異世界で趣味(ハンドメイド)のお店を開きます!

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商会開業

職人

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「その後は父に頼み込み、リザさんが持ち込んだ仕事は僕に回して貰えるようにしたんです」

 それからは毎日が楽しかった。新しいものを見るもの、作ることも。

「これからリザさんが欲しいものは全部僕に作らせて欲しいんです」

「それは全然構いませんが…」

「リザさんは分かってません!」

「え~!?」

 作ってくれるのはありがたい。寧ろ頼みたいことだらけだし。でも、エルフィンくんの熱量が高すぎる。

「僕が言っているのは工房に持ち込まれてない物のことです!」

「持ち込まれてないもの?」

「ウイスキーです!!!」

 ウイスキー…?
 いやいや…だってお酒だよ…?
 エルフィンくんはまだ飲めないだろうし…?そもそも何でウイスキーの発案者が私だと知ってるのかな?
 いや、普通に考えたら分かるか。
 モンタナさんに蒸留器を作って貰う為に親方の所に連れて行ったのは私だし。

「僕たちドワーフ族は加工技術への探究心の高さは勿論ですが、何よりもお酒への愛も強いのです!」

「ド、ドワーフ族…?エルフィンくんが?」

「リザおねえちゃん。前にジンジンがドワーフさんだけが作れるひしゅ?っていうのがあるっていってた!」

 ドワーフ族だけが作る秘酒。
 いや、その前にエルフィンくんはドワーフ族って言う種族だったんだ!
 そしてこのパターンはマーサちゃんの時に似てるかも…。

「エルフィンくんはおいくつですか?」

「僕ですか?36になります!」

 わぁ…同じ年だった…。

「そうだ!秘酒が欲しいのでしたら、それもお持ちします!だから僕を弟子にしてください!」

「あの、エルフィンさん…」

「“さん”だなんて!エルフィンで構いません!」

 どうしようか。
 作って欲しい物は沢山ある。エルフィンくんの実力は本物だし、毎回工房にお願いするよりも確かに頼みやすいかもしれない。

「…エルフィンくん」

「はい!」

「弟子ではなくて…工房の仲間としてではダメですか?」

「仲間…?ですか?」

 やっぱり私に弟子入りっていうのはなんか違う気がする。一緒に働く従業員としてなら、エルフィンくんは寧ろ歓迎したくらいの逸材だと思う。

「でも、工房に入る人はみんな弟子で…」

 なるほど、そう言うことなのか。エルフィンくんがこんなにも頑なに弟子入りに拘るのは工房で働く人達はみんな親方の弟子という事になるのだろう。

「私、弟子は取りません」

「そ、そんな!」

「仲間以外受け付けてません」

「じゃあ!エルフィンはリザおねえちゃんのパーティーメンバーってことね!」

「パーティーメンバー…流石、マリーちゃん!弟子じゃなくてパーティーメンバーなら大歓迎です」

「パーティーメンバー…パーティーメンバーになれば…僕はリザさんの工房で働ける…?」

 私はしっかりと頷く。
 マリーちゃんの例えのお陰でとてもわかりやすくなった。一般的には弟子入りするのが当たり前なら意味が分からないのかもしれないけど、冒険者パーティー…金色の獅子や猛き蒼狼の皆んなみたいなあんな関係なら良いかもしれない。

「分かりました!リザさん、僕を仲間にして下さい!」

「はい!よろしくお願いします!」

 私が手を差し出すとエルフィンくんは少し驚いていたけど、直ぐに笑顔で握り返してくれた。

「お話しが纏まったようで何よりです」

「ルーペリオさん!」

 いつから聞いていたのか、突然声を掛けられて思わず声を上げてしまう。

「私はリザ様の工房で働かせて頂いているルーペリオと申します」

「は、はい!エルフィンです!」

「私はリザ様がお作りになった物の販売や管理、仕入れ、経理、その他雑務などを担当させて頂いております」

 相変わらず丁寧な挨拶のルーペリオさんにも特に気にすることなく握手を交わすエルフィンくん。

「リザ様、彼のお給料ですが…」

「そうですね。私は相場が分からないですし…」

「基本的なお給料の他に歩合を付けるのが宜しいかと」

「僕もお給料貰えるのですか?」

「え?」

「リザ様。基本的な工房での下働きの間は住み込みで朝昼晩の食事を約束されているだけなのです」

 まさかそんなブラックな…。
 流石は階級制度が残っている中世風世界だね。

「エルフィンくんは弟子ではなく仲間なので当然お給料は出ます!」

「では、正確な額面は私の方で作らせて頂きますね」

「お願いします」

「そんな高待遇の店が存在するのですね…」

「ねぇ、もう終わった?リザおねえちゃん、マリーと遊ぼう?」

「あ、まってマリーちゃん!」

 いつも通り、私はマリーちゃんに引きずられて行くのだった。







 



 
 
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