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第4部 グランダ魔道学院対抗戦
第65章 戦女神の審判
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「な、なんなの・・・このひと・・」
ドロシーがあえぐように言った。
さすがに魔法の才能にあふれた彼女は、まずのその突然の登場よりも、奇抜なかっこうよりも、無詠唱で光の剣を放った、そのことに一番驚いたようだった。
つきとばした拍子に地面に倒れた彼女は、ジャケットとスカートを泥まみれにして立ち上がる。爆風で顔もすすけているが怪我はないようだ。
「グランダの元王子ハルト、または、駆け出し冒険者のルト。」
空中より、ぼくらを睥睨しつつ、奇女は言った。いや仮面つけてても十分、美人だとはわかるんだが、夜更けにそのかっこうは、奇女としか言えないだろう。
「お、王子さま?」
びっくりしたようにドロシーがぼくを見る。
「わずかな別離の時間でもこのように、どこの馬の骨とも知らぬ女を捕まえて戯れるのか?
おぬしに貞操という概念があるのか、はななだ疑問だ。」
「ま、まさか! 婚姻と貞操を司る女神アフレックスさま!」
いや、ドロシー。
その神さまはこんな格好してないから。
あ、そうか、暗いから服装までは見えないんだな。
「この女と接吻しようとしていたな、ルト。」
草原を吹きすさぶ風は、境界山脈のさらに北、永遠に溶けぬ大氷河なら吹いてくるようにようだった。
「おそらくは、それだけの行為ではあるまい。」
闇夜に浮かぶ奇女こと、美少女仮面ブラッディローズこと、フィオリナは、クックックとのどの奥で笑い声をたてた。
「いや、しゃべるな、ルト。お主の言の葉はすべてが、魔法。なんどたぶらかされたことか。
あの忌々しい認識阻害魔法も含め。」
闇夜に浮かぶ奇女こと、美少女仮面ブラッディローズこと、フィオリナは、握りこぶし大の僅かな光を放つ球を、ドロシーの前におとした。
「鶏ガラ女!」
いや、体型的にはほぼいい感じに同じくらいだぞ!
「その貧相な胸でルトをたぶらかしたのか?」
フィオリナ!おまえが言うとそれは自虐にしかならん!
「いや、違います、女神さまわたくしはそんな」
「その球を手に取れ。」
言われた通り、ドロシーはおずおずと球を手にした。
グランダのギルドでよく使われる「真実の球」だ。
身分のロンダリングによく使われる冒険者という立場を悪用されぬように、簡単な身元の調査に使われる。たずねたことに対して嘘を言えば、球は白光を放つのだ。
「嘘もごまかしも無駄だぞ、正直に話すのだ。」
ドロシーは観念したように目を「真実の球」に落とした。
「ルトと何回寝た?」
「いいえ、女神さま。」
顔をあげてフィオリナのいるあたりを見つめて、ドロシーはきっぱりと言った。
「ルトとは一度もそういう行為をしておりません。」
「そ、そうなのか。」
球はひからない。声にわずかに安堵の色が感じられる。
「でも今、キスをしようとしてたようだったが?」
「はい、女神さま。わたしからせがんでキスは何回か。でもそれ以上の行為は」
「しかし、✗✗はさせなかったにせよ、ルトの✗✗を✗✗したり、ルトの指がおまえのkj;42#をまさぐり・・・」
「いいえ、女神さま。ルトとはそのような行為は一度も」
ドロシーの顔が赤くなっている。フィオリナもなれぬ行為の単語を口にしたせいか、頬のあたりが紅潮していた。
「で、でも胸くらいは見られたよね、ね?」
「はい、わたしが悪者に拉致され、ロウ=リンドという級友が特別な糸で仕立ててくれたボディスーツが、引き裂かれ、そこに助けにきてくれたルトに・・・その・・・」
ドロシーは真っ赤になってうつむいた。
「見られました。」
「な、なるほど!
や、やはりその貧相な胸でルトをたぶらかしたのだな。どうされた? 吸われたのか、舐め回されたのか?」
「いいえ、女神さま・・・そのような行為はいたしておりません。」
「え? で、でも触られたよね? こう・・・撫で回されたり、乳首をツンツンされたりはしたよね?」
なぜ、そこで狼狽するのだろうか? フィオリナよ。
「うう・・・」
ドロシーはうつむいた。
「そうだよねっ!それくらいはあるよね! だって離れ離れになって次にいつ会えるかもわからないんだもん!
人肌、恋しくなるよね!」
それくらいならよかったのか?
「いえ、女神さま」
ドロシーはきっぱりと言った。
「ルトとは一度もそういうことはしておりません。」
球は・・・・当然、光らない。
風の音がした。ああ・・・みんなが異変に気がついて戻っきてくれている。
闇夜に浮かぶ奇女こと、美少女仮面ブラッディローズこと、フィオリナは。
ゆらゆらと地上に降りると。
いきなり土下座した。
「え?なにゆえ!?」
「ごめんなさああああいっ! わたしミュラと寝ましたあっ!」
ドロシーがあえぐように言った。
さすがに魔法の才能にあふれた彼女は、まずのその突然の登場よりも、奇抜なかっこうよりも、無詠唱で光の剣を放った、そのことに一番驚いたようだった。
つきとばした拍子に地面に倒れた彼女は、ジャケットとスカートを泥まみれにして立ち上がる。爆風で顔もすすけているが怪我はないようだ。
「グランダの元王子ハルト、または、駆け出し冒険者のルト。」
空中より、ぼくらを睥睨しつつ、奇女は言った。いや仮面つけてても十分、美人だとはわかるんだが、夜更けにそのかっこうは、奇女としか言えないだろう。
「お、王子さま?」
びっくりしたようにドロシーがぼくを見る。
「わずかな別離の時間でもこのように、どこの馬の骨とも知らぬ女を捕まえて戯れるのか?
おぬしに貞操という概念があるのか、はななだ疑問だ。」
「ま、まさか! 婚姻と貞操を司る女神アフレックスさま!」
いや、ドロシー。
その神さまはこんな格好してないから。
あ、そうか、暗いから服装までは見えないんだな。
「この女と接吻しようとしていたな、ルト。」
草原を吹きすさぶ風は、境界山脈のさらに北、永遠に溶けぬ大氷河なら吹いてくるようにようだった。
「おそらくは、それだけの行為ではあるまい。」
闇夜に浮かぶ奇女こと、美少女仮面ブラッディローズこと、フィオリナは、クックックとのどの奥で笑い声をたてた。
「いや、しゃべるな、ルト。お主の言の葉はすべてが、魔法。なんどたぶらかされたことか。
あの忌々しい認識阻害魔法も含め。」
闇夜に浮かぶ奇女こと、美少女仮面ブラッディローズこと、フィオリナは、握りこぶし大の僅かな光を放つ球を、ドロシーの前におとした。
「鶏ガラ女!」
いや、体型的にはほぼいい感じに同じくらいだぞ!
「その貧相な胸でルトをたぶらかしたのか?」
フィオリナ!おまえが言うとそれは自虐にしかならん!
「いや、違います、女神さまわたくしはそんな」
「その球を手に取れ。」
言われた通り、ドロシーはおずおずと球を手にした。
グランダのギルドでよく使われる「真実の球」だ。
身分のロンダリングによく使われる冒険者という立場を悪用されぬように、簡単な身元の調査に使われる。たずねたことに対して嘘を言えば、球は白光を放つのだ。
「嘘もごまかしも無駄だぞ、正直に話すのだ。」
ドロシーは観念したように目を「真実の球」に落とした。
「ルトと何回寝た?」
「いいえ、女神さま。」
顔をあげてフィオリナのいるあたりを見つめて、ドロシーはきっぱりと言った。
「ルトとは一度もそういう行為をしておりません。」
「そ、そうなのか。」
球はひからない。声にわずかに安堵の色が感じられる。
「でも今、キスをしようとしてたようだったが?」
「はい、女神さま。わたしからせがんでキスは何回か。でもそれ以上の行為は」
「しかし、✗✗はさせなかったにせよ、ルトの✗✗を✗✗したり、ルトの指がおまえのkj;42#をまさぐり・・・」
「いいえ、女神さま。ルトとはそのような行為は一度も」
ドロシーの顔が赤くなっている。フィオリナもなれぬ行為の単語を口にしたせいか、頬のあたりが紅潮していた。
「で、でも胸くらいは見られたよね、ね?」
「はい、わたしが悪者に拉致され、ロウ=リンドという級友が特別な糸で仕立ててくれたボディスーツが、引き裂かれ、そこに助けにきてくれたルトに・・・その・・・」
ドロシーは真っ赤になってうつむいた。
「見られました。」
「な、なるほど!
や、やはりその貧相な胸でルトをたぶらかしたのだな。どうされた? 吸われたのか、舐め回されたのか?」
「いいえ、女神さま・・・そのような行為はいたしておりません。」
「え? で、でも触られたよね? こう・・・撫で回されたり、乳首をツンツンされたりはしたよね?」
なぜ、そこで狼狽するのだろうか? フィオリナよ。
「うう・・・」
ドロシーはうつむいた。
「そうだよねっ!それくらいはあるよね! だって離れ離れになって次にいつ会えるかもわからないんだもん!
人肌、恋しくなるよね!」
それくらいならよかったのか?
「いえ、女神さま」
ドロシーはきっぱりと言った。
「ルトとは一度もそういうことはしておりません。」
球は・・・・当然、光らない。
風の音がした。ああ・・・みんなが異変に気がついて戻っきてくれている。
闇夜に浮かぶ奇女こと、美少女仮面ブラッディローズこと、フィオリナは。
ゆらゆらと地上に降りると。
いきなり土下座した。
「え?なにゆえ!?」
「ごめんなさああああいっ! わたしミュラと寝ましたあっ!」
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