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クエスト 披露宴に出席せよ
王様とその恋びと
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リアは、教室を出たところで、呼び止められた。
リアは、相手の顔を睨む。
そのまま、通り過ぎようとしたら、腕を掴まれた。
クローディア大公国の姫君に対するには、あまりにも無礼だろう。もっとも声をかけたのは、グランダ現国王のエルマート陛下である。
ちなみに、彼とリアはその昔、付き合っていた。
わずかに一年に満たない昔だった。
別れたのは、王室の影のせいだった。邪魔をされたわけではない。
逆だった。
リアの寝室を尋ねた影は、丁寧にリアに、王子の「相手」をしてくれたことの礼をのべ、謝礼を差し出した。
下町育ちで、二つ名持ちのワルだった彼女は、いろいろなことに詳しく、その金額が高級店で娼婦を買うのと大体同等であったことに 気がついた。
さらに影はこののち、エルマートとの関係を続けたいかを冷静に尋ねた。
そうしたい、とエルマートを本気で愛しく思っていたリアは、答えた。
ふ自分の立ち位置が王家にとっては、王子を手ほどきした高級娼婦と同じであったことにかなりのショックを受けていたが、少なくとも第二王子との関係を続けることは、貧民層の出身で、その魔道の才を見込まれて男爵家の養女になったリアにとっては、しがみつきたい絆ではあったのだ。
そこで、リアは、自分が正式な妻にはなれないことを聞かされた。
それは、ある意味納得していたが、さらに同じ屋敷に住むことも、彼と共に人前にでることも出来ないと言われて、心が折れた。
彼女は、故郷の下町ではかなりの、顔だった。
治安を担当する近衛の隊長から「三丁目の悪夢」と呼ぼれたのがそのまま、二つ名となった。とはいえ、まだ十代半ばの少女である。
ほどなく、リアはエルマートと別れ、いささか荒れた数ヶ月を送ったのだ。
それはエルマートも同様で、彼は級友から「王室の種馬」とあだ名された。
実際に、女の子を妊娠させてしまった訳ではなかったが、馬小屋でことにおよんでいたところを、見つかったのである。
それから短くも濃厚なときが、過ぎ去り、エルマートは父王の退位により、王位についた。
リアといえば、王太子の婚約破棄騒動に巻き込まれ、養女になっていた男爵家を勘当され、学校からは放校され、食うあてを探して冒険者になり。
気がついた時は、クローディア「大公家」の猶子となっていた。
「イリア!」
と縋るように呼ぶ若き王を、上から目線で、リアは見返した。
「リアと呼んでください。それから、一応はリア姫と呼んでください。」
1拍おいてから、付け加えた。「陛下。」
冒険の中でリアが好きになった男には、クローディア家の嫡子という婚約者がいて、先日彼女はその結婚式の招待状を、受けとった。
「ハルトにいの結婚式に出ることになった!」
相変わらず、人の言うことを聞かない。
「あ、わたしも出席いたします。」
え?とエルマートは怪訝そうな顔をした。
「ギムリウスさまが招待状を持ってきてくれました。ミトラにはみんな揃っていくから少し準備がいるって。」
「イリアもいくのか!」
戴冠後、いや、魔王宮でともに冒険を行ったあたりで、ふたたびエルマートは、リアに懐き始めていた。
そうなってみると、面白きことに愛し合っていたその昔は、第二王子と下町出身の男爵家養女という、身分の差があったが、現在は国王と、クローディア公国の姫君という身分的には、まえよりよほど釣り合いがとれていた。
だだリアにそんな気がなくなっていただけの事だった。
リアは、相手の顔を睨む。
そのまま、通り過ぎようとしたら、腕を掴まれた。
クローディア大公国の姫君に対するには、あまりにも無礼だろう。もっとも声をかけたのは、グランダ現国王のエルマート陛下である。
ちなみに、彼とリアはその昔、付き合っていた。
わずかに一年に満たない昔だった。
別れたのは、王室の影のせいだった。邪魔をされたわけではない。
逆だった。
リアの寝室を尋ねた影は、丁寧にリアに、王子の「相手」をしてくれたことの礼をのべ、謝礼を差し出した。
下町育ちで、二つ名持ちのワルだった彼女は、いろいろなことに詳しく、その金額が高級店で娼婦を買うのと大体同等であったことに 気がついた。
さらに影はこののち、エルマートとの関係を続けたいかを冷静に尋ねた。
そうしたい、とエルマートを本気で愛しく思っていたリアは、答えた。
ふ自分の立ち位置が王家にとっては、王子を手ほどきした高級娼婦と同じであったことにかなりのショックを受けていたが、少なくとも第二王子との関係を続けることは、貧民層の出身で、その魔道の才を見込まれて男爵家の養女になったリアにとっては、しがみつきたい絆ではあったのだ。
そこで、リアは、自分が正式な妻にはなれないことを聞かされた。
それは、ある意味納得していたが、さらに同じ屋敷に住むことも、彼と共に人前にでることも出来ないと言われて、心が折れた。
彼女は、故郷の下町ではかなりの、顔だった。
治安を担当する近衛の隊長から「三丁目の悪夢」と呼ぼれたのがそのまま、二つ名となった。とはいえ、まだ十代半ばの少女である。
ほどなく、リアはエルマートと別れ、いささか荒れた数ヶ月を送ったのだ。
それはエルマートも同様で、彼は級友から「王室の種馬」とあだ名された。
実際に、女の子を妊娠させてしまった訳ではなかったが、馬小屋でことにおよんでいたところを、見つかったのである。
それから短くも濃厚なときが、過ぎ去り、エルマートは父王の退位により、王位についた。
リアといえば、王太子の婚約破棄騒動に巻き込まれ、養女になっていた男爵家を勘当され、学校からは放校され、食うあてを探して冒険者になり。
気がついた時は、クローディア「大公家」の猶子となっていた。
「イリア!」
と縋るように呼ぶ若き王を、上から目線で、リアは見返した。
「リアと呼んでください。それから、一応はリア姫と呼んでください。」
1拍おいてから、付け加えた。「陛下。」
冒険の中でリアが好きになった男には、クローディア家の嫡子という婚約者がいて、先日彼女はその結婚式の招待状を、受けとった。
「ハルトにいの結婚式に出ることになった!」
相変わらず、人の言うことを聞かない。
「あ、わたしも出席いたします。」
え?とエルマートは怪訝そうな顔をした。
「ギムリウスさまが招待状を持ってきてくれました。ミトラにはみんな揃っていくから少し準備がいるって。」
「イリアもいくのか!」
戴冠後、いや、魔王宮でともに冒険を行ったあたりで、ふたたびエルマートは、リアに懐き始めていた。
そうなってみると、面白きことに愛し合っていたその昔は、第二王子と下町出身の男爵家養女という、身分の差があったが、現在は国王と、クローディア公国の姫君という身分的には、まえよりよほど釣り合いがとれていた。
だだリアにそんな気がなくなっていただけの事だった。
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