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14話 逆転のラストスパート伝説
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秋晴れの空が広がる運動会当日、校庭には期待に胸を膨らませた生徒たちが集まっていた。みけ子は猫耳フードを整えながら、懐かしさと期待が入り混じった気持ちで周りを見渡した。
(もう5年生か。1年生の時から毎年見てきた紅組の逆転劇、今年はどうなるんだろう)
開会式が始まり、校長先生が演壇に立った。
「さて、今年の運動会も白組と紅組の熱い戦いが繰り広げられることでしょう。そして、毎年恒例の紅組による『逆転劇』にも期待したいものです」
校長先生の言葉に、会場がざわめいた。みけ子は仲間たちに向かって話しかけた。
「ねえ、みんな。私たち1年生の時から毎年この『逆転劇』を見てきたけど、今年はどうなると思う?」
けんたが腕を組んで答える。 「そうだな...確かに毎年凄い逆転を見せつけられてきたけど、今年は俺たちが止めてやるさ」
ユミが眼鏡を直しながら静かに言った。 「でも、毎年同じパターンで逆転されるのは、単なる偶然とは思えません。何か秘密があるはずです」
まりが不安そうに言う。 「うう...1年生の時はすごくびっくりしたよね。白組が圧倒的に勝っていたのに、最後の最後で逆転されちゃって...」
たけるが力強く言った。 「大丈夫だよ。僕たちも4年間の経験がある。今年こそは逆転を阻止してみせるさ」
みけ子は決意を込めて頷いた。 「そうだね。私たち探偵団の出番かもしれない。紅組の秘密を探り出そう!」
開会式が終わり、競技が始まった。最初の種目は1年生から6年生までの徒競走だ。みけ子たちは5年生の部で走ることになっていた。
「よーい、ドン!」
ピストルの音とともに、選手たちが一斉に走り出す。みけ子は猫耳フードをしっかりと被り、全力で走った。風を切る音と、周りの声援が耳に入る。
「がんばれ、みけちゃーん!」とまりの声援が聞こえる。
みけ子は見事1位でゴールテープを切った。白組のテントから大きな歓声が上がる。
続く玉入れでも、白組が圧倒的な強さを見せる。けんたの力強い投球と、たけるの高さを活かしたプレーで、白組の得点がどんどん伸びていく。
ユミが得点板を確認しながら言う。 「現在の得点差は、白組1250点、紅組980点です。例年よりも大きな差がついていますね」
まりが喜びながら言う。 「やった!このまま行けば、今年こそ逆転されないよ」
しかし、ユミの表情が少し曇る。
「でも...何か変だと思いませんか?紅組の様子が、妙に落ち着いているんです」
みけ子が不思議そうに尋ねる。 「どういうこと、ユミちゃん?」
ユミが説明を始める。 「1年生の時から毎年見てきましたが、この時点での紅組の反応が違うんです。普通なら、これだけ点差がついていれば焦りが見えるはずです。でも、紅組のメンバーは全く動揺していないんです」
昼休みになり、探偵団は作戦会議を開くことにした。みけ子たちは校舎の裏に集まった。
「よし、みんな。紅組の様子がおかしいのは確かだよ。何か秘策があるに違いない」とみけ子が言う。
たけるが提案する。 「僕、紅組のテントを偵察してみようか?1年生の時みたいに、こっそり近づいて様子を見るんだ」
「いい考えだね。でも、バレないように気をつけてね。2年生の時みたいに見つかっちゃダメだからね」とみけ子が言う。
たけるはこっそりと紅組のテント近くまで忍び寄った。そこで彼は、紅組のキャプテンが古い巻物を真剣に読んでいるのを発見する。
たけるが戻ってきて報告する。 「みんな、大変だ!紅組のキャプテンが何か古い巻物を読んでいたんだ」
けんたの目が輝く。 「巻物?もしかしたら、それが『伝説の鍵』かもしれない!4年間、ずっと気になっていた紅組の秘密がそこにあるのかも」
みけ子が考え込みながら言う。 「確かに...毎年の逆転劇には何か特別な要因があるはず。その巻物に、代々伝わる特別な戦略が書かれているのかも」
後半戦が始まると、紅組の戦略に明らかな変化が現れ始めた。選手交代や作戦変更が効果を発揮し、紅組の得点が急速に伸び始める。
けんたが焦った様子で言う。 「おい、まずいぞ!紅組が急に強くなってきた!まるで1年生の時の再現みたいだ」
まりも不安そうに言う。 「どうしよう...このままじゃ本当に逆転されちゃう...2年生の時みたいに」
みけ子が決意を込めて言う。 「大丈夫、まだ諦めるのは早いよ。私たちにも4年間の経験がある。きっと秘策が見つかるはず!」
探偵団は急いで緊急会議を開く。
けんたが報告を始める。 「紅組の動きが完全に変わったぜ。まるで別のチームみたいだ。でも、どこか見覚えがあるんだよな」
ユミがスマートフォンで過去の記録を確認しながら言う。 「そうですね。私が1年生の時から記録してきた紅組の動きと酷似しています。特に3年生の時の逆転パターンにそっくりです」
みけ子が思案顔で言う。 「やっぱり...あの『伝説の巻物』が関係してるんだ。でも、どうやって?」
最後の種目、大縄跳びが始まった。紅組が驚異的な跳躍回数を記録し始める。会場が興奮の渦に包まれる中、点差が急速に縮まっていく。
「すごい...紅組、100回を超えた!1年生の時と同じだ!」とまりが驚いた様子で言う。
「くっ、負けるもんか!4年間の悔しさを、ここでぶつけてやる!」とけんたが奮起する。
しかし、最終的に紅組が逆転勝利を果たしてしまう。白組テントには落胆の声が広がった。
閉会式後、みけ子たちは紅組のキャプテンに直接話を聞くことにした。
「ねえ、あの...聞きたいことがあるんだけど」とみけ子が声をかける。
紅組のキャプテンは少し驚いた様子だったが、優しく微笑んで答えた。 「ああ、探偵団のみんなか。毎年、熱心に観察してくれてたよね」
みけ子が勇気を出して尋ねる。 「その...『伝説の巻物』のことなんだけど...私たち1年生の時から、ずっと気になってたの」
キャプテンは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに穏やかな表情に戻った。
「やっぱり気づいていたんだね。確かに、『伝説の巻物』は存在するよ。代々受け継がれてきた紅組の宝物なんだ」
「中身は...何が書いてあるの?」とけんたが食い入るように聞く。
キャプテンはゆっくりと説明を始めた。 「その巻物には、歴代のキャプテンたちの知恵や作戦、そして何より大切な、チームの士気を高める方法が書かれているんだ。でも、毎年同じ作戦じゃないよ。状況に応じて変化させているんだ」
「でも、それだけじゃないよね?私たちが1年生の時から見てきた逆転劇、単なる作戦じゃ説明がつかないわ」とユミが鋭く指摘する。
キャプテンが頷く。 「鋭いね。実は、巻物の本当の力は、単なる作戦じゃないんだ。チームの『信念』を高める力があるんだよ」
「信念?」とみんなが首をかしげる。
「そう、みんなで同じ目標に向かって頑張る力。それを信じることで、本当の力が出せるんだ。君たちが1年生の時から毎年見てきた逆転劇、あれは紅組全員の『信念』が一つになった結果なんだよ」
みけ子たちは感心した様子で聞き入っていた。
ユミが眼鏡を直しながら分析を始める。 「なるほど...これは心理学でいう『プラセボ効果』や『自己成就予言』に近いかもしれません。私たちが1年生の時から観察してきた現象を説明できる理論です」
「プラセボ効果?自己成就予言?」とまりが首をかしげる。
ユミが説明を始める。 「プラセボ効果というのは、何かを信じることで実際に効果が現れる現象のことです。自己成就予言は、何かを強く信じることで、それが現実になってしまう現象のことです。1年生の時から毎年、紅組が『逆転できる』と信じていたからこそ、実際に逆転できたんです」
けんたが感心したように言う。 「へえ、つまり、巻物を信じることで本当に力が出せるようになるってことか。俺たちが1年生の時から見てきた奇跡みたいな逆転、実は科学的な裏付けがあったってわけか」
キャプテンが頷く。 「そうなんだ。でも、それは紅組だけのものじゃない。どのチームでも、みんなが信じあって頑張れば、同じような力が出せるはずだよ。みんなが1年生の時から今まで、一生懸命頑張ってきたように」
みけ子たちは、この話を聞いて深く考え込んだ。1年生の時から毎年見てきた逆転劇の真相を知り、新たな視点を得た気がした。
その後、探偵団は校長先生のもとを訪れ、1年生の時から続けてきた調査の結果を報告した。
校長先生は穏やかな笑顔で聞き入り、最後にこう言った。 「実は私も、その巻物の存在は知っていたんです。私がこの学校の校長に就任してからずっと見守ってきました」
「えっ、知ってたんですか?」とみんなが驚く。
校長先生が続ける。 「ええ。でも、それを禁止したりはしませんでした。なぜだか分かりますか?」
みけ子たちは首をかしげる。
「それは、古い知恵を受け継ぎながら挑戦をしていく。それが学校の、そして社会の発展につながるんですよ」
探偵団のメンバーは、校長先生の言葉に深く感銘を受けた。
翌日、探偵団が集まったとき、みけ子が提案した。
「ねえ、私たちも白組で独自の『伝説』を作ろうよ。1年生の時からずっと負けてきたけど、これからは私たちの番だよ」
「おお!それはいいアイデアだな。1年生の時の悔しさを晴らせるかもしれない」とけんたが賛同する。
「私も賛成です。私たちなりの『信念』を見つけられるはずです。1年生の時から積み重ねてきた経験を活かせます」とユミが言う。
「うん、みんなで協力すれば、きっと素敵な伝説が作れるよ。1年生の時はすごく落ち込んだけど、今度は私たちが逆転する番だね」とまりが笑顔で言う。
「よし、来年の運動会に向けて、新たな目標を立てよう!1年生の時から5年間、ずっと負け続けてきた分を取り返すんだ」とたけるが力強く言う。
みけ子は仲間たちの顔を見回しながら、こう言った。
「そうだね、みんな。1年生の時から5年間、紅組の逆転を見てきた私たち。でも、これからは白組の番。私たちの『信念』で、新しい伝説を作ろう!」
みけ子の言葉に、全員が力強く頷いた。
1年生の時から積み重ねてきた経験と絆が、これから彼らを支える大きな力となることを、みんなが感じていた。
(もう5年生か。1年生の時から毎年見てきた紅組の逆転劇、今年はどうなるんだろう)
開会式が始まり、校長先生が演壇に立った。
「さて、今年の運動会も白組と紅組の熱い戦いが繰り広げられることでしょう。そして、毎年恒例の紅組による『逆転劇』にも期待したいものです」
校長先生の言葉に、会場がざわめいた。みけ子は仲間たちに向かって話しかけた。
「ねえ、みんな。私たち1年生の時から毎年この『逆転劇』を見てきたけど、今年はどうなると思う?」
けんたが腕を組んで答える。 「そうだな...確かに毎年凄い逆転を見せつけられてきたけど、今年は俺たちが止めてやるさ」
ユミが眼鏡を直しながら静かに言った。 「でも、毎年同じパターンで逆転されるのは、単なる偶然とは思えません。何か秘密があるはずです」
まりが不安そうに言う。 「うう...1年生の時はすごくびっくりしたよね。白組が圧倒的に勝っていたのに、最後の最後で逆転されちゃって...」
たけるが力強く言った。 「大丈夫だよ。僕たちも4年間の経験がある。今年こそは逆転を阻止してみせるさ」
みけ子は決意を込めて頷いた。 「そうだね。私たち探偵団の出番かもしれない。紅組の秘密を探り出そう!」
開会式が終わり、競技が始まった。最初の種目は1年生から6年生までの徒競走だ。みけ子たちは5年生の部で走ることになっていた。
「よーい、ドン!」
ピストルの音とともに、選手たちが一斉に走り出す。みけ子は猫耳フードをしっかりと被り、全力で走った。風を切る音と、周りの声援が耳に入る。
「がんばれ、みけちゃーん!」とまりの声援が聞こえる。
みけ子は見事1位でゴールテープを切った。白組のテントから大きな歓声が上がる。
続く玉入れでも、白組が圧倒的な強さを見せる。けんたの力強い投球と、たけるの高さを活かしたプレーで、白組の得点がどんどん伸びていく。
ユミが得点板を確認しながら言う。 「現在の得点差は、白組1250点、紅組980点です。例年よりも大きな差がついていますね」
まりが喜びながら言う。 「やった!このまま行けば、今年こそ逆転されないよ」
しかし、ユミの表情が少し曇る。
「でも...何か変だと思いませんか?紅組の様子が、妙に落ち着いているんです」
みけ子が不思議そうに尋ねる。 「どういうこと、ユミちゃん?」
ユミが説明を始める。 「1年生の時から毎年見てきましたが、この時点での紅組の反応が違うんです。普通なら、これだけ点差がついていれば焦りが見えるはずです。でも、紅組のメンバーは全く動揺していないんです」
昼休みになり、探偵団は作戦会議を開くことにした。みけ子たちは校舎の裏に集まった。
「よし、みんな。紅組の様子がおかしいのは確かだよ。何か秘策があるに違いない」とみけ子が言う。
たけるが提案する。 「僕、紅組のテントを偵察してみようか?1年生の時みたいに、こっそり近づいて様子を見るんだ」
「いい考えだね。でも、バレないように気をつけてね。2年生の時みたいに見つかっちゃダメだからね」とみけ子が言う。
たけるはこっそりと紅組のテント近くまで忍び寄った。そこで彼は、紅組のキャプテンが古い巻物を真剣に読んでいるのを発見する。
たけるが戻ってきて報告する。 「みんな、大変だ!紅組のキャプテンが何か古い巻物を読んでいたんだ」
けんたの目が輝く。 「巻物?もしかしたら、それが『伝説の鍵』かもしれない!4年間、ずっと気になっていた紅組の秘密がそこにあるのかも」
みけ子が考え込みながら言う。 「確かに...毎年の逆転劇には何か特別な要因があるはず。その巻物に、代々伝わる特別な戦略が書かれているのかも」
後半戦が始まると、紅組の戦略に明らかな変化が現れ始めた。選手交代や作戦変更が効果を発揮し、紅組の得点が急速に伸び始める。
けんたが焦った様子で言う。 「おい、まずいぞ!紅組が急に強くなってきた!まるで1年生の時の再現みたいだ」
まりも不安そうに言う。 「どうしよう...このままじゃ本当に逆転されちゃう...2年生の時みたいに」
みけ子が決意を込めて言う。 「大丈夫、まだ諦めるのは早いよ。私たちにも4年間の経験がある。きっと秘策が見つかるはず!」
探偵団は急いで緊急会議を開く。
けんたが報告を始める。 「紅組の動きが完全に変わったぜ。まるで別のチームみたいだ。でも、どこか見覚えがあるんだよな」
ユミがスマートフォンで過去の記録を確認しながら言う。 「そうですね。私が1年生の時から記録してきた紅組の動きと酷似しています。特に3年生の時の逆転パターンにそっくりです」
みけ子が思案顔で言う。 「やっぱり...あの『伝説の巻物』が関係してるんだ。でも、どうやって?」
最後の種目、大縄跳びが始まった。紅組が驚異的な跳躍回数を記録し始める。会場が興奮の渦に包まれる中、点差が急速に縮まっていく。
「すごい...紅組、100回を超えた!1年生の時と同じだ!」とまりが驚いた様子で言う。
「くっ、負けるもんか!4年間の悔しさを、ここでぶつけてやる!」とけんたが奮起する。
しかし、最終的に紅組が逆転勝利を果たしてしまう。白組テントには落胆の声が広がった。
閉会式後、みけ子たちは紅組のキャプテンに直接話を聞くことにした。
「ねえ、あの...聞きたいことがあるんだけど」とみけ子が声をかける。
紅組のキャプテンは少し驚いた様子だったが、優しく微笑んで答えた。 「ああ、探偵団のみんなか。毎年、熱心に観察してくれてたよね」
みけ子が勇気を出して尋ねる。 「その...『伝説の巻物』のことなんだけど...私たち1年生の時から、ずっと気になってたの」
キャプテンは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに穏やかな表情に戻った。
「やっぱり気づいていたんだね。確かに、『伝説の巻物』は存在するよ。代々受け継がれてきた紅組の宝物なんだ」
「中身は...何が書いてあるの?」とけんたが食い入るように聞く。
キャプテンはゆっくりと説明を始めた。 「その巻物には、歴代のキャプテンたちの知恵や作戦、そして何より大切な、チームの士気を高める方法が書かれているんだ。でも、毎年同じ作戦じゃないよ。状況に応じて変化させているんだ」
「でも、それだけじゃないよね?私たちが1年生の時から見てきた逆転劇、単なる作戦じゃ説明がつかないわ」とユミが鋭く指摘する。
キャプテンが頷く。 「鋭いね。実は、巻物の本当の力は、単なる作戦じゃないんだ。チームの『信念』を高める力があるんだよ」
「信念?」とみんなが首をかしげる。
「そう、みんなで同じ目標に向かって頑張る力。それを信じることで、本当の力が出せるんだ。君たちが1年生の時から毎年見てきた逆転劇、あれは紅組全員の『信念』が一つになった結果なんだよ」
みけ子たちは感心した様子で聞き入っていた。
ユミが眼鏡を直しながら分析を始める。 「なるほど...これは心理学でいう『プラセボ効果』や『自己成就予言』に近いかもしれません。私たちが1年生の時から観察してきた現象を説明できる理論です」
「プラセボ効果?自己成就予言?」とまりが首をかしげる。
ユミが説明を始める。 「プラセボ効果というのは、何かを信じることで実際に効果が現れる現象のことです。自己成就予言は、何かを強く信じることで、それが現実になってしまう現象のことです。1年生の時から毎年、紅組が『逆転できる』と信じていたからこそ、実際に逆転できたんです」
けんたが感心したように言う。 「へえ、つまり、巻物を信じることで本当に力が出せるようになるってことか。俺たちが1年生の時から見てきた奇跡みたいな逆転、実は科学的な裏付けがあったってわけか」
キャプテンが頷く。 「そうなんだ。でも、それは紅組だけのものじゃない。どのチームでも、みんなが信じあって頑張れば、同じような力が出せるはずだよ。みんなが1年生の時から今まで、一生懸命頑張ってきたように」
みけ子たちは、この話を聞いて深く考え込んだ。1年生の時から毎年見てきた逆転劇の真相を知り、新たな視点を得た気がした。
その後、探偵団は校長先生のもとを訪れ、1年生の時から続けてきた調査の結果を報告した。
校長先生は穏やかな笑顔で聞き入り、最後にこう言った。 「実は私も、その巻物の存在は知っていたんです。私がこの学校の校長に就任してからずっと見守ってきました」
「えっ、知ってたんですか?」とみんなが驚く。
校長先生が続ける。 「ええ。でも、それを禁止したりはしませんでした。なぜだか分かりますか?」
みけ子たちは首をかしげる。
「それは、古い知恵を受け継ぎながら挑戦をしていく。それが学校の、そして社会の発展につながるんですよ」
探偵団のメンバーは、校長先生の言葉に深く感銘を受けた。
翌日、探偵団が集まったとき、みけ子が提案した。
「ねえ、私たちも白組で独自の『伝説』を作ろうよ。1年生の時からずっと負けてきたけど、これからは私たちの番だよ」
「おお!それはいいアイデアだな。1年生の時の悔しさを晴らせるかもしれない」とけんたが賛同する。
「私も賛成です。私たちなりの『信念』を見つけられるはずです。1年生の時から積み重ねてきた経験を活かせます」とユミが言う。
「うん、みんなで協力すれば、きっと素敵な伝説が作れるよ。1年生の時はすごく落ち込んだけど、今度は私たちが逆転する番だね」とまりが笑顔で言う。
「よし、来年の運動会に向けて、新たな目標を立てよう!1年生の時から5年間、ずっと負け続けてきた分を取り返すんだ」とたけるが力強く言う。
みけ子は仲間たちの顔を見回しながら、こう言った。
「そうだね、みんな。1年生の時から5年間、紅組の逆転を見てきた私たち。でも、これからは白組の番。私たちの『信念』で、新しい伝説を作ろう!」
みけ子の言葉に、全員が力強く頷いた。
1年生の時から積み重ねてきた経験と絆が、これから彼らを支える大きな力となることを、みんなが感じていた。
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