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隣国エテルカールトン
毛布とマフラーとダウンジャケットと
しおりを挟むそれから寝袋は多少の改良は必要ながら商人などにはそのまま売れると言う事で話し合いは一時保留となり
、エルフィンくんの要望もあり新たな保温グッズの制作を進める事になった。
一つ目は毛布。
「こんな感じで織っていって……このように傷をつけて起毛させます。それを綺麗に切り揃えて…。それが毛布です。ただ、今使っている毛糸はゴワゴワしている割に柔らかすぎて毛布として使うには起毛がすぐに潰れてしまいそうなんです」
「潰れてはいけないのですか?」
「本当はもう少し毛足を長くしたいのです。毛足が長ければ長いほど保温性が高くなりますから。それにもう少し縮れが強い方がいいです。起毛させた時により空気を取り込みやすい物がより好ましいです」
この世界にも毛糸は存在している。
高原ダンジョンと呼ばれる広い牧草地帯のようなダンジョンがあり、そこに出てくるメェーメェーと鳴くことでお馴染みモコモコとした毛を持つ羊型の魔物メドウシープから取れる羊毛で作られている。
だけど、せっかく作るなら機能性の高いものにしたい。科学繊維に慣れた私にはメドウシープの毛糸では少し物足りなくかんじる。
「そうなると…見たことはありませんが、可能性としては高原ダンジョンの45階層に出るエリアボスであるエレメントシープやソーロのきのこダンジョンの45階層のエリアボススケープシープ、ポーリの辺りの毛を使って毛糸を作ってみるしかないですね」
「そのエレメントシープとスケープシープの毛は手に入りそうですか?」
「私の方で手配致しましょう」
「ルーペリオさん、よろしくお願いします」
「畏まりました」
他の羊型魔物の毛で作る毛糸…。メドウシープの毛糸よりも肌触りももう少し良いと嬉しい。
二つ目はマフラー。
これは自分用がメイン。かぎ針編みも良いけど、私は棒針の方が好き。
手始めに基本的な編み方ガーター編みから。
「流石リザさん。随分と慣れた手つきですね。網目がとても綺麗です」
「…実は編み物は結構得意なんです」
褒められると少し照れる。でも、自分でも編み物は結構自信がある。
お陰でこれはあっという間に完成した。
そうしたら楽しくなってしまって、ついついカノコ編み、ゴム編み、ケーブル編み…、ついでに靴下や帽子、手袋なんかも編み始めて…ついつい作りすぎてしまった。
…マリーちゃんにあげようと思う。
三つ目はダウンジャケット。
この世界では何故かお布団にも羽毛を使うと言う概念が存在していなくて、例のムクムク草ならぬメンカーなどが主体だ。
ふかふかしていてそれに文句があるわけじゃないが、羽毛の暖かさを知る者としては正直勿体無いと思っていた。
だから私はいろんな種類の鳥類の羽を取り寄せてもらい、その中からグースやフェザーに似た羽を見つけて新たな製品として寝袋を作ったのだが、あえなく失敗。
ならば!と思いついたのがダウンジャケット。
ダウンジャケットと言っても従来品のようなものではなく、腕部分は無くしてベスト状にしたインナージャケット型。
ベスト状にして、更に中の羽を保温性の高いものにすれば例え薄くても暖かく、それでいて軽ければ動きやすさも担保できるはず。
「わざわざ刺繍を入れるなんてまた大変なことを…
」
「あ、これは刺繍ではなくてですね、動きによって羽が寄ったりしないようにしてるんです」
「なるほど!流石リザさんです」
これも私が考えたわけじゃないから、こういう時は何だか凄く申し訳ない気持ちになる。
「でも、これだと汚れが心配ですね」
「あ、確かに」
主にダウンジャケットで表地に使われているのは大体ナイロン生地。
ルーペリオさんが取り寄せくれたソーロのきのこダンジョンから取れるテグスは思った通りの素材だったけど、流石にナイロンの生地は存在しないから普通に丈夫な魔物素材で作っていた。
冒険者に売るならやっぱり動きやすさだけじゃなくて快適に過ごせるかも大切だよね。
冒険に使うなら汚れやすいだろうし、破けたり、裂けたりも良くあるだろうし。
「こういう時の《付与》ですよね」
「うん、そうだね」
取り敢えず、《クリーン》はキルティング加工を入れる事で《付与》出来ると思う。それにグースに似た羽毛はルーペリオさん曰く、水鳥の羽だそうで上手くやれば《防水》とか出来るかもしれない。
強度を上げるには何が良いかな…。
本当はカイロとか出来たら良いんだけど。素材とかは分かっているけど流石に技術的に厳しい。
此処は錬金術師の出番かなぁ…?
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