異世界で趣味(ハンドメイド)のお店を開きます!

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商会開業

価格改定

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「お待ちしておりました」

 冒険者ギルドに到着した私達は入り口すぐに待っていた職員さんに案内されて、渡り廊下で繋がっているすぐ隣の建物に案内される。
 この建物は訓練所や酒場などギルド内の福利厚生のような施設が入っている場所でギルド員の為の施設なので外に入り口はない。
 外部の人との取引なんかをする応接室などはもちろん依頼受付などがある本館にあるのだが、ギルさんの執務室は此方の別館の方にある。

「おー、来たか」

「価格改定の件で伺いました」

「待たせてすまなかったな」

「いいえ、大丈夫です」

 私もそれどころじゃなかったのは分かっている。だから、こんなに早く話が出来るとは思っていなかった。

「価格改定とは言ったが、本格的に値段を上げるには国に許可を得る必要がある。だから、認可が降りるまでは常設依頼として出すことにした」

「常設依頼、ですか」

「常設依頼っていうのは薬草採取やスライム討伐などの常に張り出されている依頼の事だ。これなら依頼として受けてなくても問題ないし、買い取り価格も上げれる」

 よくは分からないけど、価格改定するには国の許可が必要で時間もかかる。手っ取り早く価格を上げれる方法がこれなのだろう。

「それで、クズ石だったらなんでも良いのか?」

「はい、なんでも大丈夫です」

「なら、とりあえずグラムの買い取りにするか。そうだな、この袋一つあたり銀貨1枚辺りでどうだ?」

 そう言ってギルさんは掌サイズの巾着袋を懐から取り出す。

「すみません。私には素材の相場がよく分からないので値段は其方にお任せします。…私としては冒険者の方々が少し頑張って集めれば装備を整えられる程度の収入源となれば…」

「フッ、君は本当に欲のない子だ。俺もマーサから話しが出た時に考えたんだが、クズ石は元々は買い取ることすらなかったものだからな。これでもかなり盛らせてもらっているんだ。…そうだな、参考までに銀貨5枚もあれば中古の革装備を全身揃えられる」

「クズ石は道端にも落ちているくらいだし、その程度の装備を整えられれば、余程の無茶をしない限りは大丈夫だろう」

「どうだろうか?」

 ロキさんのフォローも貰って私は大きく頷く。

 取り敢えずはギルド指定袋一袋分に対して銀貨1枚。一旦この金額で様子を見て、更に素材が集まるようならギルさんが値段を調節するという事で話し合いは終了した。
 私達は無事取引を終え、私の1日が終わろうとしていた。


 いつも通りロキさんと何気ない会話をしながら帰路に着く。いつも通りカップラーメンやお酒などの話しをしたり、人が少なくなってきた市場で目新しい物がないか物色していると、時刻は日が落ちかけた夕刻を過ぎ。
 いつもなら夕食の配膳に追われているくらいの時間のはずなのに、宿屋の前で行ったり来たりを繰り返しているフランさんの姿が目に入る。
 私は慌てて駆け寄り声をかける。

「…フランさん。何かあったのですか…?」

「あぁ、リザ。お帰りなさい。実は…まだマリーが帰ってきてなくて…」

 思わず脳裏によぎる先日の事件。
 まだ日が落ち切っていない夕暮れ時ではあるけれど、また…とは考えたくはないが、一度あったのだから可能性がないとは言えない。

「カルロスさんには…?」

「さっき、顔見知りの冒険者に言付けを頼んだところだよ。今日は近所の友達と遊ぶと言っていたから…そろそろ帰ってくるはずさ」

 大丈夫、と言うフランさん。それにしてはかなりそわそわしている。その態度を見れば何か思うところがあるのは明らかだった。

「フランさん…」

「…ごめんなさいね。実は…お昼に帰ってくる予定だったのよ…」

「私、その子の家に行ってみます!」

「ついでにその辺も見てくる」

「…そ、そうね、ちょっと待って。今、地図を書くから」

 本当はフランさんも自分で様子を見に行きたいはずだ。だけど、宿の女将として宿をそのままにも出来ずいたのだろう。

「行ってきます」

「お願いね」

「女将、俺もいるから安心してくれ」

「なぁ~」

「そうね…、マリーをよろしく」

 私はフランさんから受け取った地図を握りしめて、ノアとロキさんと共にマリーちゃんのお友達だという子の家まで小さな不安を抱えながら走り急ぐ。

 何事もありませんように…と心の中で幾度となく唱えながら。






















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