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ここまでのあらすじ

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父である国王に疎まれる北の小国グランダの王太子ハルト。

王立学院の首席卒業も決まり、立太子式を控えたある日、王に呼ばれたハルトは、あらためて、第二王子エルマートと、『最強の冒険者パーティの育成』を競い、勝った方を後継ぎとすると告げられる。

なりふり構わない王の態度に身の危険を感じたハルトは、迷惑がかからぬよう許嫁であるクローディア公爵家フィオリナとの婚約を破棄し、姿を消す。

フィオリナは独自の調査で、事情を察するが、エルマートのために西方域から呼ばれたのは、悪名高い冒険者パーティ『蝕乱天使』であり、彼女のギルド『不死鳥の冠』でも迂闊には手を出せない危険な相手であった。

フィリオナがハルトに婚約破棄されたことをきっかけに、王の側近たちのグループ『夜会派』に潜り込んだフィオリナの父、クローディア公爵は、そこで夜会派の重鎮たちや王都に到着した『 燭乱天使』クリューク、リヨンと面識を得ることとなった。
さらにクローディアは、ハルトとエルマートの両チームが競い合う場として定められた半世紀の長きに渡り封鎖された迷宮『魔王宮』の探索に一般の冒険者パーティも参加させるよう提言した。これは税収を増やしたい『強欲伯』バルゴールからも指示を得て、提言は受け入れられる。

一方、ハルトは駆け出し冒険者ルトとして、新たに冒険者登録を行い、知り合った少女リアとともに、西方から来たパーティ『彷徨えるフェンリル』に、見習いとして雇われた。

魔王宮が封印を解かれる日。
そこには、多数の冒険者にまじって、駆け出し冒険者ルトの姿もあった。
さらにフィオリナも、クローディア公爵直属の護衛パーティ「白狼」の一員として姿を見せていた。

しかし、五十年ぶりの封印を解かれた魔王宮は、以前とは様変わりしていた。

次々と出現する大蜘蛛の『変異種』に冒険者たちは傷つき、倒れていく。
さらに、当初は安全地帯と思われた入口の大広間『舞踏会場』にまで蜘蛛の大群が現れ、残った冒険者たちとの戦いがはじまった。

現れた変異種と、成り行き上、共同で戦うことになった、フィオリナ、ルト、リア、リヨン、エルマート、白狼の糸使いヨウィスは、転移に巻き込まれて迷宮深くに姿を消す。

かわって現れた魔法を使う大蜘蛛は、駆けつけた魔道院の層支配ボルテック卿が葬ったものの、迷宮攻略は修正を余儀なくされた。

開かれた御前会議において、クローディアは行方不明となったハルトとエルマートの捜索係に任命される。

一方、迷宮深くに転移させられたフィオリナたちは、出口を求めて迷宮を彷徨っていた。
認識阻害の魔法によってルトをハルトだと認識できないまま、フィオリナはルトに惹かれていく。

クローディアは、フィオリナ捜索と彼女も愛剣を届けさせる任務を、ルトとリアが所属していたパーティ『彷徨えるフェンリル』のザックとローゼに依頼したが実は『彷徨えるフェンリル』は、クリュークたち『燭乱天使』の息のかかったパーティであり、その任務は迷宮内にてハルトを抹殺することにあった。

第一層の最奥。
階層主は城塞と見間違うほどの巨体を持つ大蜘蛛。神獣ギムリウスであった。
意外にも友好的なギムリウスに戸惑う一行であったが、『彷徨えるフェンリル』によってフィオリナの剣が届けられたことにより、ギムリウスと戦うことになる。

戦いの中、リヨンは負傷し、ほかの『彷徨えるフェンリル』のメンバーとともに撤退。残ったメンバーはザックの特異体質を利用して、ギムリウスにダメージを与えるが、ギムリウスは転移魔法で脱出、さらに第一階層の崩落により、フィオリナ、ルト、リア、ヨウィス、ザックらは第二階層へと落ちてしまう。

一方、地上ではクローディアが戻らぬフィオリナを案じていた。
魔道院のボルテック卿、王室の“影”の影長ルルから、迷宮に消えた少年ルトが認識阻害魔法によって正体を隠したハルトではないかと聞かされたクローディアは、かえって、迷宮の魔物たちを心配するのであった。

フィオリナたち一行が落ちた第二階層はアンデッドが徘徊する死者の国であった。

階層主である真祖ヴァンパイヤのリンドによって負傷したヨウィスとエルマート、リアは地上に返され、フィオリナとルト、それにザックは捕らわれの身となる。

集まった階層主たち。
ギムリウス、リンドをはじめ、古竜 リアモンド、スライム ミュレス、死霊 オロアらは、フィオリナとルトを強者と認め、歓迎するのだった。

彼らはザックから、クリュークの目的が、最下層にいる彼らのあるじの力を奪うことだと知り、激怒する。
階層主たちの地上への侵攻を一時、中断するかわりに、フィオリナは、今回の不自然な王太子の交代劇と、クリュークを招いた黒幕の解明を要求された。

だがフィオリナが地上に戻るには条件があった。
彼女が吸血鬼に囚われたことが、知られている以上、そのまま帰っても吸血鬼の眷属にされたとみなされて行動が束縛される可能性があったのだ。

リンドは吸血鬼に魅入られていないことを証明するために彼女自身の首を持っていくことを提案する。
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