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第10話 駆け出し冒険者は、深夜に苦悩する
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さて、困った。
数時間後、「またも」ギルドを叩き出されたルトは、なんだか、調子っぱずれに学院校歌を歌うリアの体を支えながら、夜道に立ち尽くしていた。
『彷徨えるフェンリル』の二人も、ほどよく酔っ払いながら
「じゃあ、明日ね!」
と手をふって去っていったのだが・・・・
「リア、リアってば、飲み過ぎ…」
「くおぉぅらあ、クソ王子ぃ!」
リアは充分、美人の範疇に含まれていたが、酔っ払いの扱いがそれで楽になるものでもない。
「クソおうじ?」
「あぁ、違った違った、ごめん、ごめんよぉ、ルト。
あのさぁ、わたし、あんたにちょっと似た感じのやつに振られたんだおぉ、このまえさあ。」
ぐいぐい体を押しつけてこられるのは、美人の酔っ払いのほうがたちが悪いかもしれない。
「男爵閣下がさあ、あ、これが義父なんだけど、王子さまを誘惑して、一晩寝てみろって言われてさぁ、なんか会う機会を作ってくれたんだけど、ぜんぜん、ひっかからなくってさあ…」
リアの指が、自分のシャツのボタンをプチプチと外していく。
豊かな双丘が半ばまであらわになった。
ちなみに、ほかに人通りはないとはいえ。
路上である。
「そいつ、婚約者がいてさあ、えっらいとこのお姫さまなんだけど、ほっそくて、背が高くて、目つきがすっげえ怖いやつ。
わたしの方が、ぜったい胸、あるし、優しくしてやれるのにさあ。」
そのまま、ルトにもたれかかるようにしてぐしぐしと泣き出した。
「そのバカ王子が、ダンパで婚約破棄騒動をしでかしたんだよ、そこでわたしの名前が出ちゃって、あわてた義父が、勘当だ、出て行けっ…ねえ、酷くない?酷くね?」
路上である。
ああ、星が綺麗だ。
「ねえねえ、ルトは✕✕?」
わあ、ながれぼしだあ。
「まだ、わたし、泊まるとこ決めてないんだ。ね、ちょっと寒くなってきたよね? あったかくなろ? ね?」
触手攻撃が来ないかなあ。
「そだ。はじめる前にちょっとお湯で体、拭かせてね。お湯つくるくらいの生活魔法はぜんぜん使えたりするから。
ルトもさ、拭いてあげる。いろんなとこ、もう、わたしにまかせてくださいって!
かっがやっける、みどりのだいっちに、あっさがくるぅ、おお、わっかものよ、たっちあがれぇ…」
力を失ったリアの体がビクンッと痙攣した。
えろろろろろろろおおぉぉぉ
わあ、ゲロだあ。
意識を失った少女に軽めのヒールをかける。
意識はないほうが、もうありがたいので二日酔い防止程度のほんとに軽いヤツだ。
呼吸が安らかな寝息に変わるのを確認してから、懐中紙で顔を拭ってやって、なんとかリアを担ぐ。
宿は、それほど上等ではないが、個室だ。
朝、追加の料金を払えばいいだろう。
床で寝るかな。
いや、それでも一緒に部屋で寝たら、まずいのか。
少なくとも目付きの怖いお姫さまはいい顔はしないだろう。
うん。
いささか自暴自棄になったルトはこう考えた。
なるようになって、後でまとめて怒られよう。
魔王宮の入口が開くまで、あと三日。
数時間後、「またも」ギルドを叩き出されたルトは、なんだか、調子っぱずれに学院校歌を歌うリアの体を支えながら、夜道に立ち尽くしていた。
『彷徨えるフェンリル』の二人も、ほどよく酔っ払いながら
「じゃあ、明日ね!」
と手をふって去っていったのだが・・・・
「リア、リアってば、飲み過ぎ…」
「くおぉぅらあ、クソ王子ぃ!」
リアは充分、美人の範疇に含まれていたが、酔っ払いの扱いがそれで楽になるものでもない。
「クソおうじ?」
「あぁ、違った違った、ごめん、ごめんよぉ、ルト。
あのさぁ、わたし、あんたにちょっと似た感じのやつに振られたんだおぉ、このまえさあ。」
ぐいぐい体を押しつけてこられるのは、美人の酔っ払いのほうがたちが悪いかもしれない。
「男爵閣下がさあ、あ、これが義父なんだけど、王子さまを誘惑して、一晩寝てみろって言われてさぁ、なんか会う機会を作ってくれたんだけど、ぜんぜん、ひっかからなくってさあ…」
リアの指が、自分のシャツのボタンをプチプチと外していく。
豊かな双丘が半ばまであらわになった。
ちなみに、ほかに人通りはないとはいえ。
路上である。
「そいつ、婚約者がいてさあ、えっらいとこのお姫さまなんだけど、ほっそくて、背が高くて、目つきがすっげえ怖いやつ。
わたしの方が、ぜったい胸、あるし、優しくしてやれるのにさあ。」
そのまま、ルトにもたれかかるようにしてぐしぐしと泣き出した。
「そのバカ王子が、ダンパで婚約破棄騒動をしでかしたんだよ、そこでわたしの名前が出ちゃって、あわてた義父が、勘当だ、出て行けっ…ねえ、酷くない?酷くね?」
路上である。
ああ、星が綺麗だ。
「ねえねえ、ルトは✕✕?」
わあ、ながれぼしだあ。
「まだ、わたし、泊まるとこ決めてないんだ。ね、ちょっと寒くなってきたよね? あったかくなろ? ね?」
触手攻撃が来ないかなあ。
「そだ。はじめる前にちょっとお湯で体、拭かせてね。お湯つくるくらいの生活魔法はぜんぜん使えたりするから。
ルトもさ、拭いてあげる。いろんなとこ、もう、わたしにまかせてくださいって!
かっがやっける、みどりのだいっちに、あっさがくるぅ、おお、わっかものよ、たっちあがれぇ…」
力を失ったリアの体がビクンッと痙攣した。
えろろろろろろろおおぉぉぉ
わあ、ゲロだあ。
意識を失った少女に軽めのヒールをかける。
意識はないほうが、もうありがたいので二日酔い防止程度のほんとに軽いヤツだ。
呼吸が安らかな寝息に変わるのを確認してから、懐中紙で顔を拭ってやって、なんとかリアを担ぐ。
宿は、それほど上等ではないが、個室だ。
朝、追加の料金を払えばいいだろう。
床で寝るかな。
いや、それでも一緒に部屋で寝たら、まずいのか。
少なくとも目付きの怖いお姫さまはいい顔はしないだろう。
うん。
いささか自暴自棄になったルトはこう考えた。
なるようになって、後でまとめて怒られよう。
魔王宮の入口が開くまで、あと三日。
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