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第十二章
第692話
しおりを挟む2週間に1回、4柱から6柱のバ神が私への謝罪とみんなから罰を受けるために廃国に運ばれてくる。火龍が神霊界から連れてくるのだ。
第二陣できた神からの謝罪が最初に始まる。ほかの神と同じセリフの場合、「二番煎じは認めない」と突っぱねる。このときはまだ操り水を飲ませる前のため、神は自分の失敗に気付くと青ざめる。そして許してもらおうと土下座をする。
「あー、土下座パフォーマンスは受け付けてないから」
「いや、パフォーマンスでは……」
「あのねぇ、あなたがどう思って行動したかは関係ないの。あなたの行為を私がどう受け取ったかが大事なの。んでもって、私はあなたの行為をパフォーマンスと判断した」
「この私が土下座したんだぞ!」
「……あなたはここに何しにきたの? 私に謝罪するためじゃないの? 大陸を見捨てて妖精たちを見殺しにしてナナシを放置してたくさんの人を見殺しにしたことを謝罪するためじゃないの?」
「…………」
「ほ~うら。悪いと思っていないから謝罪のひと言も出てこない」
私が嘲笑うと睨めるように見上げてきた。一瞬で火だるまになる神々。火龍が火を吹いたのだ。
〈貴様らはここへ何しにきた。ろくに謝罪も出来ないのなら死して詫びろ〉
《 こんな連中、妖精になられては迷惑! 》
《 この国の王族みたいにドロドロになればいい! 》
「そんな風に気持ち悪い目で縋らないで、『光に身を焼かれて怯える蠢く存在』になればいいんじゃない? そうねぇ……1万年は地中に潜って自我を消失、そのまま無になって消滅してちょうだい」
チャミこと魅了の女神が「フフフ」と微笑みながら、絶望を受けた神に提案という名の命令をくだす。彼らはそれに従うだろう。
「ピピン、操り水を空気に混ぜて呼吸ついでにこっそり飲むように仕向けたでしょう?」
「お気付きになりましたか」
「ってことは……」
「あの連中は1万年後に消滅しているでしょう」
残念です、それを見届けることができませんから。
そう真面目な表情で言い放つピピン。神が減っても……極端な話、神が滅んでも世界は成り立つ。理由は簡単、神が転生した姿である『聖霊がいるから』だ。
神霊界では、神と聖霊の住み分けがされているらしい。神として偏見と誤解の多いものの捉え方を、聖霊に生まれかわった者たちに植え付けないため。
「でもさ、もとの考え方を捨てない神がいるんじゃない?」
《 根っこが腐ってるからー 》
《 根性が腐っているからー 》
《 聖霊は生まれなーい 》
妖精たちが私の前で両手を大きく交差させて『×』のジェスチャーをみせる。
「その場合は神の記憶をもった聖霊は生まれず、ほぼ全員が妖精になるわ」
「…………ほぼ?」
チャミ曰く、神の記憶と崩れた性格と腐った根性をもった本体は、餓鬼道か畜生道に堕ちて罪を償い自我を失うために腐食した魔物に生まれ変わるらしい。
「腐った死体も崩れた肉体も、彷徨う死体も、みんなきら~い!!!」
「……あれは俺もイヤだな」
「ここにもいる~!」
「いや、前には腐った死体になった元国民がいたけど。エミリアが嫌いだから全部植物になって今はいないだろ?」
「いるよぉぉぉ! あそこぉぉぉ!」
私がダイバにしがみついて胸に顔を埋めて指をさす。
そこにはボロのマントを身につけた『人ではない存在』の気配を漂わせるものが立っていた。
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