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第17話 攻略開始
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「なんだ? 『栄光の盾』が先陣をきるってのは、とりあえず一歩を踏み入れて、なんだか偉そうな文句を曰うことなのか。」
白酒を三杯召し上がったザックは、フラつくほどではないにしろ、明らかに酔っていた。
ただし、その他の冒険者たちも程度の差はあれ、思わぬ休憩中にいっぱい引っ掛けたものが多かったので、その程度の酔い具合では全然目立たなかった。
栄光の盾に続いて、クローディア公爵の「白狼」が入口周辺の安全を確認したあと、待機していた冒険者がぞろぞろと階段を降りる。
はっきり言ってとてもこれから戦いに挑むものとは思えず、身につけた武器と防具がかなりの業物であることを除けば、街のゴロツキの群れのようだった。
クローディア公爵は、軍人であると同時に冒険者にもよく通じていたので、なんとも思わなかったが、王をはじめ高位貴族の面々は明らかに嫌な顔をしていた。確かに冒険者ほど、集団行動に合わない人種もほかにいないかもしれない。
広間は、百名を越える冒険者たちが全員入ってもまだ充分な余裕があった。
壁や床は、つるつると光沢のある白い石で覆われており、気温は快適で空気の澱みもいやな匂いすらない。
彼らを迎えるかのように、天井付近にはシャンデリアを模した灯りが揺らめいていた。
記録にある通り、ここからの通路は四つ。
がっしりとした木製の両開きの扉は、いずれも見慣れぬ彫り模様が施された豪奢なものだった。
冒険者たちと一緒に入った王家の侍従たちによって、素早く陣屋が建てられ、王とその側近たちが寛ぐためにソファが置かれ、飲み物が用意された。
さらに、バルゴール伯爵は、準備よくカウンターを並べて、さまざまな計測器具を用意し、素材やアイテムの買い取りの準備まですすめていた。
「屍人の大量発生というアクシデントはありましたが、『舞踏会場』の構成、面積はほぼ以前のままです。」
クリュークは、八極会のギルドマスターたちと話した後、グランダ王に報告した。
「つまりは、屍人以外は、『魔王宮』に大きな変化はないと、考えられます。
当初の予定通り、銀級パーティ四チームによる探索を開始いたします。」
「今少し調査を」
と、異議を唱えたのはクローディア公爵だった。
「半世紀ぶりの迷宮攻略です。迷宮が進化している可能性は高い。
陛下や重臣の皆さまをここにおいたまま、迷宮を刺激するのはあまりにも危険と判断いたします。」
「しかし、現実に特筆すべき変化はなく」
ブラウ公爵が耳障りな声で反論した。
「またこの広間にもその周りにも、魔物がいないのは、クローディア閣下が自ら確認いただいたはず。」
「あまりにも変化がなさすぎ、また魔物もいなさすぎです。」
クローディア公爵は、どう言えばこの脳天気な寵臣に迷宮の恐ろしさを教え込もうかと頭を抱えた。
案の定、ブラウ公爵は、怪訝そうな顔で
変化がなくて、魔物がいなくて何が悪いのか?
と聞いてきた。
「クローディア公爵、たしかに迷宮に不確定の要素は、つきものですが、何が起ころうが、私とリヨンがいればたいていのことには対処できます。
失礼ながら、閣下の編成されたパーティもリヨンによれば、腕利き揃いとか。
少なくとも第一階層に出没する魔物に遅れを取るとは思えません。」
クリュークは、穏やかな笑みを絶やさない。
「失礼ながら、この状況で魔物に襲われた場合、単なる撃退ではすまない。守らねばないない者を守って戦うのは、想像以上に困難を極めるものです。」
「陛下お一人を守るくらい、私とリヨンで十分です。」
「陛下ばかりではない。ブラウ公を始めとする貴族の方々、彼らの従者、バルゴール伯の連れてきた業者の面々、治癒術師・・・冒険者にしても銀級以下の者は、場合によっては、守る対象になるかもしれません。」
ああ、
と、クリュークはつまらない冗談をきいたあとのように、キョトンとした顔をしたが、クローディアが冗談を言ったのではないと気づくと、何かに驚いたように目を見開いた。
「この場にいる大多数のものが、守ってやらねばならない対象だと言うのですね。
それは、考えても見ませんでした。」
「もういいではないか?」
王は、このやり取りに明らかに退屈していた。
「クローディア公の慎重ぶりもわかるが、慎重なばかりでは、迷宮は探索できん。
いずれにしても、ここは第一層。出没する魔物も階層主も・・ええと」
「以前の書物では、ジャイアントスパイダーと記載されております。」
バルゴール伯爵が、そつなく答えた。
「ああ、そうであった。
その程度ならば、万が一にも『栄光の盾』が遅れをとることはあるまい。
予定通り、迷宮攻略を開始せよ、クリューク。」
「仰せのままに」
クリュークは一礼すると、昨日のくじ引きで選ばれた4つの踏破級のパーティに攻略の開始を命じた。
ブラウ公爵が合図をすると、テーブルに酒が並び、次々と料理が並べられた。
王と重臣たちが、飲み食いをしながら、戦果を待てるように。
「それはなんじゃ、クリューク。」
上等な葡萄酒をお替りしながら王が尋ねた。
クリュークは、指に留まった甲虫にむかって、話しかけ、またその甲虫からの言葉を聞いていた。
「これは、わたくしたちが開発した迷宮内での連絡を密に取るための、魔道具。
わたしたちは『伝言虫』と呼んでおります。
一匹ごとの連絡距離は限られますが、何匹も配置することで、同じ階層のパーティ同士が連絡をとりあうことが可能です。
先発の4つのパーティにはすべて、これを持たせております。」
「なるほど、面白いものだな。ここにいながら探索の様子が手にとるようにわかるわけか。」
「はっ。ただ今のところは、短い文しかリレーすることしかできません。」
「十分ではないか。なにか連絡は、はいっているのか?」
「声を大きくすることは可能でございます。お聞きになりますか?」
「父上!」
エルマート王子は、ちゃっかりと王の隣に座り込み、はしゃいでいた。
『栄光の盾』のリーダーがそれでいいのか? と王とその一部の側近を除く全員が思っていたが、口には出さなかった。
「わたしもぜひ、きいてみたいです。」
クリュークは笑って頷き、甲虫に向かって、増幅魔法を囁いた。
「こちら『精霊の泉』」
無機質な声であったがはっきりと聞こえた。
おおっという感嘆の声があがった。
「毒の沼にて、ジャイアントスパイダーと遭遇。これを倒した。」
一斉に歓声があがる。
何事かと、注目する冒険者達にも内容が伝わり、やがて、広間全体が大歓声に包まれた。
「第二層への門は確保できたか?」
「いま、現場を探索中・・・もう少し時間がかかる。おって連絡する。」
「うむうむ。」
王はにこにこと笑いながら、葡萄酒を飲み干した。
「案ずるより産むが易し・・・だな。クリュークよ。次の手を。」
クリュークは手を胸に当てて、一礼すると集まった冒険者たちに向かって、各パーティの探索を許可した。
階層主がいなくなると、その階層での魔物の危険度は著しく下がる傾向にある。
下位のパーティも残った魔物を掃討しながら、マッピングやアイテム収集を行えるはずだった。
「いや、順調でなによりですな。」
皮肉たっぷりにブラウ公爵が、クローディア公爵の鼻先にグラスを近づけた。
臨戦態勢をとかずに、乾杯にすら参加しなかったクローディアをブラウ公爵は少々煙たく感じていたのだ。
「ふむ」クローディア公爵は同意しなかった。
迷宮は得意ではないと、愛娘に打ち明けた公爵であったが、実際には若い頃に迷宮探索の経験がないではない。
その彼が、違和感を感じている。
“誘い込まれている?”
ルトはふと天井を見上げた。
彼らがここに到着するのを待っていたかのように、灯ったシャンデリアが風もないのにゆうら、ゆうらと揺れた。
「へえ」
ヤな笑い方する。と昔、目付きの悪い婚約者に怒られたことが、あってから、その笑い方をするときはできるだけ、下をむいて衆人の目にとまらないように注意していた。
確かにここで笑うのはヘンなのだ。自分でもわかっていた。
でも、笑う。おかしいのではないし、面白くもうれしくもない。ただ、唇が笑みの形に釣り上がる。
“魔王宮が嘲笑ってる”
先発の四つのパーティで一番早く帰ってきたのは、「ザザードラ海賊団」だった。
先祖は、北海の海賊だったという触れ込みのロロヌスという男が率いるパーティで、いつも調子っぱズレな舟歌を歌いながら凱旋するので有名なパーティだった。
むろん、踏破級、西域風の言い方だと銀級の腕利きのパーティである。
「おう、俺達が一番乗りってか」
髭面の大男は快活に笑いながら、肩に担いた魔物の足を、買い取りカウンターにぼんと投げ出した。
「本体は収納袋の中だ。やたらと外皮の硬いやろうでな。バラすのは解体屋に頼もうと思ってる。
とりあえず、だ。
階層主を倒した証拠に足だけ、もいできた。これで第一関節までだぜ。まったく!
馬車よりでかい蜘蛛ってのはあんまり会いたくないねえ。」
そこまで、言って周りの空気に気が付き、首をかしげた。
「え、」
「え?」
「あ? いやここの第一層の階層主はジャイアントスパイダーだろ? 倒してきたぜ。回復アイテムを使い尽くしちまったんで、第二層への入口は見つけられなかった。傷の手当が先だと思ったんで・・・え?なんだよ、どうしちまったんだ?」
クリュークの襟にとまった「伝言虫」がわめいた。
「こちらは『楼蘭』。階層主と遭遇した! 刀が通らない・・・いったん撤退する。回復魔法の準備を頼む・・・ニースが足をやられた」
「どうなっておる!」
王が叫んだ。
「階層主は『精霊の泉』が倒したはずでは・・・」
伝言虫が容赦なく次のメッセージを伝えた。
「『風の使者』のレオン=バートだ。いま、霊安室で階層主と遭遇! 戦闘中だ! この蜘蛛は・・・魔法を使う!応援を寄こしてくれ! 大至急だ!」
白酒を三杯召し上がったザックは、フラつくほどではないにしろ、明らかに酔っていた。
ただし、その他の冒険者たちも程度の差はあれ、思わぬ休憩中にいっぱい引っ掛けたものが多かったので、その程度の酔い具合では全然目立たなかった。
栄光の盾に続いて、クローディア公爵の「白狼」が入口周辺の安全を確認したあと、待機していた冒険者がぞろぞろと階段を降りる。
はっきり言ってとてもこれから戦いに挑むものとは思えず、身につけた武器と防具がかなりの業物であることを除けば、街のゴロツキの群れのようだった。
クローディア公爵は、軍人であると同時に冒険者にもよく通じていたので、なんとも思わなかったが、王をはじめ高位貴族の面々は明らかに嫌な顔をしていた。確かに冒険者ほど、集団行動に合わない人種もほかにいないかもしれない。
広間は、百名を越える冒険者たちが全員入ってもまだ充分な余裕があった。
壁や床は、つるつると光沢のある白い石で覆われており、気温は快適で空気の澱みもいやな匂いすらない。
彼らを迎えるかのように、天井付近にはシャンデリアを模した灯りが揺らめいていた。
記録にある通り、ここからの通路は四つ。
がっしりとした木製の両開きの扉は、いずれも見慣れぬ彫り模様が施された豪奢なものだった。
冒険者たちと一緒に入った王家の侍従たちによって、素早く陣屋が建てられ、王とその側近たちが寛ぐためにソファが置かれ、飲み物が用意された。
さらに、バルゴール伯爵は、準備よくカウンターを並べて、さまざまな計測器具を用意し、素材やアイテムの買い取りの準備まですすめていた。
「屍人の大量発生というアクシデントはありましたが、『舞踏会場』の構成、面積はほぼ以前のままです。」
クリュークは、八極会のギルドマスターたちと話した後、グランダ王に報告した。
「つまりは、屍人以外は、『魔王宮』に大きな変化はないと、考えられます。
当初の予定通り、銀級パーティ四チームによる探索を開始いたします。」
「今少し調査を」
と、異議を唱えたのはクローディア公爵だった。
「半世紀ぶりの迷宮攻略です。迷宮が進化している可能性は高い。
陛下や重臣の皆さまをここにおいたまま、迷宮を刺激するのはあまりにも危険と判断いたします。」
「しかし、現実に特筆すべき変化はなく」
ブラウ公爵が耳障りな声で反論した。
「またこの広間にもその周りにも、魔物がいないのは、クローディア閣下が自ら確認いただいたはず。」
「あまりにも変化がなさすぎ、また魔物もいなさすぎです。」
クローディア公爵は、どう言えばこの脳天気な寵臣に迷宮の恐ろしさを教え込もうかと頭を抱えた。
案の定、ブラウ公爵は、怪訝そうな顔で
変化がなくて、魔物がいなくて何が悪いのか?
と聞いてきた。
「クローディア公爵、たしかに迷宮に不確定の要素は、つきものですが、何が起ころうが、私とリヨンがいればたいていのことには対処できます。
失礼ながら、閣下の編成されたパーティもリヨンによれば、腕利き揃いとか。
少なくとも第一階層に出没する魔物に遅れを取るとは思えません。」
クリュークは、穏やかな笑みを絶やさない。
「失礼ながら、この状況で魔物に襲われた場合、単なる撃退ではすまない。守らねばないない者を守って戦うのは、想像以上に困難を極めるものです。」
「陛下お一人を守るくらい、私とリヨンで十分です。」
「陛下ばかりではない。ブラウ公を始めとする貴族の方々、彼らの従者、バルゴール伯の連れてきた業者の面々、治癒術師・・・冒険者にしても銀級以下の者は、場合によっては、守る対象になるかもしれません。」
ああ、
と、クリュークはつまらない冗談をきいたあとのように、キョトンとした顔をしたが、クローディアが冗談を言ったのではないと気づくと、何かに驚いたように目を見開いた。
「この場にいる大多数のものが、守ってやらねばならない対象だと言うのですね。
それは、考えても見ませんでした。」
「もういいではないか?」
王は、このやり取りに明らかに退屈していた。
「クローディア公の慎重ぶりもわかるが、慎重なばかりでは、迷宮は探索できん。
いずれにしても、ここは第一層。出没する魔物も階層主も・・ええと」
「以前の書物では、ジャイアントスパイダーと記載されております。」
バルゴール伯爵が、そつなく答えた。
「ああ、そうであった。
その程度ならば、万が一にも『栄光の盾』が遅れをとることはあるまい。
予定通り、迷宮攻略を開始せよ、クリューク。」
「仰せのままに」
クリュークは一礼すると、昨日のくじ引きで選ばれた4つの踏破級のパーティに攻略の開始を命じた。
ブラウ公爵が合図をすると、テーブルに酒が並び、次々と料理が並べられた。
王と重臣たちが、飲み食いをしながら、戦果を待てるように。
「それはなんじゃ、クリューク。」
上等な葡萄酒をお替りしながら王が尋ねた。
クリュークは、指に留まった甲虫にむかって、話しかけ、またその甲虫からの言葉を聞いていた。
「これは、わたくしたちが開発した迷宮内での連絡を密に取るための、魔道具。
わたしたちは『伝言虫』と呼んでおります。
一匹ごとの連絡距離は限られますが、何匹も配置することで、同じ階層のパーティ同士が連絡をとりあうことが可能です。
先発の4つのパーティにはすべて、これを持たせております。」
「なるほど、面白いものだな。ここにいながら探索の様子が手にとるようにわかるわけか。」
「はっ。ただ今のところは、短い文しかリレーすることしかできません。」
「十分ではないか。なにか連絡は、はいっているのか?」
「声を大きくすることは可能でございます。お聞きになりますか?」
「父上!」
エルマート王子は、ちゃっかりと王の隣に座り込み、はしゃいでいた。
『栄光の盾』のリーダーがそれでいいのか? と王とその一部の側近を除く全員が思っていたが、口には出さなかった。
「わたしもぜひ、きいてみたいです。」
クリュークは笑って頷き、甲虫に向かって、増幅魔法を囁いた。
「こちら『精霊の泉』」
無機質な声であったがはっきりと聞こえた。
おおっという感嘆の声があがった。
「毒の沼にて、ジャイアントスパイダーと遭遇。これを倒した。」
一斉に歓声があがる。
何事かと、注目する冒険者達にも内容が伝わり、やがて、広間全体が大歓声に包まれた。
「第二層への門は確保できたか?」
「いま、現場を探索中・・・もう少し時間がかかる。おって連絡する。」
「うむうむ。」
王はにこにこと笑いながら、葡萄酒を飲み干した。
「案ずるより産むが易し・・・だな。クリュークよ。次の手を。」
クリュークは手を胸に当てて、一礼すると集まった冒険者たちに向かって、各パーティの探索を許可した。
階層主がいなくなると、その階層での魔物の危険度は著しく下がる傾向にある。
下位のパーティも残った魔物を掃討しながら、マッピングやアイテム収集を行えるはずだった。
「いや、順調でなによりですな。」
皮肉たっぷりにブラウ公爵が、クローディア公爵の鼻先にグラスを近づけた。
臨戦態勢をとかずに、乾杯にすら参加しなかったクローディアをブラウ公爵は少々煙たく感じていたのだ。
「ふむ」クローディア公爵は同意しなかった。
迷宮は得意ではないと、愛娘に打ち明けた公爵であったが、実際には若い頃に迷宮探索の経験がないではない。
その彼が、違和感を感じている。
“誘い込まれている?”
ルトはふと天井を見上げた。
彼らがここに到着するのを待っていたかのように、灯ったシャンデリアが風もないのにゆうら、ゆうらと揺れた。
「へえ」
ヤな笑い方する。と昔、目付きの悪い婚約者に怒られたことが、あってから、その笑い方をするときはできるだけ、下をむいて衆人の目にとまらないように注意していた。
確かにここで笑うのはヘンなのだ。自分でもわかっていた。
でも、笑う。おかしいのではないし、面白くもうれしくもない。ただ、唇が笑みの形に釣り上がる。
“魔王宮が嘲笑ってる”
先発の四つのパーティで一番早く帰ってきたのは、「ザザードラ海賊団」だった。
先祖は、北海の海賊だったという触れ込みのロロヌスという男が率いるパーティで、いつも調子っぱズレな舟歌を歌いながら凱旋するので有名なパーティだった。
むろん、踏破級、西域風の言い方だと銀級の腕利きのパーティである。
「おう、俺達が一番乗りってか」
髭面の大男は快活に笑いながら、肩に担いた魔物の足を、買い取りカウンターにぼんと投げ出した。
「本体は収納袋の中だ。やたらと外皮の硬いやろうでな。バラすのは解体屋に頼もうと思ってる。
とりあえず、だ。
階層主を倒した証拠に足だけ、もいできた。これで第一関節までだぜ。まったく!
馬車よりでかい蜘蛛ってのはあんまり会いたくないねえ。」
そこまで、言って周りの空気に気が付き、首をかしげた。
「え、」
「え?」
「あ? いやここの第一層の階層主はジャイアントスパイダーだろ? 倒してきたぜ。回復アイテムを使い尽くしちまったんで、第二層への入口は見つけられなかった。傷の手当が先だと思ったんで・・・え?なんだよ、どうしちまったんだ?」
クリュークの襟にとまった「伝言虫」がわめいた。
「こちらは『楼蘭』。階層主と遭遇した! 刀が通らない・・・いったん撤退する。回復魔法の準備を頼む・・・ニースが足をやられた」
「どうなっておる!」
王が叫んだ。
「階層主は『精霊の泉』が倒したはずでは・・・」
伝言虫が容赦なく次のメッセージを伝えた。
「『風の使者』のレオン=バートだ。いま、霊安室で階層主と遭遇! 戦闘中だ! この蜘蛛は・・・魔法を使う!応援を寄こしてくれ! 大至急だ!」
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