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ギルドの少女
ギルド 不死鳥の冠
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冒険者ギルドのマスターと言われる責任者は、多くの国では、准貴族、少なくとも街の顔役のひとりとして勘定されるものだった。
30から100程度のパーティを抱え(ちなみに最下層とトップは常に入れ替わる傾向にある。)大通りに、本部を構える。
ギルドマスターは、ある意味で冒険者人生のあがり、とも言える。
多くは、冒険者出身であり、そうでないとなかなかに荒くれの多い、冒険者たちに睨みが聞かせられるものではない。
そのほかに採取した素材、また迷宮の魔素で変化した武具、鉱石などの買取には、その道の目利きも必要だ。
また、依頼主からの依頼をしかるべき冒険者に受注させ、達成させ、報酬を支払う。
動く金額は、もちろんピンきりではあるが、うえは王都の一等地に屋敷が買えるほどの金が動く。金の管理には出納に明るい商人あがり、できれば金貸しや両替商の勤務経験があるものが望ましい。
さらにギルドは、簡単な食事や酒が提供できる設備を整えているところもある。
なんだかんだで、冒険者以外にも十名を超える職員が働いているのだ。
そこの受付という職がある。
女性が多いのは、冒険者に男性の比率がやや高く、そして男というものは、見た目のいい女性にはとかく甘くなりがち、というさもしい理由にほかならない。
かと言って、受付嬢が人気のない職業かといえば、そんなことはない。
選ばれるだけである程度以上の容姿であることのお墨付きをもらったようなものだったし、能力としても、読み書きはもちろん、四則演算やあるいは、人を見る目や、冒険者という世にもやっかいな連中のあしらい方など、求められるスキルは多く、給料だってかなり高い。
そして、本当に腕の立つ、そして上を目指せる冒険者をいち早く見分けることができる立場でもある。
死と隣り合わせであるかわりに、一流の冒険者のかせぎはそれなりにいいのだ。
それこそ、しっかりと財布を握っていれば、若くして夫が不慮の事態に遭遇してもあとあと楽に生活できるだけの蓄財ができるくらいには。
・・・・
だが、ミュラは顔をしかめた。
彼女は町中に生きる一般の女性ではない。
伯爵家の令嬢であり、王立学院をトップの成績で卒業することがほぼ決まっている才媛でもある。
ミュラ自身は、今以上にフィオリナと会える機会が増えそうな仕事に、心が動かないではなかったが、両親は絶対に承諾しないだろう。
「わたしのギルドはそんなに大きくはない。」
フィオリナは、胸のポケットからカードを取り出すとバサバサとふった。
白地のはずのカードに、鮮やかに街の地図がうかびあがる。
「リリク通りだ。
わたしのうちのちょうど、裏手になる。
わかりにくければ『不死鳥の冠』と聞いてもらえればすぐわかる。
いろいろと覚えてもらって、いろいろなことをしてもらうことになると、思うけど・・・
わたしの片腕として勤めてくれるとうれしい。」
「わたしのギルト、ってどういう意味よ。」
いちばんにわからないのがそこだった。
たしかに貴族の一部には、冒険者ギルドに投資していたり、正面にはでないもののギルドを運営しているところもある、ときいたことがある。
でもそれは、例えば暗部とか影とか言われる裏方がすることであって、フィオリナは確かに強いんだけど、クローディア公爵家のご令嬢であって。
「内緒にしといてほしいけど、『不死鳥の冠』はうちの冒険者ギルドなの。
それで、いままでギルマスをやってもらってた、フィリオペっておっさんがなにを勘違いしたのか、現役復帰を宣言して、故郷のランゴバルドに帰ってしまったのが、去年の暮。
以降、わたしがギルドマスターをやってるわけなんだけど、正直、学生をしながら、自分でも依頼をこなしながら、ギルドの運営もっていうのはちょっとキツい。
だから、ミュラが手伝ってくれれば、助かる。」
困惑しつつも、帰宅したミュラがそのことを両親に話すと、案の定、父親は激怒したが、母はもう少し、思慮深かった。
「『不死鳥の冠』は、王都でも有数のギルドのひとつですわ。
それこそ、クローディア公爵閣下ご自身よりも貴族や王都の有力者には。顔が広いくらい。」
「だ、か、ら。
それがなんだと言うんだ!
ミュラをギルドの受付などという仕事をさせたら、それだけで我が伯爵家の名に傷がつく。」
「あら、あなた」
伯爵婦人は鷹揚に笑いながら、冷たい目で伯爵を見つめた。
「フィオリナ嬢は、ミュラに受付嬢をさせるなどとはひとこともおっしゃっておりませんことよ。」
「・・・・・」
「フィオリナさまがなんとおっしゃったかもう一度、頭の固い父親に話してみてくれないかしら? ミュラ。」
はい、お母さま。
と言ってから、ミュラは座り直して、父親を真正面から見据えながら言った。
「フィリオナはこう言いました。
“わたしの片腕として勤めてくれ”
と。」
「つまりはサブマスターということですわね。」
むうっ、と言いながら伯爵はすわり直した。
頭をひねりながら考える。
たしかにギルドのサブマスターという職は、それほど悪くはない。
知り合いの貴族の四男が、たしかギルドでそんな仕事をしていたはずだ。
貴族ならば文字にも係数にも明るいし、なにより、大きな依頼主は貴族や商会の有力者となる。
手紙一つ書くにせよ、貴族として教育をうけたことがある、というのは大きなアドバンテージになったはずだ。
「し、しかしミュラは女だぞ?」
「いいではありませんか。姉たちはすでに、侯爵家と辺境伯爵家との婚約が整っております。
家は、長男のケネスが立派に継いでくれるでしょう。」
「し、しかしだな・・・」
「フィオリナさまは、ハルト王太子殿下の婚約者。
いずれ王太子妃に、のちには王妃となられるお方です。
そうなってまで、ギルドマスターを続けられるとお思いですか?」
そこまで言われて、ようやく伯爵は気がついた。
「そうなれば、ミュラがギルドマスターに・・・・」
「こればかりは確定的なものはございません。ミュラにそもそもギルドのサブマスターとしての器量があるのか知れませんし。
でもそうなったら、わたしたちは、クローディア公爵家のみならず、王都の貴族社会、有力者たち、そして当然冒険者たちにも大きな影響力をもつことができるのです。」
フィリオナがそこまで計算して、ミュラを誘ったのかはわからない。
学生と冒険者とギルマスを兼任しているフィオリナだったら、案外、王妃兼ギルマスを同時にこなすつもりでいるような気がする。
なにはともあれ、ミュラは、卒業後、『不死鳥の冠』で働くことになった。
侍女がやるような雑務もこなしながら、冒険者たちと渡り合い、フィオリナに魔法もおそわり、忙しくも充実した日々を送ることになった。
意外だったのは、クローディア公爵閣下ご自身が、王都に滞在中は、毎日のように『不死鳥の冠』に顔をだすことだった。
歴戦の将軍らしい厳つい顔の大男ではあったが、ミュラにも優しく、すぐに軽口を叩けるようになったのは、彼がどこから見ても公爵閣下というより、前衛担当の冒険者にしか見えなかったからかもしれない。
ミュラがこの物語に登場するのは二度目となる。
第二話で、フィオリナやクローディアに給仕をしてやり、癇癪をおこしたフィオリナにギルドにあった食器をほぼ全壊させられたあのギルドの少女がミュラである。
物語は、現在へ。
ミュラは、クローディアの依頼で、魔王宮の入口の受付を手伝っていた・・・・
30から100程度のパーティを抱え(ちなみに最下層とトップは常に入れ替わる傾向にある。)大通りに、本部を構える。
ギルドマスターは、ある意味で冒険者人生のあがり、とも言える。
多くは、冒険者出身であり、そうでないとなかなかに荒くれの多い、冒険者たちに睨みが聞かせられるものではない。
そのほかに採取した素材、また迷宮の魔素で変化した武具、鉱石などの買取には、その道の目利きも必要だ。
また、依頼主からの依頼をしかるべき冒険者に受注させ、達成させ、報酬を支払う。
動く金額は、もちろんピンきりではあるが、うえは王都の一等地に屋敷が買えるほどの金が動く。金の管理には出納に明るい商人あがり、できれば金貸しや両替商の勤務経験があるものが望ましい。
さらにギルドは、簡単な食事や酒が提供できる設備を整えているところもある。
なんだかんだで、冒険者以外にも十名を超える職員が働いているのだ。
そこの受付という職がある。
女性が多いのは、冒険者に男性の比率がやや高く、そして男というものは、見た目のいい女性にはとかく甘くなりがち、というさもしい理由にほかならない。
かと言って、受付嬢が人気のない職業かといえば、そんなことはない。
選ばれるだけである程度以上の容姿であることのお墨付きをもらったようなものだったし、能力としても、読み書きはもちろん、四則演算やあるいは、人を見る目や、冒険者という世にもやっかいな連中のあしらい方など、求められるスキルは多く、給料だってかなり高い。
そして、本当に腕の立つ、そして上を目指せる冒険者をいち早く見分けることができる立場でもある。
死と隣り合わせであるかわりに、一流の冒険者のかせぎはそれなりにいいのだ。
それこそ、しっかりと財布を握っていれば、若くして夫が不慮の事態に遭遇してもあとあと楽に生活できるだけの蓄財ができるくらいには。
・・・・
だが、ミュラは顔をしかめた。
彼女は町中に生きる一般の女性ではない。
伯爵家の令嬢であり、王立学院をトップの成績で卒業することがほぼ決まっている才媛でもある。
ミュラ自身は、今以上にフィオリナと会える機会が増えそうな仕事に、心が動かないではなかったが、両親は絶対に承諾しないだろう。
「わたしのギルドはそんなに大きくはない。」
フィオリナは、胸のポケットからカードを取り出すとバサバサとふった。
白地のはずのカードに、鮮やかに街の地図がうかびあがる。
「リリク通りだ。
わたしのうちのちょうど、裏手になる。
わかりにくければ『不死鳥の冠』と聞いてもらえればすぐわかる。
いろいろと覚えてもらって、いろいろなことをしてもらうことになると、思うけど・・・
わたしの片腕として勤めてくれるとうれしい。」
「わたしのギルト、ってどういう意味よ。」
いちばんにわからないのがそこだった。
たしかに貴族の一部には、冒険者ギルドに投資していたり、正面にはでないもののギルドを運営しているところもある、ときいたことがある。
でもそれは、例えば暗部とか影とか言われる裏方がすることであって、フィオリナは確かに強いんだけど、クローディア公爵家のご令嬢であって。
「内緒にしといてほしいけど、『不死鳥の冠』はうちの冒険者ギルドなの。
それで、いままでギルマスをやってもらってた、フィリオペっておっさんがなにを勘違いしたのか、現役復帰を宣言して、故郷のランゴバルドに帰ってしまったのが、去年の暮。
以降、わたしがギルドマスターをやってるわけなんだけど、正直、学生をしながら、自分でも依頼をこなしながら、ギルドの運営もっていうのはちょっとキツい。
だから、ミュラが手伝ってくれれば、助かる。」
困惑しつつも、帰宅したミュラがそのことを両親に話すと、案の定、父親は激怒したが、母はもう少し、思慮深かった。
「『不死鳥の冠』は、王都でも有数のギルドのひとつですわ。
それこそ、クローディア公爵閣下ご自身よりも貴族や王都の有力者には。顔が広いくらい。」
「だ、か、ら。
それがなんだと言うんだ!
ミュラをギルドの受付などという仕事をさせたら、それだけで我が伯爵家の名に傷がつく。」
「あら、あなた」
伯爵婦人は鷹揚に笑いながら、冷たい目で伯爵を見つめた。
「フィオリナ嬢は、ミュラに受付嬢をさせるなどとはひとこともおっしゃっておりませんことよ。」
「・・・・・」
「フィオリナさまがなんとおっしゃったかもう一度、頭の固い父親に話してみてくれないかしら? ミュラ。」
はい、お母さま。
と言ってから、ミュラは座り直して、父親を真正面から見据えながら言った。
「フィリオナはこう言いました。
“わたしの片腕として勤めてくれ”
と。」
「つまりはサブマスターということですわね。」
むうっ、と言いながら伯爵はすわり直した。
頭をひねりながら考える。
たしかにギルドのサブマスターという職は、それほど悪くはない。
知り合いの貴族の四男が、たしかギルドでそんな仕事をしていたはずだ。
貴族ならば文字にも係数にも明るいし、なにより、大きな依頼主は貴族や商会の有力者となる。
手紙一つ書くにせよ、貴族として教育をうけたことがある、というのは大きなアドバンテージになったはずだ。
「し、しかしミュラは女だぞ?」
「いいではありませんか。姉たちはすでに、侯爵家と辺境伯爵家との婚約が整っております。
家は、長男のケネスが立派に継いでくれるでしょう。」
「し、しかしだな・・・」
「フィオリナさまは、ハルト王太子殿下の婚約者。
いずれ王太子妃に、のちには王妃となられるお方です。
そうなってまで、ギルドマスターを続けられるとお思いですか?」
そこまで言われて、ようやく伯爵は気がついた。
「そうなれば、ミュラがギルドマスターに・・・・」
「こればかりは確定的なものはございません。ミュラにそもそもギルドのサブマスターとしての器量があるのか知れませんし。
でもそうなったら、わたしたちは、クローディア公爵家のみならず、王都の貴族社会、有力者たち、そして当然冒険者たちにも大きな影響力をもつことができるのです。」
フィリオナがそこまで計算して、ミュラを誘ったのかはわからない。
学生と冒険者とギルマスを兼任しているフィオリナだったら、案外、王妃兼ギルマスを同時にこなすつもりでいるような気がする。
なにはともあれ、ミュラは、卒業後、『不死鳥の冠』で働くことになった。
侍女がやるような雑務もこなしながら、冒険者たちと渡り合い、フィオリナに魔法もおそわり、忙しくも充実した日々を送ることになった。
意外だったのは、クローディア公爵閣下ご自身が、王都に滞在中は、毎日のように『不死鳥の冠』に顔をだすことだった。
歴戦の将軍らしい厳つい顔の大男ではあったが、ミュラにも優しく、すぐに軽口を叩けるようになったのは、彼がどこから見ても公爵閣下というより、前衛担当の冒険者にしか見えなかったからかもしれない。
ミュラがこの物語に登場するのは二度目となる。
第二話で、フィオリナやクローディアに給仕をしてやり、癇癪をおこしたフィオリナにギルドにあった食器をほぼ全壊させられたあのギルドの少女がミュラである。
物語は、現在へ。
ミュラは、クローディアの依頼で、魔王宮の入口の受付を手伝っていた・・・・
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