異世界で趣味(ハンドメイド)のお店を開きます!

ree

文字の大きさ
上 下
182 / 244
商会開業

要望

しおりを挟む



「あの、どんな防具がよろしいでしょうか?」

 あれから席を移して、少し落ち着いた雰囲気で今後の打ち合わせをする。
 対面しているのは王女様の『陰』さん達。どんなふうに戦うのか知らない私には何を作ればいいのか分からない。

「どんな…と言うのはどう言うことでしょうか?」

『この娘、勘が悪いなぁ』

「なぁー」

「…」

 ウンディーネはこれがなければとても助かる存在なのに。でも、今回はノアも同意見のようで私は勿論注意することも出来ないので、苦笑いで乗り切るしかない。

「ラルダ、彼女が作る防具は特殊だ。使用者に合わせた形状と効果を付ける」

「…防具に《付与》が…?」

 『陰』の方は全て分かっているようだ。
 淡々とした説明の中に何となくだけど熱を感じる。楽しみにしてくれているのだろうか?

「我々は隠形や隠密がメインです」

「魔法などはお使いに?」

「かなり使います」

「私は高打撃特化の闘い方がメインにしております」

「武器は何でしょう?」

「武器はアックスが多いですが、剣なども使います」

「ラルダは受けとトドメを担当する事が多いです」

 スピード、身軽特化と高火力の一撃必殺持ち。

 まずはデザイン画を仕上げる。
 『陰』の皆さんはショルダータイプに胸当てタイプを組み合わせて斥候やアサシンの人達は比較的防御力が低いので回避率を高める《回避率上昇》《防御力上昇》《自動修復》を施す。
 動きやすさは保ちつつ、更にスピードを上げる為にブーツには《俊足》と疲れを補う《回復》を付けることで回避率に相乗効果を与える。
 そして、彼らの持ち味である隠形、隠密をより活かせるように《気配遮断》《遮音》もつけ、素早い行動を行いやすくする為に《並列思考》を与える魔法石も付けておく。
 
 トレードマークでもある黒装束に合うように革も黒を選び、カシメは光ってしまう可能性があるのでステッチで対応しよう。
 
「こんなもんかな?」

『こんな奴らの為にお前が苦労する必要はないんだがな』

「なぁ~」

「…もう、二人とも…」

 二人のことは無視して、気を取り直してラルダさんの防具のデザイン画も仕上げる。
 ラルダさんは火力特化の重騎士タイプなのでフルアーマータイプの方が良いだろう。ただ、彼女は見た目はかなり細身の女性だから《身体能力強化》《防御力上昇》《硬化》でタンクとしての固さを強化しておき、一撃を更に重くする為に《攻撃力上昇》《腕力上昇》をアーマーに仕込んでおく。足元も踏ん張りが利くように《脚力上昇》《バランス強化》を《付与》。
 隠形や隠密を得意とする『陰』のお三方とのバランスも考えるとラルダさんは重騎士なので敢えて目立つように明るい色の方がいいだろう。
 ラルダさんの髪色も真っ黒だし、白にしたらきっと映える。
 魔法石は攻撃を受け止めた時にダメージが残らないように《衝撃吸収》と《回復》があれば安心出来るだろう。

「こんな感じでどうでしょう?」

「どうって…こんな防具見たことないわ」

「もしつけて欲しいものとかあれば伺いますよ」

「もし可能なら我々は太腿部に暗器用のホルダーがあれば助かる」

「分かりました」

 今の服装の上に防具を着るのなら外套は別で作らないとならなさそう。

「じゃ、じゃあ…私のは武器のアックスを背負えるようにして欲しいです。それと膝当て肘当てがあると嬉しいですね」

「…背負えるようにと膝、肘当て…ですね」

 ならば、足元は膝まで覆えるロングブーツにしよう。動きやすさを保つ為に膝裏は無くして、肘はショルダータイプのように腕ごと覆うように作ろう。

「では、こんな感じで…」

「本当にこんな防具を作れるの…?」

「ラルダ、【白き百合】のヘルマが来ていたあのドレス。あれも彼女が作った防具だ」

「…!あれが…防具なの!?」

「はい、あれば私が作ったもので『ドレスアーマー』と名づけました」

 こんなにも期待してくれると私もやり甲斐があるってものだ。
 この人達が最高にかっこいくみえる防具を作りたい。
 









 





しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

処理中です...