでいて、問題があった時はどちらの門から入ってきたかで処罰を決めてるんだよ。ほら、アークはあれで領主だから」

 アークさんに帯同して何度も来てるってことかな?国によって刑って違うからそうやって上手くお付き合いしてるってことなんだろう。
 


 

 
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