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第90話 冒険者たち ミア=イアの授業
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6本の剣の乱舞は、屍人の身体をずたずたに切り裂いていた。
黒っぽい液体が、辺り一面にぶちまけられ、ぴくぴくと動く肉片が床の上を這い回る。
ここから再生する能力はないから、確か「倒した」には違いないのだが。
「ほめてほめて」
と言わんばかりの笑顔でこちらを見つめるヤイバ(と勝手に名付けた)を冷たく一瞥してから、ミア=イアは、剣を構えた。
「斬撃は最小限でいい。この類のアインデッドは」
もとは近衛兵だったのだろう、ボロボロの制服をきた屍人の動きはけっして遅くはない。
腐敗は一定のところで止まるため、ヒトとしての自然な動きは損なわれないのだ。
その動きをミア=イアは楽々と見切る。
鉤爪と化した手を肩で跳ね上げながら、心臓に剣を突き刺す。
「刺すのはここ、そして」
くるりと体内で刃を返し、剣は肋骨と肩甲骨を切断して首に抜けた。
半ばまで断ち切られた頭部がころがり、屍人の体がどうっと倒れる。
「いいか、これは人間のふりをした化け物だ。
だから、人間を殺すように殺す。」
「すばらしい。」
ヤイバは目を輝かした。
「動きに無駄がない。これならば、魔力の通じていない鉄でも無限に揃り続けることができるだろう。」
「確かに動きが格段によくなっている。」
感心したようにドルバーザがつぶやいた。
「やはり、他のパーティメンバーをかばうためにいらぬ動きを行っていたからか。
どう思う、テム?」
「ドルバーザさまのお考えの通りかと思われます。」
魔道人形は、丁寧に一礼した。
第二層もまた、第一層と同じく城の内部を模した作りとなっている。
照明は全体に暗く、また「外」を感じさせるようなそよ風や太陽光といった演出もない。
出てくる魔物たちは、ゾンビやスケルトンといったアンデッド系のものばかり。
ほんとうなら、光属性や聖属性の魔法使いがパーティにほしいところだったが、もともとヴァンパイヤハンターとして名を馳せたドルバーザはまったく気にも止めていない。
ドルバーザの「光輪」は攻防一体となった万能の武器であったし、治癒魔法や食料の補給などは、テムのもつ「収納」でことが足りている。
そして、足手まとい、まさに魔物を誘う疑似餌ていどにしか期待していなかったミア=イアは、一皮むけたようにその技をあげている。
さらに、元が第一層の変異種であったはずのヤイバは、その頑強さといい、剣の冴えといい、おそらく西域なら充分にソロで銀級冒険者として通る腕前をもっていた。
もともと、迷宮内の階層主を除く変異種と互角に戦えるのが、銀級の条件のひとつであったはずだから、これは当たり前すぎるほど当たり前の話でしかなかったが。
屍人の最後の一体が、ミア=イアの横殴りの一閃で、首を飛ばされ倒れた。
「この先が、かなり大きな空洞になっています。」
テムがドルバーザに言った。
一応は主従、魔道人形とその所有者、という「設定」なのか、丁寧語ではあるものの、そんなときに限って、テムは人形のような無表情なのだ。
いや、テムは実際、人形ではあるのだが。
人間のような表情を作る機能は備わっている。
にもかかわらず、淡々とただ丁寧に話すのだ。
少女の姿をした魔道人形にそのような態度をとられるのは、相手によっては侮辱されたようにとられるかもしれない。
本来ならば、王侯貴族、その従者として権勢をふるってもおかしくはない高性能の魔道人形が、優秀とはいえ一介の冒険者に仕えている。その理由のひとつがこれであった。
「かなりの広さです。
入口の『舞踏会場』とよばれた大広間なみの広さがあります。
動くものは・・・・ありません。」
「同類はどうやって見えない場所を感知するんだ。」
興味深そうにヤイバが尋ねた。
「空気のながれや音、熱源。
数値化できる情報は無限にある。
それからなぜ、変異種は、わたしを“同類”と呼ぶのだ?」
「我々が、親の胞からではなく、偉大なるものに造られた存在だから?」
「テムと呼べ。」
ヤイバは大きく頷いた。
「そうか!
同じパーティのメンバーだし、そう呼ばせてもらう。
テムもぼくのことは、蜘蛛とか変異種ではなく、ヤイバと呼んでくれ。」
テムはちょっとイヤそうな顔をしたが、しぶしぶ同意した。
「わかった・・・・ヤイバ。
ヤイバは、視覚によらない相手の探知する方法は、持っているか?
「もってはいるが、テムのほうがはるかに高性能だと思う。
なぜ、そんなことをきく?」
「この階層のいるのはアンデッドタイプのモンスターだ。
熱源やオーラへの反応はないに等しい。
そして、アンデッドどもはじっとしていることにも得意だ。
この迷宮で生まれたヤイバなら、わかるか?
このさきの広間に待つ強者がなにものか?」
「感知できないが待っている者がいる?」
ヤイバは面白そうにテムを眺めた。
テムはその視線も不快そうに、顔をそむけている。
「迷宮の構造上、そろそろ、特異体を配置した大部屋が現れる。」
テムは、ぼそぼそとつぶやくように言った。
「これは、わたしの“性能”ではなく、経験から学んだことだ。
部屋の広さから見てもかなりの大型のモンスター。
おそらく剣との相性は極めて悪い。」
「そんなことはない。」
ミア=イアは淡々と言った。
表情は完全に死んでいる。
「いや、相性はよくはない。が、戦いかたはある。
ドルバーザ殿は?」
「ドルバーザ様の光輪は、万能の武器だ。」
テオは胸を張った。
「ならば行こう。相手がなにものであろうとも恐るるにたらず。」
黒っぽい液体が、辺り一面にぶちまけられ、ぴくぴくと動く肉片が床の上を這い回る。
ここから再生する能力はないから、確か「倒した」には違いないのだが。
「ほめてほめて」
と言わんばかりの笑顔でこちらを見つめるヤイバ(と勝手に名付けた)を冷たく一瞥してから、ミア=イアは、剣を構えた。
「斬撃は最小限でいい。この類のアインデッドは」
もとは近衛兵だったのだろう、ボロボロの制服をきた屍人の動きはけっして遅くはない。
腐敗は一定のところで止まるため、ヒトとしての自然な動きは損なわれないのだ。
その動きをミア=イアは楽々と見切る。
鉤爪と化した手を肩で跳ね上げながら、心臓に剣を突き刺す。
「刺すのはここ、そして」
くるりと体内で刃を返し、剣は肋骨と肩甲骨を切断して首に抜けた。
半ばまで断ち切られた頭部がころがり、屍人の体がどうっと倒れる。
「いいか、これは人間のふりをした化け物だ。
だから、人間を殺すように殺す。」
「すばらしい。」
ヤイバは目を輝かした。
「動きに無駄がない。これならば、魔力の通じていない鉄でも無限に揃り続けることができるだろう。」
「確かに動きが格段によくなっている。」
感心したようにドルバーザがつぶやいた。
「やはり、他のパーティメンバーをかばうためにいらぬ動きを行っていたからか。
どう思う、テム?」
「ドルバーザさまのお考えの通りかと思われます。」
魔道人形は、丁寧に一礼した。
第二層もまた、第一層と同じく城の内部を模した作りとなっている。
照明は全体に暗く、また「外」を感じさせるようなそよ風や太陽光といった演出もない。
出てくる魔物たちは、ゾンビやスケルトンといったアンデッド系のものばかり。
ほんとうなら、光属性や聖属性の魔法使いがパーティにほしいところだったが、もともとヴァンパイヤハンターとして名を馳せたドルバーザはまったく気にも止めていない。
ドルバーザの「光輪」は攻防一体となった万能の武器であったし、治癒魔法や食料の補給などは、テムのもつ「収納」でことが足りている。
そして、足手まとい、まさに魔物を誘う疑似餌ていどにしか期待していなかったミア=イアは、一皮むけたようにその技をあげている。
さらに、元が第一層の変異種であったはずのヤイバは、その頑強さといい、剣の冴えといい、おそらく西域なら充分にソロで銀級冒険者として通る腕前をもっていた。
もともと、迷宮内の階層主を除く変異種と互角に戦えるのが、銀級の条件のひとつであったはずだから、これは当たり前すぎるほど当たり前の話でしかなかったが。
屍人の最後の一体が、ミア=イアの横殴りの一閃で、首を飛ばされ倒れた。
「この先が、かなり大きな空洞になっています。」
テムがドルバーザに言った。
一応は主従、魔道人形とその所有者、という「設定」なのか、丁寧語ではあるものの、そんなときに限って、テムは人形のような無表情なのだ。
いや、テムは実際、人形ではあるのだが。
人間のような表情を作る機能は備わっている。
にもかかわらず、淡々とただ丁寧に話すのだ。
少女の姿をした魔道人形にそのような態度をとられるのは、相手によっては侮辱されたようにとられるかもしれない。
本来ならば、王侯貴族、その従者として権勢をふるってもおかしくはない高性能の魔道人形が、優秀とはいえ一介の冒険者に仕えている。その理由のひとつがこれであった。
「かなりの広さです。
入口の『舞踏会場』とよばれた大広間なみの広さがあります。
動くものは・・・・ありません。」
「同類はどうやって見えない場所を感知するんだ。」
興味深そうにヤイバが尋ねた。
「空気のながれや音、熱源。
数値化できる情報は無限にある。
それからなぜ、変異種は、わたしを“同類”と呼ぶのだ?」
「我々が、親の胞からではなく、偉大なるものに造られた存在だから?」
「テムと呼べ。」
ヤイバは大きく頷いた。
「そうか!
同じパーティのメンバーだし、そう呼ばせてもらう。
テムもぼくのことは、蜘蛛とか変異種ではなく、ヤイバと呼んでくれ。」
テムはちょっとイヤそうな顔をしたが、しぶしぶ同意した。
「わかった・・・・ヤイバ。
ヤイバは、視覚によらない相手の探知する方法は、持っているか?
「もってはいるが、テムのほうがはるかに高性能だと思う。
なぜ、そんなことをきく?」
「この階層のいるのはアンデッドタイプのモンスターだ。
熱源やオーラへの反応はないに等しい。
そして、アンデッドどもはじっとしていることにも得意だ。
この迷宮で生まれたヤイバなら、わかるか?
このさきの広間に待つ強者がなにものか?」
「感知できないが待っている者がいる?」
ヤイバは面白そうにテムを眺めた。
テムはその視線も不快そうに、顔をそむけている。
「迷宮の構造上、そろそろ、特異体を配置した大部屋が現れる。」
テムは、ぼそぼそとつぶやくように言った。
「これは、わたしの“性能”ではなく、経験から学んだことだ。
部屋の広さから見てもかなりの大型のモンスター。
おそらく剣との相性は極めて悪い。」
「そんなことはない。」
ミア=イアは淡々と言った。
表情は完全に死んでいる。
「いや、相性はよくはない。が、戦いかたはある。
ドルバーザ殿は?」
「ドルバーザ様の光輪は、万能の武器だ。」
テオは胸を張った。
「ならば行こう。相手がなにものであろうとも恐るるにたらず。」
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ご覧いただきありがとうございます。なんとか完結しました。彼らの物語はまだ続きます。後日談https://www.alphapolis.co.jp/novel/807186218/844632510
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