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クエスト 披露宴に出席せよ
拗らせるものたち
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ザックは戸惑っている。
アモンの言ってることはわかる。
『古竜』を『人化』させた状態でミトラまで運ぶのは、たしかに魔道列車が安全で確実だろう。
人化されてもなお、もともとの質量が質量なためか転移はきわめて、使いにくいのた。
また、人化した状態で飛行ができるものも少ない。
逆に、竜の姿で西方の大都市上空に姿を現したらそれだけで大事件になってしまう。
そしてそいつらを引率できるのは、普通の人間では無理だ。
竜は、定命種である人間の言葉など、まず聞かない。逆に言えば、言うことさえ聞いてくれれば不可能なことでは無い。
切符を買ってやって、目的地までここに座っておけと、言えば従ってくれだろう。
「しかし、なぜ魔王宮の古竜をミトラに?
ギウリークを滅ぼすつもりか?」
「いや、結婚式だ。」
ザックは飲みかけた酒の大半を、テーブルに吐き出した。
「汚いな。」
アモンは顔をしかめてそう言ったが、たしかにその通り。
「誰の?」
「ルト坊やとフィオリナ嬢だ。ようやく、ルトがその気になってな。」
「そ、それは、めでたい‥いやめでたいでいいか?
それを第三層は全力で阻止すると、そういうことか?」
「なんでそうなる?」
アモンは抗議した。
「古来、結婚式に古竜が現れるのは、吉兆だろうが。」
「そんな風習はあったが。」
ザックは、アモンを睨んだ。
「何体連れていくつもりだ?」
「全員、だな。すでに全員人化をすませて、旧帝都の宿屋に隔離、もとい閉じ込め、、いや待機してもらっている。
わたしとギムリウスが、まる一日かけてじっくりと一般常識を教え込んだので、なにも問題はないと思うので、まあ、お主の存在は後詰めだな。実際に活躍してもらう場面はないだろう、とふんでいる。」
まる一日以上、閉じ込められてた竜の集団か!
さすがのザックも背筋につめたいものが、走るのを感じた。
竜はその巨体と相まって「閉じ込められる」ことを極端に嫌う。
魔王宮の第三層も、圧迫感を感じさせぬ様、通路や空洞など、人間が見れば「広大」としかいいようのないつくりになっていた。
相手が、リアモンドなら、直接文句はいわないだろうが。
押し込められたストレスは、どこで誰に発散されるかわからない。
“これはローゼも連れていけんな。”
ザックは心の中でつぶやいた。
“そもそも俺が無事でも周りのすべてが消失する自体は、避けられんだろうが。”
「まあ。なにがしかのトラブルも予想はしている。」
アモンは、手を挙げて飲み物を頼んだ。
「結婚に納得してないものもいるのだ。」
「誰が?
クローディア大公か?
まさか、踊る道化師の誰か・・・・だとか?」
「それが」
アモンは重々しく頷いた。
「フィオリナでな。」
よし。決めた。
ミトラごと全部吹き飛ばしてなにもなかったことにしよう。
ザックは心に決めた。
アモンの言ってることはわかる。
『古竜』を『人化』させた状態でミトラまで運ぶのは、たしかに魔道列車が安全で確実だろう。
人化されてもなお、もともとの質量が質量なためか転移はきわめて、使いにくいのた。
また、人化した状態で飛行ができるものも少ない。
逆に、竜の姿で西方の大都市上空に姿を現したらそれだけで大事件になってしまう。
そしてそいつらを引率できるのは、普通の人間では無理だ。
竜は、定命種である人間の言葉など、まず聞かない。逆に言えば、言うことさえ聞いてくれれば不可能なことでは無い。
切符を買ってやって、目的地までここに座っておけと、言えば従ってくれだろう。
「しかし、なぜ魔王宮の古竜をミトラに?
ギウリークを滅ぼすつもりか?」
「いや、結婚式だ。」
ザックは飲みかけた酒の大半を、テーブルに吐き出した。
「汚いな。」
アモンは顔をしかめてそう言ったが、たしかにその通り。
「誰の?」
「ルト坊やとフィオリナ嬢だ。ようやく、ルトがその気になってな。」
「そ、それは、めでたい‥いやめでたいでいいか?
それを第三層は全力で阻止すると、そういうことか?」
「なんでそうなる?」
アモンは抗議した。
「古来、結婚式に古竜が現れるのは、吉兆だろうが。」
「そんな風習はあったが。」
ザックは、アモンを睨んだ。
「何体連れていくつもりだ?」
「全員、だな。すでに全員人化をすませて、旧帝都の宿屋に隔離、もとい閉じ込め、、いや待機してもらっている。
わたしとギムリウスが、まる一日かけてじっくりと一般常識を教え込んだので、なにも問題はないと思うので、まあ、お主の存在は後詰めだな。実際に活躍してもらう場面はないだろう、とふんでいる。」
まる一日以上、閉じ込められてた竜の集団か!
さすがのザックも背筋につめたいものが、走るのを感じた。
竜はその巨体と相まって「閉じ込められる」ことを極端に嫌う。
魔王宮の第三層も、圧迫感を感じさせぬ様、通路や空洞など、人間が見れば「広大」としかいいようのないつくりになっていた。
相手が、リアモンドなら、直接文句はいわないだろうが。
押し込められたストレスは、どこで誰に発散されるかわからない。
“これはローゼも連れていけんな。”
ザックは心の中でつぶやいた。
“そもそも俺が無事でも周りのすべてが消失する自体は、避けられんだろうが。”
「まあ。なにがしかのトラブルも予想はしている。」
アモンは、手を挙げて飲み物を頼んだ。
「結婚に納得してないものもいるのだ。」
「誰が?
クローディア大公か?
まさか、踊る道化師の誰か・・・・だとか?」
「それが」
アモンは重々しく頷いた。
「フィオリナでな。」
よし。決めた。
ミトラごと全部吹き飛ばしてなにもなかったことにしよう。
ザックは心に決めた。
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ご覧いただきありがとうございます。なんとか完結しました。彼らの物語はまだ続きます。後日談https://www.alphapolis.co.jp/novel/807186218/844632510
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