婚約破棄で終わらない! 策謀家王子と腕力家公爵令嬢 チートな二人のそれからはじまる物語り

此寺 美津己

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魔道院始末

ドロシーのやり方

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ありがたいことに。魔剣研究会の馬鹿どもは。その場では仕掛けてこなかった。
彼らが立ち去ったあと、魔法拳法研究会の唯一の部員、ヤンがそそくさと、立ち去ろとしたのを、ジウルは首根っこ掴んで止めた。
「な、何するんですか。ぼくはもう魔法拳法研究会を辞めるんです。」
「ばかな!あの程度のチンピラに、絡まれたくらいで逃げていては世の中ご、狭くなりすぎるぞ。」
ジウルは本気でそう言って、なあ、とシホウに同意を求めた。

「ヤンよ。お主、強くなりたいか!」

ヤンたちより10は若い。少年たちが一度はハマる絵入りの冒険小説ではよくでてくるシーンだった。
「はい、全然そんなことはないです。
ジウルさん、シホウさんお世話になりました。どうぞ今後もご活躍ください。それじゃあぼく、荷物をまとめますので。」
「本気で退学するつもりか!?」
「いや、もうぼく、西域に留学が決まってるんですよ。まだ期間は本当はいっかげつ以上あるんですが明日にでも旅立つつもりです。」
「まあ少し待ってみよう。」
シホウの巨大な手が、がっと、ヤンの肩を掴んだ。
「いま、オレたちはお前に拳法の基礎となる部分を教え込んできた。
これからは実戦に使える技を仕込む。そして、なんと!
それを実践できる相手を魔剣研究会は用意してくれると言うのだぞ?! 」

「む、無理ですう!
ぼくはもともと護身術として、習おうと思っていただけなんです。」
「まさに!今こそ、護身発動のときだ!」

シホウのほうが、ジウルよりも見かけの年齢はうえだ体格もいい。そのき巨大に説得力があったものか。

「いいか!ミトラの学生街の治安状態が著しく悪く基本的には道を通るものはすべてチンピラ。治安部隊の巡回は基本的にはヤクザだ。お前はそこで生活をして行かなければならぬのだぞ。」
なんとなく、ヤンは頷いてしまった。

「よしっ!」
シホウは頷いた。そしてジウル振り返った。
「あとはたのむぞ。即効性のある拳法というと、あの銀雷の魔女の拳しかあるまい。」

「即効性って」
「一晩で、だ。」
ひえええっ
と、ヤンが叫んだ。
「今晩出ていかないと、〆られるんだろ。なら、これから、さっそく実践訓練だ。


うむうむ。とシホウが満足そうに頷いた。

“この、お人たちって、魔剣研究会なんかよりよほどやばいお方なのでは! ”
ヤンは思ったが、ジウルはさっそく腕に氷をまとって相手をぶんなぐる方法を伝授し始めた。

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ご覧いただきありがとうございます。なんとか完結しました。彼らの物語はまだ続きます。後日談https://www.alphapolis.co.jp/novel/807186218/844632510
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