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第三章 バルトフェル奪還戦
第33話 三十石船道中
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日が高く登り始める。
ルーデウスは、久しぶりに、その温かさ、ふ、吹く風の優しさを楽しんでいる。
まったく、強化、あるいは防禦の魔法をかけていないにもかかわらず、太陽光は、肌を爛れさせたりはせず、心地よい温かさをもたらふだけだった。
これが、真祖!
これが、真祖後のもたらすチカラ。
『親』から、あるいはその先代から受け継いだ呪いは、完全に消え去っていた。
「朝食」だと、言って四角い木箱に入った食べ物が渡された。
なかは、茶、赤、緑のそれぞれのペースト状のなにかが入っている。
一口食べて、ルーデウスは感涙した。
思わず、となりの席のアデルに話しかけてしまった。
「ま、まずい。これまずいぞ!」
「それは、そうだろうけど。それがいったい……」
「まずいのがちゃんとわかる。」
もう、一口食べて、ルーデウスは、まずいっ!!と絶叫した。
「“貴族”に変化する過程で、生き血以外は 食物として受け付けなくなる。人間のフリが
かなり上手くなり、陽の光も苦にしない高位の“貴族”でも食生活はかなり貧しいんだ。」
ルウエンが言った。
「おかわり!」
ラウレスが空の容器を差し出した。
「ひとり1個しかないよ。ぼくの食べかけだけど、食べる?」
「食べる!」
童女は、ルウエンが半分ほど遺した弁当をかきこみはじめた。
「ロウも食べないんなら、残りをラウレスにやっていいかな?」
「朝はコーヒーに、サラダ、目玉焼きに決めてるんだ。さすがにまずいものにも歓喜するようなマネはしないよ。」
ロウも1口食べただけの、容器をラウレスに差し出した。
「冒険者学校の食事が懐かしいね。」
ロウは感慨深げに言った。
「相変わらず一日中、営業したいて、好きな時に好きなだけ食べられるのかい?」
「営業は一日中、やってるけど、いまはクーポン制だよ。10日ごとにクーポンをもらってそれで支払いをするんだ。もっと食べたければ追加のクーポンを購入しかない。」
「そうか。わたしのいたころは、具だくさんのスープとかお粥がメインであって、チーズハム、卵料理なんかは取り放題だったな。」
「あんたも冒険者学校にいたの?」
「お母さんからきいてないのか?
あのころ、わたしやギムリウス、そしてかの『黒の御方』に『災厄の女神』は、一緒に朝飯を食べるのが習慣だったんだ。」
「それがあの伝説の『踊る道化師』なんですか?」
ルウエンが声を低くして言った。
「どこで、その名を。ああ、あのときカザリームにいたのなら、当然知っているか。」
「その『踊る道化師』は、ほかに誰がいたんです?」
「ん、今言ったやつら以外にか?
そうだな、かの伝説『銀雷の魔女』もいたぞぞ。いまでは、どこか北の方に庵を構えて隠遁してしまったが、当時は、わたしたちの参謀格だったんだ。もともとはただの人間だったんだが、わたしとギムリウスのおかけでかなりの戦うほうもかなりの腕前になってな。」
「そうなんですか。ほかには誰が?」
「いま銀灰連合国軍最高司令官のオルカもいた。異世界人のアキルってのもいた。」
「たいしたメンバーですね。そのまま世界を滅ぼせるんじゃないですか?」
「違うんだよ、少年。
わたしたちは、誰かがまかり間違って、世界を滅ぼそうとしたときに、それを止めてやるために集まったんだ。」
ルウエンは。
眩しそうに、ロウを見た。
「へえ? そうなんですか。ほかに誰がいたんです?」
「ああっ!! そうだ、大事なやつを忘れでる。」
「誰です、それ?」
「アモンだよ、アモン! 姉御肌でなあ。わたしたちが好き勝手をしてる間、迷宮の管理をしてくれてたんだ!」
がっかりしたように、ルウエンは肩を落とした。
「なんだ? おまえも“踊る道化師”に入りたかったのか?
残念ながら踊る道化師は、活動休止だ。、
もし、冒険者のパーティメンバーを募集するよりも、今の、メンツでいいんじゃないのか?」
「悪いメンバーじゃないね。」
と、アデルは言った。
「ただ。わたしたちはまだ学生だから、活動の拠点はとりあえず、ランゴバルドに、なると、思うけど。」
ルーデウスは、久しぶりに、その温かさ、ふ、吹く風の優しさを楽しんでいる。
まったく、強化、あるいは防禦の魔法をかけていないにもかかわらず、太陽光は、肌を爛れさせたりはせず、心地よい温かさをもたらふだけだった。
これが、真祖!
これが、真祖後のもたらすチカラ。
『親』から、あるいはその先代から受け継いだ呪いは、完全に消え去っていた。
「朝食」だと、言って四角い木箱に入った食べ物が渡された。
なかは、茶、赤、緑のそれぞれのペースト状のなにかが入っている。
一口食べて、ルーデウスは感涙した。
思わず、となりの席のアデルに話しかけてしまった。
「ま、まずい。これまずいぞ!」
「それは、そうだろうけど。それがいったい……」
「まずいのがちゃんとわかる。」
もう、一口食べて、ルーデウスは、まずいっ!!と絶叫した。
「“貴族”に変化する過程で、生き血以外は 食物として受け付けなくなる。人間のフリが
かなり上手くなり、陽の光も苦にしない高位の“貴族”でも食生活はかなり貧しいんだ。」
ルウエンが言った。
「おかわり!」
ラウレスが空の容器を差し出した。
「ひとり1個しかないよ。ぼくの食べかけだけど、食べる?」
「食べる!」
童女は、ルウエンが半分ほど遺した弁当をかきこみはじめた。
「ロウも食べないんなら、残りをラウレスにやっていいかな?」
「朝はコーヒーに、サラダ、目玉焼きに決めてるんだ。さすがにまずいものにも歓喜するようなマネはしないよ。」
ロウも1口食べただけの、容器をラウレスに差し出した。
「冒険者学校の食事が懐かしいね。」
ロウは感慨深げに言った。
「相変わらず一日中、営業したいて、好きな時に好きなだけ食べられるのかい?」
「営業は一日中、やってるけど、いまはクーポン制だよ。10日ごとにクーポンをもらってそれで支払いをするんだ。もっと食べたければ追加のクーポンを購入しかない。」
「そうか。わたしのいたころは、具だくさんのスープとかお粥がメインであって、チーズハム、卵料理なんかは取り放題だったな。」
「あんたも冒険者学校にいたの?」
「お母さんからきいてないのか?
あのころ、わたしやギムリウス、そしてかの『黒の御方』に『災厄の女神』は、一緒に朝飯を食べるのが習慣だったんだ。」
「それがあの伝説の『踊る道化師』なんですか?」
ルウエンが声を低くして言った。
「どこで、その名を。ああ、あのときカザリームにいたのなら、当然知っているか。」
「その『踊る道化師』は、ほかに誰がいたんです?」
「ん、今言ったやつら以外にか?
そうだな、かの伝説『銀雷の魔女』もいたぞぞ。いまでは、どこか北の方に庵を構えて隠遁してしまったが、当時は、わたしたちの参謀格だったんだ。もともとはただの人間だったんだが、わたしとギムリウスのおかけでかなりの戦うほうもかなりの腕前になってな。」
「そうなんですか。ほかには誰が?」
「いま銀灰連合国軍最高司令官のオルカもいた。異世界人のアキルってのもいた。」
「たいしたメンバーですね。そのまま世界を滅ぼせるんじゃないですか?」
「違うんだよ、少年。
わたしたちは、誰かがまかり間違って、世界を滅ぼそうとしたときに、それを止めてやるために集まったんだ。」
ルウエンは。
眩しそうに、ロウを見た。
「へえ? そうなんですか。ほかに誰がいたんです?」
「ああっ!! そうだ、大事なやつを忘れでる。」
「誰です、それ?」
「アモンだよ、アモン! 姉御肌でなあ。わたしたちが好き勝手をしてる間、迷宮の管理をしてくれてたんだ!」
がっかりしたように、ルウエンは肩を落とした。
「なんだ? おまえも“踊る道化師”に入りたかったのか?
残念ながら踊る道化師は、活動休止だ。、
もし、冒険者のパーティメンバーを募集するよりも、今の、メンツでいいんじゃないのか?」
「悪いメンバーじゃないね。」
と、アデルは言った。
「ただ。わたしたちはまだ学生だから、活動の拠点はとりあえず、ランゴバルドに、なると、思うけど。」
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