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第134話 血の聖者対魔王
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「フィオリナがいくらしぶとくても、ザクレイ・トッドも不死身だ。
うちに竜を飼うものだぞ。多少の傷はダメージにもはいらない。」
精一杯、強がるドゥルノ・アゴンに笑みをもって答えると、ドロシーは、別の鏡を指さした。
「ドゥルノ・アゴンさま。わたくし、思いまするに、あなたさまは、おっと魔王としての立ち振舞を、学ぶべきかと存じます。」
ドロシーとしては最大限に丁寧にふるまっているつもりだった。
顔が怒りで紅潮し始める主人のまえに、膝を折って、頭を垂れた。
鏡のなかの「魔王」は、「血の聖者」と対峙していた。
戦いに挑むときの、あの狼をイメージした鎧ではない。
クラード高校の制服である。
ちょっと、不良ぽっく着崩しているのが、生意気そうな美少年のリウには、よく似合っている。
「武器も帯びず、学生服姿とは舐められたものよお・・・」
老人はグツグツと笑った。
「まあ、そう言ってくれるな。これにはちゃんと意味がある。」
「ほう? どんな意味が」
「オレは、授業中に教室を抜け出してきたんで、終わったら授業にもどらなにゃならん。」
ぐふっ。
血の聖者がもらしたのは、憤怒のため息だった。
「きさま! 我らとの死合いをなんと心得得る!」
「おまえらが、勝手に仕掛けてきただけだろう?
オレは、別におまえらが籠もったこの迷宮を封鎖して、ほったらかしにしたってよかったんだぞ。一応、ドロシーを助けてやらねばと思ったからのってやっただけだ。
感謝してもらってもいいくらいだ。」
「・・・きさまっ!
まさか、迷宮の転移に、干渉したのかっ!」
「いや?」
リウは手を挙げて、腕輪を見せた。
「これは、オレが自戒の意味でつかた転移封じの腕輪だが、どうも本人の意志で転移する以外の強制転移も封じてしまうらしい。」
「・・・」
「オレを転移させられなかったことで、おまえの目論見は崩れたようだな。
この迷宮のもつ、性質がすべての部屋で、一対一の構図を作り出すように動いている。
オレを消耗させたうえで、ドゥルノ・アゴンの、まえに立たせるつもりだったようだが。」
「黙れ! 旧時代の遺物め!」
サイノスは、自らの錫杖を握りしめた。
カコンッ、と軽い音がして、錫杖から飛び出した針が、サイノス自身の手のひらを貫いた。
噴き出したおびただしい血が、床を濡らしてい。こんな枯れたじいさまのどのにそんなに大量の血液が流れていたのか。
血は足元に。血溜まりを、つくって、それでもなお流血をやめない。
「血で描かれた召喚陣。」
リウは呟いた。
「たいしたものだ。英霊クラスの召喚術か。」
「おまえが、わしの知るバズス=リウなら出し惜しみはせんよ。」
老人は言った。
「もっとも最終的には、ドゥルノ・アゴンにお前を、倒してもらわねばならんのでな。くれぐれも死なぬように頑張れよ。」
血の召喚陣が火を噴いた。
炎に包まれて、現れたのは全身を鎧で覆った戦士だった。
動きのよさを、追求したものらしく、全身を覆う革鎧に、胸部を始め、要所にプロテクターをつけたている。
頭部は昆虫をモチーフにしたらしい兜をすっぽりと、被り、表情は伺えなかった。
「そいつをうち倒せっ! ツーファイ!」
「この姿のときは、仮面騎士王と呼んでもらおう。」
兜のためか、声はややくぐもっていた。
「世のため、ひとのため、魔王リウ。おまえを倒す!」
うちに竜を飼うものだぞ。多少の傷はダメージにもはいらない。」
精一杯、強がるドゥルノ・アゴンに笑みをもって答えると、ドロシーは、別の鏡を指さした。
「ドゥルノ・アゴンさま。わたくし、思いまするに、あなたさまは、おっと魔王としての立ち振舞を、学ぶべきかと存じます。」
ドロシーとしては最大限に丁寧にふるまっているつもりだった。
顔が怒りで紅潮し始める主人のまえに、膝を折って、頭を垂れた。
鏡のなかの「魔王」は、「血の聖者」と対峙していた。
戦いに挑むときの、あの狼をイメージした鎧ではない。
クラード高校の制服である。
ちょっと、不良ぽっく着崩しているのが、生意気そうな美少年のリウには、よく似合っている。
「武器も帯びず、学生服姿とは舐められたものよお・・・」
老人はグツグツと笑った。
「まあ、そう言ってくれるな。これにはちゃんと意味がある。」
「ほう? どんな意味が」
「オレは、授業中に教室を抜け出してきたんで、終わったら授業にもどらなにゃならん。」
ぐふっ。
血の聖者がもらしたのは、憤怒のため息だった。
「きさま! 我らとの死合いをなんと心得得る!」
「おまえらが、勝手に仕掛けてきただけだろう?
オレは、別におまえらが籠もったこの迷宮を封鎖して、ほったらかしにしたってよかったんだぞ。一応、ドロシーを助けてやらねばと思ったからのってやっただけだ。
感謝してもらってもいいくらいだ。」
「・・・きさまっ!
まさか、迷宮の転移に、干渉したのかっ!」
「いや?」
リウは手を挙げて、腕輪を見せた。
「これは、オレが自戒の意味でつかた転移封じの腕輪だが、どうも本人の意志で転移する以外の強制転移も封じてしまうらしい。」
「・・・」
「オレを転移させられなかったことで、おまえの目論見は崩れたようだな。
この迷宮のもつ、性質がすべての部屋で、一対一の構図を作り出すように動いている。
オレを消耗させたうえで、ドゥルノ・アゴンの、まえに立たせるつもりだったようだが。」
「黙れ! 旧時代の遺物め!」
サイノスは、自らの錫杖を握りしめた。
カコンッ、と軽い音がして、錫杖から飛び出した針が、サイノス自身の手のひらを貫いた。
噴き出したおびただしい血が、床を濡らしてい。こんな枯れたじいさまのどのにそんなに大量の血液が流れていたのか。
血は足元に。血溜まりを、つくって、それでもなお流血をやめない。
「血で描かれた召喚陣。」
リウは呟いた。
「たいしたものだ。英霊クラスの召喚術か。」
「おまえが、わしの知るバズス=リウなら出し惜しみはせんよ。」
老人は言った。
「もっとも最終的には、ドゥルノ・アゴンにお前を、倒してもらわねばならんのでな。くれぐれも死なぬように頑張れよ。」
血の召喚陣が火を噴いた。
炎に包まれて、現れたのは全身を鎧で覆った戦士だった。
動きのよさを、追求したものらしく、全身を覆う革鎧に、胸部を始め、要所にプロテクターをつけたている。
頭部は昆虫をモチーフにしたらしい兜をすっぽりと、被り、表情は伺えなかった。
「そいつをうち倒せっ! ツーファイ!」
「この姿のときは、仮面騎士王と呼んでもらおう。」
兜のためか、声はややくぐもっていた。
「世のため、ひとのため、魔王リウ。おまえを倒す!」
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