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第105話 神獣フェンリルとの戦い
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神獣。
人にあらざるものが長い年月を経て知性と魔力を手に入れた存在。
光の鞭が、その毛皮に当たるが虚しく火花をあげて跳ね返された。
襲い来る巨体をかいくぐりながら、リヨンは全身に魔力場をまとう。
同程度の巨体をもつ大蜘蛛には、肉弾戦を挑んだリヨンであったが、こいつが生き物としてのレベルがまるで違うのだ。
体の力場は、強靭な鎧として彼女を守ってくれるはず・・・だ。
実際に、ザックの爪がリヨンをかすめた。
かすめたところから、光の粒子が飛び散る。
物理的な衝撃なら、無敵に近い耐久力をもつ力場が、これだ。
かわしたつもりの爪は、軽々とリヨンの腕の骨までえぐっただろう。
案外、その威力のおよぶ範囲は、実際に「爪」として形成されている範囲より広いのかもしれない。
足のスネから分離した骨が、鋭利な刃物となって実装された。
リヨンの体の一部だから、当然、彼女の魔力にもなじみやすい。
流した魔力によりただの「物質」ではありえない切断力をもった骨剣を、蹴りと一緒に叩き込む。
彼女の骨の剣は、光の鞭をかるがると粉砕した銀の毛皮を通し、肉体に切り込む。
確かに切り込んだ。
そして、折れた。
生じた激痛は、リヨン自身の骨が折れたのだから当然である。
それで動きをとめるようなやわな戦士ではない。
だが、ザックにちょっぴり傷をこしらえたのと、剣化させて体の外に飛び出たものとはいえ、骨折させられたのでは、どう考えてもリヨンのほうがダメージが大きい。
体をおおった力場を解除し、叫ぶ。
声のかわりにプラズマ球が、飛び出て、ザックを襲う。
ザックは避ける代わりに、自らも口をあけた。
フェンリルの咆哮。
青白く輝くビームが、プラズマ球をとらえ、消滅させる。
余波の爆風に、リヨンはふっとび、床をすべってそのまま壁にたたきつけられた。
肋骨が折れた。
刺さった内部の器官は、いまは「肺」としては機能していない。重傷ではあるのだろうが、致命傷にはならない。
リヨンの手から発されたエネルギーが、目の前の空間にからみつき、それをむしりとった。
空間をつぶして、リヨンは、ザックの左後方に転移する。そこから、もう一度プラズマ球を放とうとしたのだ。
だが、ザックが振り返り、もう一度ビームを放つほうが早かった。
とっさに力場を再び全身をおおう防御用のものに戻す。
そんなものが、役に立つのかはわからなかったが。
全身の力場は粒子となってきえ、再び壁に叩きつけられた。
きつい。
体の全面が炭化しかけ、ぼろぼろの状態だった。
からだを起こしたが、眼がみえない。
手足の感触はあるので、とりあえずまだ、存在はしているのだろう。
かろうじて歩く。
一歩。
二歩。
三歩めをふみだしたところで、からだが傾く。
左の足は指をすべて失っていた。こうなってしまうと歩くのは難しい。
倒れかけた体を誰かが支えてくれた。
「ザック殿。これはもう戦う力を失っております。」
クローディア公爵だった。
わたしのゆうしゃ、さま。
声を出そうとしたが、リヨンの喉も声帯もやけただれていた。
やったあ、だきしめてもらったよ。
戦いのために痛覚もある程度殺している。
でなければ、気を失ったほうがいい傷だった。
目も鼻もわからない。
かろうじてあるのは口、くらいか。
だが命さえつなげば、治療は可能だろう。現代の再生と治療の技術はそこまで進歩している。
「残念ですが、公爵閣下。」
カーラが声をかけた。
「治療は、戦いが終わるまで保留させていただきます。
まだ、いまの時点ではその子は敵です。」
「だ、そうだ。クリューク殿。
この争いは中止しないか?
治療のためにリヨンを迷宮外に連れ出したい。
お主の目的は、仲間を犠牲にしても達せねばならぬことか?
その目的は・・・なんだ?」
「わたし自身の目的は、魔王宮最奥に眠る、この迷宮の主に会うこと。」
クリュークの声は、低かったが誰の耳にもはっきりと届いた。
それは、脳内をこだまするように、その場にいた全員の心に刻みつけられた。
「この目的を達するまでは、わたしはここを出ません。」
「これが、魔術的な力をもった誓約、というやつです。」
巨大なワンコは、おすわりをして、クローディアの前にいる。
「破ることは著しく困難。ですが、誓約に沿った行動を行う場合には、力が付与されます。
おそらく、ヴァルゴールを降ろすためにわざとそうしたのでしょう。
神降ろしはそう簡単になせる技ではありません。」
「その・・・口から出た光の放流はわざと威力をしぼったのか?」
「よくお気づきで。」
しっぽがパタパタとふられた。
「ですが、リヨンの命を惜しんだわけではありません。角度と方向から閣下や仲間たちを巻き込んでしまうのを恐れたためです。」
「ヴァルゴール。誓約を司る偉大なる神よ。
我が約定に従い、神域よりその姿を現し給え!」
叫んだとたんにクリュークの口から鮮血があふれた。
口元を抑えながら、膝をつくが、抑えた手からもさらに血が滴る。
迷宮の。
天井が割れた。
岩は、粉々になって空に舞い上げられ、そこには闇が広がっていた。
闇の中に、目が開いた。
「我を呼んだか? クリューク。」
声にならぬ声は、大音声となって響き、クローディアは苦痛に顔をゆがめた。
ザックの毛皮も逆だっていた。
「ヴァルゴール。あなたの誓約をふたたび、この者に。」
「ほう・・・」
興味深げに目がザックを見た。
「我が、誓約から解き放たれるとは、いかなる神の手を借りたのだ、神獣よ。」
ザックがぶるり、と体を震わせると、光のドームが形成され、クローディアやほかのパーティメンバーたちを包み込んだ。
「説明の必要はないな、ヴァルゴール。
オレがおまえに誓約を差し出したのは、その対価として、我が愛しきベティアンを病からすくうためだった。」
「約定は、はたしたであろう。お主の恋人はいまも息災のはず・・・」
「20年前に別のフェンリルと結婚して、こどもも三匹いる。騙されたと文句も言わんが、もう二度とはごめんだな。おまえに隷属するのは。」
「偉大なるヴァルゴールよ。
我が約定に従い、いまいちど、フェンリル、ゾウ=アキュラを隷属させたまえ。」
クリュークは、立ち上がった。
膝がふるえている。
口から、目から、鼻から。血を流していた。
「ひどいありさまだが、同情はしてやらんぞ、クリューク。」
ザックが鼻を鳴らした。
「おまえの血も赤いのがわかってびっくりしているところだ。」
「定命の人間ならばともかく、神獣を我が隷属化におくことは、いくつもの条件が、必要だ。
前回は、想い人が病にふせっていたため、彼から我への隷属を望むという形であったから成立したのだ。」
「それでも。」
クリュークは懇願した。
「それでもお力をもってすれば、不可能はないはず。」
目が、ザックを見つめた。
ザックは身震いした。
それが、できるのか?
それができる神なのか、ヴァルゴールは。
この場のすべてのもの。
すべての存在がヴァルゴールに集中していた。
神が顕在するというのはそういうことであり。
だから、聞き慣れた声が次のように話すのをきいて、愕然としたのは、ザックとクローディアだけではなかった。
「別の提案があります。
クリュークによってあなたに隷属させられたもの、すべてを解放してください。」
人にあらざるものが長い年月を経て知性と魔力を手に入れた存在。
光の鞭が、その毛皮に当たるが虚しく火花をあげて跳ね返された。
襲い来る巨体をかいくぐりながら、リヨンは全身に魔力場をまとう。
同程度の巨体をもつ大蜘蛛には、肉弾戦を挑んだリヨンであったが、こいつが生き物としてのレベルがまるで違うのだ。
体の力場は、強靭な鎧として彼女を守ってくれるはず・・・だ。
実際に、ザックの爪がリヨンをかすめた。
かすめたところから、光の粒子が飛び散る。
物理的な衝撃なら、無敵に近い耐久力をもつ力場が、これだ。
かわしたつもりの爪は、軽々とリヨンの腕の骨までえぐっただろう。
案外、その威力のおよぶ範囲は、実際に「爪」として形成されている範囲より広いのかもしれない。
足のスネから分離した骨が、鋭利な刃物となって実装された。
リヨンの体の一部だから、当然、彼女の魔力にもなじみやすい。
流した魔力によりただの「物質」ではありえない切断力をもった骨剣を、蹴りと一緒に叩き込む。
彼女の骨の剣は、光の鞭をかるがると粉砕した銀の毛皮を通し、肉体に切り込む。
確かに切り込んだ。
そして、折れた。
生じた激痛は、リヨン自身の骨が折れたのだから当然である。
それで動きをとめるようなやわな戦士ではない。
だが、ザックにちょっぴり傷をこしらえたのと、剣化させて体の外に飛び出たものとはいえ、骨折させられたのでは、どう考えてもリヨンのほうがダメージが大きい。
体をおおった力場を解除し、叫ぶ。
声のかわりにプラズマ球が、飛び出て、ザックを襲う。
ザックは避ける代わりに、自らも口をあけた。
フェンリルの咆哮。
青白く輝くビームが、プラズマ球をとらえ、消滅させる。
余波の爆風に、リヨンはふっとび、床をすべってそのまま壁にたたきつけられた。
肋骨が折れた。
刺さった内部の器官は、いまは「肺」としては機能していない。重傷ではあるのだろうが、致命傷にはならない。
リヨンの手から発されたエネルギーが、目の前の空間にからみつき、それをむしりとった。
空間をつぶして、リヨンは、ザックの左後方に転移する。そこから、もう一度プラズマ球を放とうとしたのだ。
だが、ザックが振り返り、もう一度ビームを放つほうが早かった。
とっさに力場を再び全身をおおう防御用のものに戻す。
そんなものが、役に立つのかはわからなかったが。
全身の力場は粒子となってきえ、再び壁に叩きつけられた。
きつい。
体の全面が炭化しかけ、ぼろぼろの状態だった。
からだを起こしたが、眼がみえない。
手足の感触はあるので、とりあえずまだ、存在はしているのだろう。
かろうじて歩く。
一歩。
二歩。
三歩めをふみだしたところで、からだが傾く。
左の足は指をすべて失っていた。こうなってしまうと歩くのは難しい。
倒れかけた体を誰かが支えてくれた。
「ザック殿。これはもう戦う力を失っております。」
クローディア公爵だった。
わたしのゆうしゃ、さま。
声を出そうとしたが、リヨンの喉も声帯もやけただれていた。
やったあ、だきしめてもらったよ。
戦いのために痛覚もある程度殺している。
でなければ、気を失ったほうがいい傷だった。
目も鼻もわからない。
かろうじてあるのは口、くらいか。
だが命さえつなげば、治療は可能だろう。現代の再生と治療の技術はそこまで進歩している。
「残念ですが、公爵閣下。」
カーラが声をかけた。
「治療は、戦いが終わるまで保留させていただきます。
まだ、いまの時点ではその子は敵です。」
「だ、そうだ。クリューク殿。
この争いは中止しないか?
治療のためにリヨンを迷宮外に連れ出したい。
お主の目的は、仲間を犠牲にしても達せねばならぬことか?
その目的は・・・なんだ?」
「わたし自身の目的は、魔王宮最奥に眠る、この迷宮の主に会うこと。」
クリュークの声は、低かったが誰の耳にもはっきりと届いた。
それは、脳内をこだまするように、その場にいた全員の心に刻みつけられた。
「この目的を達するまでは、わたしはここを出ません。」
「これが、魔術的な力をもった誓約、というやつです。」
巨大なワンコは、おすわりをして、クローディアの前にいる。
「破ることは著しく困難。ですが、誓約に沿った行動を行う場合には、力が付与されます。
おそらく、ヴァルゴールを降ろすためにわざとそうしたのでしょう。
神降ろしはそう簡単になせる技ではありません。」
「その・・・口から出た光の放流はわざと威力をしぼったのか?」
「よくお気づきで。」
しっぽがパタパタとふられた。
「ですが、リヨンの命を惜しんだわけではありません。角度と方向から閣下や仲間たちを巻き込んでしまうのを恐れたためです。」
「ヴァルゴール。誓約を司る偉大なる神よ。
我が約定に従い、神域よりその姿を現し給え!」
叫んだとたんにクリュークの口から鮮血があふれた。
口元を抑えながら、膝をつくが、抑えた手からもさらに血が滴る。
迷宮の。
天井が割れた。
岩は、粉々になって空に舞い上げられ、そこには闇が広がっていた。
闇の中に、目が開いた。
「我を呼んだか? クリューク。」
声にならぬ声は、大音声となって響き、クローディアは苦痛に顔をゆがめた。
ザックの毛皮も逆だっていた。
「ヴァルゴール。あなたの誓約をふたたび、この者に。」
「ほう・・・」
興味深げに目がザックを見た。
「我が、誓約から解き放たれるとは、いかなる神の手を借りたのだ、神獣よ。」
ザックがぶるり、と体を震わせると、光のドームが形成され、クローディアやほかのパーティメンバーたちを包み込んだ。
「説明の必要はないな、ヴァルゴール。
オレがおまえに誓約を差し出したのは、その対価として、我が愛しきベティアンを病からすくうためだった。」
「約定は、はたしたであろう。お主の恋人はいまも息災のはず・・・」
「20年前に別のフェンリルと結婚して、こどもも三匹いる。騙されたと文句も言わんが、もう二度とはごめんだな。おまえに隷属するのは。」
「偉大なるヴァルゴールよ。
我が約定に従い、いまいちど、フェンリル、ゾウ=アキュラを隷属させたまえ。」
クリュークは、立ち上がった。
膝がふるえている。
口から、目から、鼻から。血を流していた。
「ひどいありさまだが、同情はしてやらんぞ、クリューク。」
ザックが鼻を鳴らした。
「おまえの血も赤いのがわかってびっくりしているところだ。」
「定命の人間ならばともかく、神獣を我が隷属化におくことは、いくつもの条件が、必要だ。
前回は、想い人が病にふせっていたため、彼から我への隷属を望むという形であったから成立したのだ。」
「それでも。」
クリュークは懇願した。
「それでもお力をもってすれば、不可能はないはず。」
目が、ザックを見つめた。
ザックは身震いした。
それが、できるのか?
それができる神なのか、ヴァルゴールは。
この場のすべてのもの。
すべての存在がヴァルゴールに集中していた。
神が顕在するというのはそういうことであり。
だから、聞き慣れた声が次のように話すのをきいて、愕然としたのは、ザックとクローディアだけではなかった。
「別の提案があります。
クリュークによってあなたに隷属させられたもの、すべてを解放してください。」
0
ご覧いただきありがとうございます。なんとか完結しました。彼らの物語はまだ続きます。後日談https://www.alphapolis.co.jp/novel/807186218/844632510
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