異世界で趣味(ハンドメイド)のお店を開きます!

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「どうせまた散財して来たんでしょ」

「アーク、馬鹿すぎ、私は貸さない」

「いや、違うんだ!いや、違くないけど、フィオデナルド!いいからお前もこれを見てくれ!」

 どうやら彼らはアークさんの知り合いだったようで私の作ったアンクレットとベルトを持って彼は三人に近寄った。

「なるほど…これほど美しい物が存在するとは…」

「にゃににゃに?私にも見せるにゃ?」

「うむ、可愛い、私、コレ欲しい、金貨2枚、出す」

「だろ?今交渉中なんだ!」

 そう言うとアークは私を指差して、三人は驚いた顔で凝視して来た。

「これを君が?」

「は、はい…」

「相当な技術者ですね…」

 何やら相当関心されているようだが、作りはそんなに難しい物じゃない。確かに使い心地とかにこだわって素材にはいつもより少しお金をかけたけど、正直どこにでも売ってる物だ。

「あ、紹介するよ。コイツは魔剣士のフィオデナルドで、こっちが斥候のミャールと魔法師のシュフィーナ。俺たちは【金色の獅子】ってパーティーなんだ。俺たちそれなりに有名だと思うんだけど…」

「【金色の獅子】…?」

「いやー、まだまだだったか!」

「す、すみません…」

「アホーク、自意識過剰」

「シュナの言う通りだにゃ。まだ私たちAランクに上がったばかりだにゃ!」

 フィオデナルドさんが未だに真剣な面持ちでアンクレットを観察している中、楽しそうに話す三人。

「そんなことより、私コレ欲しい、金貨2枚だす、貴方、コレ、私に譲る?」

「えっと…」

「シュナが死ぬほど喋ってる!」

「シュナ死んじゃ嫌だにゃー」

 兎に角、仲が良さそうだ。

「そうですね。こちらは《付与》が二つも乗っている。それも中です。大銀貨5枚くらいは当然。その上、貴族にすら売れそうな程の美しさ。ならばシュナの言う通り金貨2枚は下らない品ですね。貴族連中ならそれ以上出す奴も居るかも知れません」

「だろ?触っただけでステータスが上昇したから驚いたんだよ」

「足りない?金貨3枚、どう?」

「そ、そうですね…」

 正直なことを言って良いだろうか。
 私は金貨の価値が分からない。ただ、フランさん曰くボロ宿の兎の隠れ家亭に一週間泊まるのに大きめの銀貨が一枚と小さな銀貨が2枚だった。
 黒いお金が仮に十円くらいだとすると、銅貨は100円で小さい銀貨は1000円くらいで大きい銀貨が一万円くらいと予想出来る。
 それを踏まえると私の全財産は5万5千円くらいで現代の知識に当て嵌めて、普通の宿(ビジネスホテル)に泊まると一週間程の金額と言われれば納得がいった。
 単純にその計算で行くと金貨は10万円。確かに作るのは少し時間がかかったが、作業自体はそんなに難しいものじゃないし、材料費も数百円だ。
 それが此処では20万円。ぼったくりもいい所だ。
 ただ、私も長い事販売者側を経験した。安易に価格を下げる事が良くないと言うことも知っている。
 それにこれらの材料がこの世界で手に入るとは正直思えない。もう作る事の出来ない物かも知れないのなら相当な価値のある物になるだろう。
 そうなれば、もう私はアクセサリーでは稼げない。ならば、少しでも高く売っておくのが正しい判断ではないだろうか。

「それにしてもここに使われている石はスピネルの魔石だ。アイツは棘が多くて倒し難く、その上魔石は殆ど落とさない。よくこんな物を手に入れられたな。魔法師のシュナなら魔力を少し通せば効果を上げられる」

「スピネル…」

「知らずに使っていたのですか?」

「い、いえ…。これは偶然手に入った物なんです…そのよく分かったなぁと」

「あぁ、私は鑑定持ちですから。勝手に見て申し訳ありません」

「い、いえ。大丈夫です」

 鑑定とは何だろうか。
 それであの赤い石がスピネルだと分かったのだろうか。そもそも、スピネルをアイツ呼ばわりして、倒すとか物騒な事を言っている。
 もしかして、こっちではスピネルは鉱石じゃないと言う事?と言うか、魔石って何?

 状況が飲み込めず、どんどん混乱していく。ただ、私は思ったより冷静かも知れない。








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