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第110話 魔王の語る物語~1
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人間というのはいいもんだな。
三杯めのお茶をお替りしながら、バズズ・リウが思ったのはそんなことである。
もともと、魔族とは言っても人間の亜種に違いはない。さまざまな国で暮らしていた魔族やその末裔を集めて国を立ち上げたのは彼の父親だった。
服装も食べ物も酒も住居もいろいろな国々のごちゃまぜだ。
それでもそこには暮らしがある。
暮らすうちに互いの約束事ができ、風習ができる。
結婚のときはこうする。
子が生まれたならこうする。
学校は。習い事は。
収穫があれば祭りがあり、ときには諍いもある。
そうして人間は生きていくのであり、バズス=リウはそういうところで生まれた。
バズス=リウは、彼の民を愛していた。
老人が若者の愚痴をいい、若者は恋にうつつを抜かし、それでもだれも食べるものにも暮らす場所にも困らない。
そんな民が気に入っていたし、そんな生活を守りたいと思っていた。
北の大地での暮らしは厳しい。
食糧となる植物は、なかなか育たず、食糧の調達は狩りの比重が高い。
鳥を落とすのは至難の業だ。
小動物にしてもその敏捷性は人間をはるかに勝る
そして、人間より巨大な体躯をもつ獣は。それだけで脅威だ。
そしてこの国に集った魔族は必ずしも猟で身を立てていたとは限らない。
だが、バズス=リウが産まれてからというもの不思議と狩りの成功率はあがっていった。
強力な魔力を持つものも増え、この王子は、民に祝福をもたらす幸運の王子ではないかと人々は噂し、王もまた我が子の成長に目を細めていた。
母もまた。
王が若くして不慮の事故で他界することになったときも、バズス=リウがいればこの国は安泰だと。
若き王に冠をかぶせながら、人々はそう噂し、しばらくはなにもかも順調に思えた。
「・・・オレばかりしゃべっているな。」
バズス=リウは苦笑した。
「お聞きします。たぶん、人間の話し相手にはお困りだったでしょうから。
知性のある魔物たちだって、話はできますが、いまの陛下?(リウでいい)リウの話に関心をもってくれそうなのは、いませんから。
かろうじて、オロア老師か、リンド姉妹かな。
それ以外の連中は、例えばリアモンドは、あなたが苦しんでいることを察知し、同情はしてくれるでしょうけど、あなたが何を苦しんでいるのかは、理解できない。」
「一応、六層にウィルニアというやつがいて、あれは人間なのだが。」
「あの人は知識欲のバケモノですから。あなたの話に関心はもってくれますが、それはあくまで魔族の魔素過敏症と、あなたの魔素への学問的な好奇心を満たすことに夢中になって、リアモンドほどにも同情はしてくれないでしょう。
あれは人間だと思ったらダメです。
あれは“大賢者ウィルニア”というこの世界に唯一の生命体です。」
「そうか。」
なにか腑に落ちたように、リウは大きく頷いた。
「そう考えれば、彼が人間でありながら人間ばなれしていることも説明がつく。
リンドはウィルニアとは昔からの知り合いのようだったし、オロアはウィルニアの弟子だ。
そう考えると、オレがいかに孤独だったかわかるだろう?」
「充分、愉快な仲間に囲まれているとは思いますけど。まあ、人間の友人がほしいってのはわかります。人間じゃないと理解できないことってありますから。」
リウは、ラスティに魚を獲ってくるようたのんだ。
長話に少し飽きていたラスティは喜んで、海に向かって飛びったった。
翼をひろげた少女は、ひかりの渦とともに真白の竜に姿になり、波間に姿を消した。
「・・・・あれをどうやって負かしたんだ?」
「・・・・負かしたわけじゃないです。
ぼくがあなたに害意もないし、もし害意があってもあなたの強さならなんの実害もないから通してくれと説得しただけです。」
「ひょっとして言い負かした、ということか。」
「そうとも言います。」
「なんなんだ、おまえは?」
「駆け出し冒険者のルト、ですね。」
「そのふざけた設定をやめろと言われたことは?」
「2回くらいです。」
予兆はいつからだろう。
少しずつ、少しずつ。
犯罪が増えていったのだ。
それも友人同士が、家族が、互いを殺し合うといった悲惨な犯罪が。
平穏に暮らしているはずのものの中にそういった犯罪が増えていった。
それが、濃すぎる魔素のために、性格そのものが凶暴なものに変質していった結果おこったものだと気がついたときには、もう遅かった。
平和だったはずの彼の国は、異様なまでに戦いを欲する国に変わっていたのである。
また、戦い続けない限り、その暴力はもっとも身近なものに向かう。
子供や伴侶、親、友人。
これは互いにいえることであって、仲の良かった友人が、愛する妻が、かわいい子供が、いつなんどき、牙をむいてくるか、もうわからなかった。
濃い魔素を過剰に摂取し続けるとそうなる、ことはわかっていた。
もともとそういう体質が故に差別をうけていたのが、魔族だったから。
だが、なぜ。
どこから、そんな濃い魔素が。
それが、この国の若き王、バズス=リウから放出されていたものだということがやっとわかったとき。
この北の大地を併呑せんと、偶然にも、まさにこのときに西域のとある国家が軍隊を送り込んできたのである。
魔族の戦いに対する欲求は、彼らに対して爆発した。
百倍の軍に勝利した。
と、記録にはある。
「実際はそうでもない。」
リウは、乾かした流木を組み立てて、火をつけた。
そろそろ、薄暗くなった浜辺に焚き火が灯る。
「魔族は、幼子から年寄りまで、魔素の影響でとんでもない、魔力、体力を発揮できた。だから国民のほぼ全員が兵士みたいなもんだった。
むこうも辺境の蛮族を皆殺しにするつもりで攻めてきたんだから、文句もいえないだろうが、捕虜にとったやつら以外は全滅、だった。」
リウは、笑ったがそれは引きつったなんとも嫌な笑い方だった。
「この戦の間は、魔素過多による犯罪はゼロだった。ようは戦わせてやれば、民は正気に戻るんだ。
で、我々は、捕虜から情報を掴み、あらためて遠征軍を組織すると、彼の国に報復のために乗り込んだわけだ。」
三杯めのお茶をお替りしながら、バズズ・リウが思ったのはそんなことである。
もともと、魔族とは言っても人間の亜種に違いはない。さまざまな国で暮らしていた魔族やその末裔を集めて国を立ち上げたのは彼の父親だった。
服装も食べ物も酒も住居もいろいろな国々のごちゃまぜだ。
それでもそこには暮らしがある。
暮らすうちに互いの約束事ができ、風習ができる。
結婚のときはこうする。
子が生まれたならこうする。
学校は。習い事は。
収穫があれば祭りがあり、ときには諍いもある。
そうして人間は生きていくのであり、バズス=リウはそういうところで生まれた。
バズス=リウは、彼の民を愛していた。
老人が若者の愚痴をいい、若者は恋にうつつを抜かし、それでもだれも食べるものにも暮らす場所にも困らない。
そんな民が気に入っていたし、そんな生活を守りたいと思っていた。
北の大地での暮らしは厳しい。
食糧となる植物は、なかなか育たず、食糧の調達は狩りの比重が高い。
鳥を落とすのは至難の業だ。
小動物にしてもその敏捷性は人間をはるかに勝る
そして、人間より巨大な体躯をもつ獣は。それだけで脅威だ。
そしてこの国に集った魔族は必ずしも猟で身を立てていたとは限らない。
だが、バズス=リウが産まれてからというもの不思議と狩りの成功率はあがっていった。
強力な魔力を持つものも増え、この王子は、民に祝福をもたらす幸運の王子ではないかと人々は噂し、王もまた我が子の成長に目を細めていた。
母もまた。
王が若くして不慮の事故で他界することになったときも、バズス=リウがいればこの国は安泰だと。
若き王に冠をかぶせながら、人々はそう噂し、しばらくはなにもかも順調に思えた。
「・・・オレばかりしゃべっているな。」
バズス=リウは苦笑した。
「お聞きします。たぶん、人間の話し相手にはお困りだったでしょうから。
知性のある魔物たちだって、話はできますが、いまの陛下?(リウでいい)リウの話に関心をもってくれそうなのは、いませんから。
かろうじて、オロア老師か、リンド姉妹かな。
それ以外の連中は、例えばリアモンドは、あなたが苦しんでいることを察知し、同情はしてくれるでしょうけど、あなたが何を苦しんでいるのかは、理解できない。」
「一応、六層にウィルニアというやつがいて、あれは人間なのだが。」
「あの人は知識欲のバケモノですから。あなたの話に関心はもってくれますが、それはあくまで魔族の魔素過敏症と、あなたの魔素への学問的な好奇心を満たすことに夢中になって、リアモンドほどにも同情はしてくれないでしょう。
あれは人間だと思ったらダメです。
あれは“大賢者ウィルニア”というこの世界に唯一の生命体です。」
「そうか。」
なにか腑に落ちたように、リウは大きく頷いた。
「そう考えれば、彼が人間でありながら人間ばなれしていることも説明がつく。
リンドはウィルニアとは昔からの知り合いのようだったし、オロアはウィルニアの弟子だ。
そう考えると、オレがいかに孤独だったかわかるだろう?」
「充分、愉快な仲間に囲まれているとは思いますけど。まあ、人間の友人がほしいってのはわかります。人間じゃないと理解できないことってありますから。」
リウは、ラスティに魚を獲ってくるようたのんだ。
長話に少し飽きていたラスティは喜んで、海に向かって飛びったった。
翼をひろげた少女は、ひかりの渦とともに真白の竜に姿になり、波間に姿を消した。
「・・・・あれをどうやって負かしたんだ?」
「・・・・負かしたわけじゃないです。
ぼくがあなたに害意もないし、もし害意があってもあなたの強さならなんの実害もないから通してくれと説得しただけです。」
「ひょっとして言い負かした、ということか。」
「そうとも言います。」
「なんなんだ、おまえは?」
「駆け出し冒険者のルト、ですね。」
「そのふざけた設定をやめろと言われたことは?」
「2回くらいです。」
予兆はいつからだろう。
少しずつ、少しずつ。
犯罪が増えていったのだ。
それも友人同士が、家族が、互いを殺し合うといった悲惨な犯罪が。
平穏に暮らしているはずのものの中にそういった犯罪が増えていった。
それが、濃すぎる魔素のために、性格そのものが凶暴なものに変質していった結果おこったものだと気がついたときには、もう遅かった。
平和だったはずの彼の国は、異様なまでに戦いを欲する国に変わっていたのである。
また、戦い続けない限り、その暴力はもっとも身近なものに向かう。
子供や伴侶、親、友人。
これは互いにいえることであって、仲の良かった友人が、愛する妻が、かわいい子供が、いつなんどき、牙をむいてくるか、もうわからなかった。
濃い魔素を過剰に摂取し続けるとそうなる、ことはわかっていた。
もともとそういう体質が故に差別をうけていたのが、魔族だったから。
だが、なぜ。
どこから、そんな濃い魔素が。
それが、この国の若き王、バズス=リウから放出されていたものだということがやっとわかったとき。
この北の大地を併呑せんと、偶然にも、まさにこのときに西域のとある国家が軍隊を送り込んできたのである。
魔族の戦いに対する欲求は、彼らに対して爆発した。
百倍の軍に勝利した。
と、記録にはある。
「実際はそうでもない。」
リウは、乾かした流木を組み立てて、火をつけた。
そろそろ、薄暗くなった浜辺に焚き火が灯る。
「魔族は、幼子から年寄りまで、魔素の影響でとんでもない、魔力、体力を発揮できた。だから国民のほぼ全員が兵士みたいなもんだった。
むこうも辺境の蛮族を皆殺しにするつもりで攻めてきたんだから、文句もいえないだろうが、捕虜にとったやつら以外は全滅、だった。」
リウは、笑ったがそれは引きつったなんとも嫌な笑い方だった。
「この戦の間は、魔素過多による犯罪はゼロだった。ようは戦わせてやれば、民は正気に戻るんだ。
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