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建国祭
お金
しおりを挟む多分、迷惑をかけたお詫びに…みたいな感じで蒸留器を作ってくれることになったのだろう事は何となく察した。
取り敢えずの目処が立って一安心だけど、やっぱりルーペリオさんはやり手である。
ならば、そのやり手ついでにもう一つダメ元で…切り出してみるしかない。
「ルーペリオさん、実はもう一つお願いがあって…」
「はい、何でしょう?……やはり、お菓子関係でしょうか?」
や、やっぱり!ルーペリオさん甘い物好きだったんだ…。これは日々のお礼も兼ねて、何か作らないといけないな…。
…いや、交換条件は如何だろうか。
こんなにお世話になってるルーペリオさんを物で釣るなんていかがな物だろうと思わなくもないけど、それよりも私にとってはこれはとても大切な事なのだ。
と、自分に言い聞かせてみる。
「ルーペリオさん、エールの醸造所には行けないでしょうか!ルーペリオさんの為にとびっきり美味しいお菓子を作るので、どうかお願いします!」
「…コホン。なかなか難しいお話しですが、お任せ下さい。ちょっとしたツテがありますので……ただ、その。決して私はお菓子に目がない訳ではなくてですね…」
「はい!宜しくお願いします!」
「聞いてませんね…」
何はともあれこれで、美味しいかどうかは別としてウイスキーが作れるかも知れない!
ワインが完成すればブランデーも出来るかも知れないし、楽しみがいっぱいだ。もっと仕込み量を増やさないと!
ただ、そうなると問題がある。私の宿の部屋が物で溢れかえっているという事。明日、フランさんにお願いした樽が届いたら、更に狭くなるだろうな…。
「…その、お菓子は…」
「あ!スコーンと言うお菓子です。ただ、焼き菓子やパンに近い物で…卵があれば他にも色々と作れるんですが…」
「卵ですね!直ぐに用意します!」
「え!卵あるんですか!」
「そう言えば、宿では余り出ない食材ですね。焼き菓子にもたまに使われていますよ」
待って…!卵あるの!?
そしたら…ラーメン…本当に作れちゃうかも知れない…!?
「お、親方!もう一個!もう一個お願いしたいものが…!」
「なんだ!?そんなに慌ててよ」
「そんなに難しい物じゃないんです!その、パン生地みたいなのを平たく伸ばしたり、刃を変えて、細く切ったり…」
「伸ばすって言うならローラーを付ければ直ぐだが、刃を付け替えるってたって…」
「いえ、見てください。こうして…ここに穴を開けて、ここに突起をつけて…スライドさせて…こう、固定させて…」
「なるほどな…。だが、ここはどうする?」
「ここはもう一つローラーをつけて折り返しにするんです。そして、ここに歯車を固定して…」
「ふん、面白いことを考えるな。だが、これはそれなりの大きさになるぞ?それに比例して金もかかる」
本当はダメなんだろうけど、ルーペリオさんにはお金の管理なども全て任せているので実は必要な物がある時に言ってお小遣いを貰っているような形だったりする。
だから、私は蒸留器を作るのに幾らかかるのか、ルーペリオさんへのお給料は幾らなのか、私の手元にいくらお金があるのか、予想は出来るが実は良く知らなかったりする。
恐る恐る後ろにいるであろうルーペリオさんに視線を向ける。
果たして製麺機を作るお金を私は持っているのだろうか…?
「いかほどで?」
「そうだな、ザッと金貨20枚と言ったところか」
「では、25枚出しますので其方も宜しくお願いしますね」
「おう、任せろ。お前達聞いてたな、特急だ!」
…あー、うん。やっぱりお金の管理はルーペリオさんに任せておこう。そんな大金持ち歩きたくもないし、何がどのくらいなのかも知らないし、到底管理なんて出来ない。
ただ、それだけ稼いだって事だから少しは喜んでも良いよね…?
「ノア…」
またノアにあのザラリとした舌で頬を舐められる。
「…う、浮かれてないよ。こ、これも作戦の一部だし…」
ごめんなさい。
このくらいにしておきます…。
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