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宴の後始末
11,フィオリナは語る
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ああ、ミュラのアレ、アレね。
ああ、ユニークだし、よく考えられた魔法だし。発動も早い。制御も抜群。
実際、なにをやってるかって?
・・・・
空気の膜をつくってやってるの。
自分の体の周りに。相手の周りに。相手と自分の間に。
それを自在にコントロールするものだから、握ったつもりの手がすっぽ抜けたり、なぐりかかった拳がすり抜けたり。あと、少し足元に細工してやると躓かせたりよろめかせたりけっこう簡単にやってのける。
ほら、もともと、二本足でたってること自体が不安定なわけだし。
歩くにも走るにも、どちらかの足に重心をかけるわけだから、それ自体がもう転ぶための動作なわけ。
それに彼女のいやらしい風の魔法をプラスすると。
まあ、すべって転んでそのまま、起き上がれなくすることくらい相手が複数でも簡単にやってのけるでしょ。
え?
もちろん、ミュラの能力は高く評価してる。魔力だけじゃなくて、仕事についての能力もね。
ああ・・・・美人だよね、彼女。
え?
まあ、それはいろいろと。
はあ。いくらなんでも素面じゃ話せないよ、そんなこと。
いや、そんなことはしてないけど!
そっちの方面はちょっと保留にしようよ。
あんまり、秘密をつくりたくはないんだけど、いくらなんでも明るいうちに話すようなことじゃないと思う。
魔法の話に戻すよ?
たしかにあれはすごいと思う。
さっきも言ったけど、空気のコントロールをそっちに使おうって発想がユニークだよ。
ふつは風をつよくするとか。
風刃だったら、強くするとか数を多く出すとか。
そうじゃなくて、攻撃と防御と。
どっちにも使えるように術を繊細にコントロールしてのける。
よく修練したと思う。
でもねえ。
もともとミュラはそういうタイプじゃないのよ。
もともとの得意はダイレクトな攻撃魔法。
風の魔法でも、そのまま、相手を吹き飛ばすような竜巻とか。
風魔法で、滑空しながら、続けて火炎球を打ち出すなんてのが、得意だったはず。
どうして、それが今みたいな戦い方に変わったか?
まあ、いいにくいけど、わたしたちに会ってしまったから・・・でしょうね。
もともと魔力キャパの大きさがミュラの持ち味だったのよ。
それが、さらに大きな力をもつ、わたしに会ってしまった・・・・
同じやり方・・・ダイレクトに攻撃魔法をぶっ放すんじゃあ、わたしに敵わない。
敵わなくても別に、充分、優秀なんだからいいと思うんだけど。
彼女なりに、わたしの側に居場所を見つけたかったんでしょうね。
同じことしてても、わたしの劣化版になるだけだから、できるだけ、わたしの側にいて、わたしの補助ができるような、そんな力がほしかったんだと思う。
相手にスキを作ったり、出鼻をくじいたり。
止めはわたしがさす、みたいな?
はあ。
ってため息つかないで。わたしのほうがため息をつきたい。
ひとを育てるって難しいね。
そう。
そういう立ち位置って、ハルトのポジションなんだよね。
だから、結局、ミュラがたどりついたのは、ハルトの下位互換バージョン。わたしにとっては、いちばんいらないポジジョンなんだから。可笑しいけど、泣けちゃうよね。
で、これのなにがまずいかって。
転んだくらいじゃ、まともな相手はくじけないんだよ。
なんど転ばせたって、立ち上がろうとしてくる。
「止め」のさせないミュラの戦い方じゃあ、わたしがいないと「負け」が決定してるようなものだから。
そりゃあ。
もし相手がこどもだったから?
相手がこどもだったりしたら、そりゃあ、泣くよね。
うん、泣かすまでやり続けるの、彼女けっこう得意だから。
けっこう、加虐趣味があるんじゃないかとふんでる、実は!
いや、違う。わたしがあの子と肌を合わせないのはそういうことを心配してるわけじゃなくて。
どうしてもそっちの話がしたい?
ああ、ユニークだし、よく考えられた魔法だし。発動も早い。制御も抜群。
実際、なにをやってるかって?
・・・・
空気の膜をつくってやってるの。
自分の体の周りに。相手の周りに。相手と自分の間に。
それを自在にコントロールするものだから、握ったつもりの手がすっぽ抜けたり、なぐりかかった拳がすり抜けたり。あと、少し足元に細工してやると躓かせたりよろめかせたりけっこう簡単にやってのける。
ほら、もともと、二本足でたってること自体が不安定なわけだし。
歩くにも走るにも、どちらかの足に重心をかけるわけだから、それ自体がもう転ぶための動作なわけ。
それに彼女のいやらしい風の魔法をプラスすると。
まあ、すべって転んでそのまま、起き上がれなくすることくらい相手が複数でも簡単にやってのけるでしょ。
え?
もちろん、ミュラの能力は高く評価してる。魔力だけじゃなくて、仕事についての能力もね。
ああ・・・・美人だよね、彼女。
え?
まあ、それはいろいろと。
はあ。いくらなんでも素面じゃ話せないよ、そんなこと。
いや、そんなことはしてないけど!
そっちの方面はちょっと保留にしようよ。
あんまり、秘密をつくりたくはないんだけど、いくらなんでも明るいうちに話すようなことじゃないと思う。
魔法の話に戻すよ?
たしかにあれはすごいと思う。
さっきも言ったけど、空気のコントロールをそっちに使おうって発想がユニークだよ。
ふつは風をつよくするとか。
風刃だったら、強くするとか数を多く出すとか。
そうじゃなくて、攻撃と防御と。
どっちにも使えるように術を繊細にコントロールしてのける。
よく修練したと思う。
でもねえ。
もともとミュラはそういうタイプじゃないのよ。
もともとの得意はダイレクトな攻撃魔法。
風の魔法でも、そのまま、相手を吹き飛ばすような竜巻とか。
風魔法で、滑空しながら、続けて火炎球を打ち出すなんてのが、得意だったはず。
どうして、それが今みたいな戦い方に変わったか?
まあ、いいにくいけど、わたしたちに会ってしまったから・・・でしょうね。
もともと魔力キャパの大きさがミュラの持ち味だったのよ。
それが、さらに大きな力をもつ、わたしに会ってしまった・・・・
同じやり方・・・ダイレクトに攻撃魔法をぶっ放すんじゃあ、わたしに敵わない。
敵わなくても別に、充分、優秀なんだからいいと思うんだけど。
彼女なりに、わたしの側に居場所を見つけたかったんでしょうね。
同じことしてても、わたしの劣化版になるだけだから、できるだけ、わたしの側にいて、わたしの補助ができるような、そんな力がほしかったんだと思う。
相手にスキを作ったり、出鼻をくじいたり。
止めはわたしがさす、みたいな?
はあ。
ってため息つかないで。わたしのほうがため息をつきたい。
ひとを育てるって難しいね。
そう。
そういう立ち位置って、ハルトのポジションなんだよね。
だから、結局、ミュラがたどりついたのは、ハルトの下位互換バージョン。わたしにとっては、いちばんいらないポジジョンなんだから。可笑しいけど、泣けちゃうよね。
で、これのなにがまずいかって。
転んだくらいじゃ、まともな相手はくじけないんだよ。
なんど転ばせたって、立ち上がろうとしてくる。
「止め」のさせないミュラの戦い方じゃあ、わたしがいないと「負け」が決定してるようなものだから。
そりゃあ。
もし相手がこどもだったから?
相手がこどもだったりしたら、そりゃあ、泣くよね。
うん、泣かすまでやり続けるの、彼女けっこう得意だから。
けっこう、加虐趣味があるんじゃないかとふんでる、実は!
いや、違う。わたしがあの子と肌を合わせないのはそういうことを心配してるわけじゃなくて。
どうしてもそっちの話がしたい?
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ご覧いただきありがとうございます。なんとか完結しました。彼らの物語はまだ続きます。後日談https://www.alphapolis.co.jp/novel/807186218/844632510
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