異世界で趣味(ハンドメイド)のお店を開きます!

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商会開業

装備(2)

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「此方の指輪にはご希望の効果の《ドレイン》、それから《回復》《防御力強化・大》がついております」

「《防御力強化》?」

「魔法も物理も関係なくVITを上げてくれます」

「へぇ~、それは面白いね」

「ミャーは《クリティカル上昇》が欲しいにゃ!」

「ミャールさんはピアスとかの方がいいですよね?これなんかどうですか?」

「にゃ?」

「《クリティカル上昇・大》《攻撃力上昇・中》《剛腕》が乗っております」

 それからは皆んなの要望を聞き取りつつ、それにあった物をルーペリオさんと二人で手分けしつつ紹介しては試着してもらい、皆さんはギルドカードで効果を確認していた。
 本当はもっと希望に沿ったオーダーメイドを作りたいけど、今はそんな事を言ってられない状況なのは分かっている。
 気持ちを切り替えるために私はルーペリオさんに向き合う。

「ルーペリオさん、他に冒険に必要なものって…」

「パーティーによって必要なものは違いますから、個人で必要なものを購入して頂いた後に請求してもらう形になります」

「なるほど」

 他に私に出来ることとなると、食事の支援くらい。カップラーメンはお湯を沸かさないと食べれない。状況によってはお湯を沸かせない時もあるだろうから、全面的にとは言えないけどロキさん以外の感想も欲しいので、ついでに渡してみる。

「他に…」

「ねぇ、あれは何?」

「…?どれですか?」

「あの、白いやつのことよ!甘い匂いがするわ」

 うん。これはもしかしたらユシテルさんも甘党さんかもしれない。だって実際には甘い匂いなんてほぼしないよ?
 獣人ミャールさんに言われるならまだしも。

「あれは“アイス”というものです」

「“あいす”…初めて聞く名前ね」

「食べてみますか?」

「…あ、甘いのかしら」

「はい、とっても」

 試食を促すとユシテルさんはほんのりと頬を赤ながら、そわそわしだした。食べたいという気持ちが素直に全面に現れていて本当に可愛い人だ。

「皆様もどうですか?」

「お願いします」

「ミャーも食べたいにゃ!」

「リザ、私も」

「では、私も頂こうかしら」

「僕も少し興味あります」

 女性陣と甘党フィオデナルドさん、ジャムさんは乗り気だが、他の男性陣は少し渋い顔をする。
 確かに甘党のルーペリオさんに合わせたからかなり甘めのバニラアイスになってしまっているから甘いのが苦手な人はダメかもしれない。

「レイさん達はお酒はお好きですか?」

「あ、あぁ。まぁ…」

「僕もお酒なら結構飲むけど」

「なんで俺には聞いてくれないんだよ」

「アークさんは聞かなくても分かってますから」

 そんなに量はないので大きめのスプーンでエルフィンくんお手製のガラス皿にバニラアイスを二盛りくらい乗せて手渡す。

「甘くて…冷たくて……何のこれ…!」

「美味しいにゃ!」

「リザ、さすが、幸せ」

「まぁ!もう無くなってしまいましたわ」

「ぼ、僕も…」

 先に食べ始めた女性陣とジャムさんはアイスの美味しさを口々に表現してくれていて、フィオデナルドさんはルーペリオさんと似たような状態で思わず笑ってしまった。

「お三方には特別に…」

 私は鞄からチャポン、という可愛らしい音を鳴らしながら琥珀色のそれを取り出す。

「…ん?これが酒か?」

「エールじゃないようですね?初めてみるお酒です」

「おぉ!ウイスキーをかけるのか!」

「「「「「ウイスキー?」」」」」

 建国祭でお披露目したウイスキー。【烈火の姫】は調査依頼で煉獄ダンジョンに長く潜っていたから、新しいお酒“ウイスキー”の噂をまだ聞いていなかったのかもしれない。

「まぁ、食べてみてください」

「…やべぇ」

「…これは」

「だろ!?」

「なんでアークが自慢げなのですか」

 フィオデナルドさんのツッコミは聞こえていないかのように満足げにアイスを頬張るアークさんも可愛い。
 アークさん達にはお預けにしてしまっていたから、少し形は違うけど念願の試飲だったのだろう。

「そんなに量はないですが、無事攻略が達成されたらお祝いにご馳走しますよ」

「まじか!?」

「な、何!?そんなに凄いの!?」

「ユシテル、どうせ飲めないんだからお前はやめとけ」

「ユシテルには勿体ないよね~」

「何よ!」

「ふふふ、楽しみが増えましたわ」

「姉さん!姉さんはダメだよ!」

「セーナ、お前はダメだ!」

「絶対にダメ!」

 もしかしてセーナさんは相当な酒乱なのだろうか。
 ジャムさんとレイさん、マルセイユさんの止め方には本当に鬼気迫るような必死さがあった。


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