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クエスト、谷へ向かう

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出発日。

何故かレイラとステラに、ギュッと抱きしめられてからの出発だった。

ステラにクンクンされたが……。



…………臭くないよね。






「……ツルギさんはいつもあんなことして別れるんですか?」

「違う違う!
今回、たまたまだよ」

暫く馬車で進むと第一声がそれだ。

いつもしていたら俺の精神がもたないよ。

ヒマリちゃんに指摘され何とも情けない……只でさえ馬車を動かして貰っているのに。

後ろは後ろで、話が聞こえる。



「ミリュウさんでしたっけ?
武器がないようですが、大丈夫ですか」

「ん?
お前はヴァレリアだったか。
我は拳でいくから問題ないぞ」

……あっ。
渡すの忘れてた。

「ミリュウ。
流石に手を痛めるかも知れない。
良ければだが、これを着けて見てくれ」

「ほぅ!
小手か……貰ってもいいのか?」

「あぁ。
多少なりダメージを抑えられるし、ある程度なら刃物も防げると思う。
大事な仲間だからな」

まぁダンジョンでの副産物で作ったもんだし、実質タダだからな。


それにふと思ったが、ヴァレもヒマリちゃんも美人だよなぁ。

ぼーっと見ながらそんな事を考えていると、ミリュウが背中からギュッとくっついて来た!?

何!?
色々ヤバイんだけど。

「な~に見てたんだ。
まぁいいが、これありがとな」

最近砕けて話すようになったよね。
ってか、早く離れてくれ。

「…あぁ。
気にしないでくれ。
ただなぁ~ヒマリちゃんもヴァレもだが美人だよなぁって思ってさ」

「「なぁ!?」」

急に大声が聞こえた。
やべ、不味かったかな?

「ほぅ……。
ちなみに私はどうだ?
仮にも姫だし、容姿には自信あるんだぞ」

へっ?
姫って初めて聞いたぞ。
あれちょっと待って?
家族は?

「ダンジョンにいたよな?
なんで親は探しに行かなかったんだ?」

「多分、鎖が原因だろう。
ツルギが斬ったとはいえ、両手にはまだ手錠があるからな。
魔力が感知されず、探しようがないからな……。
今はそんなことはいい。
お前は私をどう見ているんだ」

あぁ、そっちねぇ。
ん~まぁ正直に言っておくか。

「最初は凶悪な奴だって印象だったな。
けど過ごしている内に、とても仲間思いの優しい奴だって。
今は家族みたいな存在かな?」

まぁ容姿は竜にしろ、人化にしろインパクトはあったがな。



だから、そろそろ離れて欲しいんですよ。

背中に柔らかいのが当たってて、精神的に限界なんですよ。

「ふふ。
ん~ツルギと一緒で良かったわ。
今頃、ステラ達はどうしてるかねぇ」

ミリュウは、顔をニヤニヤしながら、離れる様子がない。

チラチラとヒマリちゃんとヴァレが見てくる。

なにこの状況?
馬の足音聞きながら、目的地を目指すも、何事もなく進む。


このクエスト大丈夫かな?
余りに何もなく、かえって不安になるな。

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