婚約破棄で終わらない! 策謀家王子と腕力家公爵令嬢 チートな二人のそれからはじまる物語り

此寺 美津己

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第38話 公爵家令嬢と駆け出し冒険者、ときどき真祖吸血鬼

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「あのなあ。

わたしは一人で行くと言った。

わたしは一人で行くと言った。

わたしは一人で行くと言った。

わたしは」

「そのくらいヤバい相手だと思ったってことでしょ?
ひとりで行かせられるわけないじゃないですか?」

フィオリナは壁を叩いた。
ここは漆喰にタイルが貼ってある。瀟洒な造りの壁だ。
それが拳の形に凹んだ。

「おまえ・・・・はホントにハルトに似ているな。」

「そりゃまあ」少年は頭をかいた「光栄です・・・か?」

「わたしの中では最高の褒め言葉と受け取ってくれ。」
フィオリナは、果てしなく続くようにみえる通路の先に目をこらした。

危険を察知する感覚は人それぞれだが、フィオリナはよくそれを『匂い』として感知する。
この先にあるのは、とびっきり怖い匂いだ。

「少し心配になってきたのだが。」

「いまさら?ですか。」
「いや・・・・・ハルトを夫に迎えながらもおまえも側におく、ということだが。」
「そっちもいまさら、ですが。」

フィオリナは愛剣の柄をなだめるように撫でる。

「男というのは・・・どうなのだ? 自分と同じようなタイプの相手とひとりの女を共有することについてだが。」
「女性が、恋人が浮気したときにその相手が自分と似てるとか気になります?」

「質問が悪かった・・・・まず浮気したことが気になるよな?」

「それはそうでしょうねえ・・・」

ルトは、雑嚢から銀色の糸球を取り出した。
くるくると回すと、糸がキラリと光って通路の先へと漂っていく。

「ヨウィスの鋼糸、か?」

「少し分けてもらいました。動いてるものがあれば…わかると思います。」

「それで、いまの話の続きなんだが」
「ここでする話しですか?!」
「どこでしたって問題のある話しなんだから、一緒だ。
いい感じにふたりきりだし。
ハルトとうまくやっていけると思うか?」

「姦通罪で、悪いと首と胴体、良くても体と生殖器官が分離されても、ですか?
ふつうに無理でしょ。」
「ハルトはそういうタイプではない。」

ルトは真剣に考え込んだ。

確かに配偶者の愛人に不義の罪をきせて、去勢させることでなんらかの満足をえることができるかといえばそんなことはない。
かと言って、嫉妬心がないわけではないのだ。

リアとエルマートが仲良くしているだけで、いや、昔は仲が良かったというだけで、なにやらもやもやするものがある。

「そもそも、フィオリナと突き合うことは決定事項なんですか?」

「・・・・イリアが気になってるのか?」

「リアは彼女が望む道を行かせてやりたいです。」

フィオリナの一閃は、ルトにも見切れなかった。
風を切り裂いて到来した何者かが両断されて床に落ちた。

愛剣。

クローディア公爵が愛娘のために届けさせた剣。

それは剣を振るうと言うよりは、棒術の捌きにも似ていた。
柄を握るのは中指と薬指。そのまま、円を描いて、斬撃が舞う。

クルリと軌道を変えたときは、人差し指と中指。

握りを持ち帰る度に、描く軌道は歪み、また変化し、次々と飛来する何者か、を片端から切り落としていく。

「イリアについてはいろいろ事情があって、わたしも責任を感じている。」

逆手に剣を握ってクルリと回る。
吸い込まれるように物体が両断された。

「あの娘の望むように生きさせてあげたいとは思う。
それはわたしも一緒。」

手首を支点に回転する剣が、斬撃の盾を作り出す。

弾け飛ぶ物体をルトの手が掴んだ。

「甲虫・・・・ですね。使役してるやつは、この奥?」

「だが、果たしてなにが、あの娘にとってよいことなのか。
学院に戻してやれば、2年後には優秀な成績であそこを卒業するだろう。そうすれば、騎士団、魔道院、商会引く手数多だ。

冒険者としてこのまま研鑽を積ませる?
いいパーティに恵まれて、経験を積んでいけば、よい冒険者になれるかもしれない。

あるいは、エルマートがそう願うように、あいつに寵姫として仕えるか。
やつが王太子に、王になれば、あの娘はこの国の政治の中核に君臨することになる。

なにがいい。
なにがあの娘にとってよいことなのか。」

「きりがないね。」

飛来する甲虫の数は、さらに増える。

「風を使って、フィオリナ。」

「この速度では、風の障壁など、撃ち抜かれる。」

「乱してやるだけでいい。
勝手に自滅する。」

「まさに、今のこの国にそっくりだね。」

手の一振りで起こった風は、甲虫たちの軌道をわずかに、乱し、それは自身にも制御できない速度で飛ぶ虫たちにを自滅させることになった。

あるものは、壁にめり込み、あるものは、床にたたきつけられ、天井に穴を穿ち、たがいにぶつかりあって、粉々に飛び散る。

わずかに飛来した虫を、フィオリナの魔剣が容赦なく叩き切った。

「なにが、あの娘にとってよいのか、もう少し見定めてやってから、手を貸してもいいかと、わたしは思う。」

抜身の剣をかかげて、仁王立ちに通路の奥を睨むフィオリナは、まるで古の伝説の戦女神を思わせた。
その傍らに立ち、ともに歩むことがどれほどの誇りか。

「おや?」

ルトの手のひらの上で、糸玉がものすごい勢いで回転し始めた。

「!!っ・・・・釣れたか? 大物が。」
「いい例えです。
階層主クラスの大物です・・・・こっちに来ててよかったかもしれません。
ヨウィスとザック(そのほか2)ではキツかったかも。」

「なにがおきている?」

糸玉がみるまに容積を減らしていく。
そんな光景は、何度もヨウィスと行動をともにしているフィオリナ(とルト)にもはじめてみる光景だ。

「ん~~~~、推測するに、対象は糸を力任せに引きちぎろうとしてますね。

実際にそれができそうな勢いです。
第二回層がアンデッド中心の迷宮だとして、実際に鋼糸に触れる肉体を持ち、鋼糸を引きちぎろうとする怪力の持ち主・・・だと、真祖クラスのヴァンパイヤですか。」

「引きちぎられてるのならなんで、糸がどんどん伸びている?」

「引きちぎろうとしている、のです。

それに合わせて糸を送り出しているので、切れてはいません。
まあ、暴れれば暴れるほど糸が絡みつく感じですか。」

「たしかに大物釣りの要領だな。」

二人の目の前に黒い霧が現れ、それは、若い男の姿になった。

黒いインバネスコートを着こなした男は、ニッと笑って、親指を立てた。

幼さが残るがかなりの美形で、笑顔も魅力的ではあるが、体中に絡みついた糸がそれを裏切っている。実際、自由に動くのは、顔の表情と右手くらい。

「第二階層の階層主。真祖たる闇の貴族ラウル=リンド、ただいま参上。」

「はじめまして、糸まみれ。
わたしは、フィオリナ・クローディア。冒険者だ。
こっちは冒険者見習いで、わたしの愛人候補のルト。」

「どうも、ルトです。いろいろ裏がある冒険者見習いです。
こっちの美形は、クローディア公爵家の令嬢で、結婚まえから愛人を持ちたがるとこを除けば、まあまあ性格もよいです。」

「いとまみれ・・・・」
ラウルは絶句したが、まさに自分の様子がその通りなの気づき、天を仰いだ。
「まあ、その性癖のかわった公爵令嬢と、」
(性癖いうな、わたしはまだ処女だぞ)
「その愛人を」
(愛人になってません!)
「わが宮殿へ招待せよとの、意向でな。」

「意向って、だれの?」

これは、フィオリナとルトの声がきれいにハモった。

「わたしの妹のロウ=リンド。
われわれは二人で同等の階層主で、な。」

「実質、妹さんのほうが主導的立場?」

「んな、ことは、ないっ」
ラウルがそんな表情をすると子どもっぽい顔がさらに子どもっぽくなる。
「偉大なる御方からは、あくまで対等の立場での階層主だと命じられているっ。」

「もともと、第二階層の階層主はなんでしたっけ?」
「記録でもヴァンパイヤだ。
ただ、『真祖』ではなかったはずだ。名前は伝わっていない・・というか、意思が通じ会える知能を持たされていなかったようだ。
ほんとうにこの糸まみれは真祖なのか?」
「それは間違いないと思います。
ヨウィスの練り上げた鋼糸を引きちぎることは、そこらの野良吸血鬼に出来るはずがありません。」
「引きちぎれてはいないが。」
「それは、ぼくが彼女の動きに合わせて、糸を繰り出していたからです。
無理に絡め取ろうとすれば、簡単に切断されていた・・・それだけの力が彼女にはあります。」

「えへん!」
ラウルが自慢気に胸をそらした。
糸まみれ、なのでかっこよくはなかった。

「・・・・彼女?」

「第一層の蜘蛛少女が、あの姿が勇者受けがいいから・・と言っていましたが、その程度の意味合いからもしれませんが、女の子です。」

フィオリナは、ラウルを頭のてっぺんから爪先まで遠慮なく眺めた。

不死者の王たる真祖にもそれは、けっこうなプレッシャーだったらしく、頬を紅潮させて、俯いた。

「いいか、招待という言葉は使ったが、貴様らには、一切、拒否権はない。

命の保証はしてやるが、大人しく言うことを聞かねばその限りではない。」

「いや、ちゃんと目を見て話せよ!」

「・・・・とロウが言ってた。」

「伝言かいっ! 自分で言いに来い。」

「ロウは、いま、おまえたちの仲間の相手をしている。」

フィオリナとルトは顔を見合わせた。
階層主が、少なくともそれに相当する個体が2体いたことは、彼女たちにしても想定外だったのだ・・・
しかし。

「相方さんも、鋼糸を引きちぎるのが持ちネタ?」
「あいかた、言うなっ!!・・・同格の階層主だと言っただろう。ロウの力も私と拮抗している。」

フィオリナは恐る恐る後ろを振り返った。

「ちなみになんですが、それはこれから? それとももう終わったこと?」

ラウルは半眼に目を閉じて、おそらくはロウらしき相手と『念話』を試みた。


「・・・・もう終わった。
邪神の使徒の剣士の男は捉えた。

糸使いの女は、怪我をさせたが命に別状なし。

一緒にいた男と女に魅了をかけて、糸使いの女を一層に運ばせた。

ギウリムスにも連絡してあるから、安全に地上に出られるはずだ。

・・・・・」

「怪我の具合は?」

「皮膚が27箇所裂けただけだ。骨折や筋肉の断裂はなし、大量の出血を伴う血管の損傷なし・・・おい、その目はやめてくれ。
人間の治癒能力が低いのは知ってるが、連れの二人から治癒魔法をかけてもらうか、ポーションで簡単に治る傷だぞ。」

「リアは治癒魔法が使えたかな? 光属性なら、当然使える・・・いや、あまり得意じゃないようなことを言っていたか。
エルマートは?」

「治癒魔法は、選択科目。エルマートが受講してたかはわからない。
薬草かポーションは? イリアは携帯してる?」

「ぼくらは“荷物持ち”だよ。その荷物は迷宮突入前だったので、渡されていないし。」

「困った。ちょっと心配になってきた。ヨウィスが意識がはっきりしてれば、あの娘の『収納』からいくらでも取り出せるのだけれど。」

「お、おい」
ラウルのほうが、焦ったようだった。
「なんだ、そいつら。そんなやつらがなんで『魔王宮』に入ってくる?
人間のレベルはこの50年でそんなところまで落ちたのか?

いや、おまえたちを見てると、そんなことはありえないとはわかっているのだが。」

「もともと入口にいたところを、第一階層の階層主の“交換転移”に巻き込まれた。」

フィオリナは、自分で言ってからそう言えばそうだった、と改めて思う。
もし、ヨウィスが一緒でなければ、食料、水の確保1つにもえらく苦労したはずだ。

いや、そもそもヨウィスがいなければ、階層主を探そうなどと考えずにとっとと、脱出をきめこんでいたはずなので、これは言ってもしかたのないハナシなのだが。

「階層主の蜘蛛女と会ったところで、どういうものかタイミングよく、愛用の剣が届けられたので、成り行きで戦ってみたら、途中で逃げられた。
くやしかったので、迷宮に幻惑をかけて、第一階層主が倒されたと思い込ませたら、床が抜けてここに落とされた。」

「・・・・・・」

危ないヤツを見る目で、ラウルはフィオリナを見つめた。
助けを求めるように、ルトを見てくるので、ルトはしかたなく肯定してやった。

「要約すると間違ってはいません。
彼女が危ないヤツなのは、ぼくも同じ意見です。」

「その女はほんとにニンゲンなのか?」

「クローディア公爵家令嬢フィオリナ、という生き物だと思ってもらえれば。」

「分かった。
今後、クローディア公爵家令嬢には手出しをしないと誓う。」

誓い、と言うのは人間以外の生き物にとってはけっこう重たい。
階層主の真祖吸血鬼にそこまで言わせるフィオリナは、まあ、実際にそういう存在なのだろう。

「ところで、」
ラウルが言いにくそうに話しかけてきた。

「分かった。おまえの妹とやらの招待には応じよう。
ヨウィスに傷を負わせたことのオトシマエはどこかでつけてもらうがな。」

「そ、その前に」
真祖は半泣きで言った。
「これ、ほどいて。」
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ご覧いただきありがとうございます。なんとか完結しました。彼らの物語はまだ続きます。後日談https://www.alphapolis.co.jp/novel/807186218/844632510
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