私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

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第十二章

第660話

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ムルコルスタ大陸に近い火山島に関する調査報告書があがった。

・ムルコルスタ大陸から火山島を視認することは不可能

それでは鳥が目撃されたこと以前に目撃自体に信憑性がなくなる。

「一番近い火山島までの距離は?」
「約80キロ」
「……結構遠いね」

これは地の神が関わっているらしい。

「火山島のうち噴火を繰り返す島が大陸から遠ざけられた」
「火龍情報?」
「ああ、まず島民がいる火山島は地熱と蒸気による繁栄が約束された」

これは完全に溶岩を噴き出す無人の火山島と分かれるそうだ。というのも、ナナシの起こした惨劇により、海底に沈んだいくつかの火山島が海の中で爆発して海水を吸い込んだ。その爆発で火山島同士で繋がる地脈内のガスが一気に吐き出され、吸い込まれた海水が温泉となったらしい。

「海水を熱してできた塩はどこ消えた?」
「あー……それなんだけどな……」

詳しいことは神の意思か何かがあるのだろうけど……爆発したときのガスで、海水を吸い込んでいる海底火山の火口を埋めた岩や砂利などで海水を濾過しているらしい。

「だったら目撃できんじゃん」

そう、目撃情報はなのだ。


・目撃情報をよこした者は誰だ?

「これは間違いない、漁業をしていた漁船からの目撃だ。その漁船ふねの乗組員全員が目撃者だ」

彼らは火山島の移動を知らない。そのためらしい。

「たとえ鑑定できたとしても、島の名前を確認するだけで移動したという情報はなかっただろうな」

漁船もナナシの事件後に海流が変わっていないか、漁業で獲れる魚は変わらないか。そして魔物の棲息地が変わっていないかも調査していたらしい。

「こりゃあ、海洋地図自体を書き直さないといけないな」

空魚ルティーヤや妖精たちに協力してもらえるかお願いすることにした。空から魔導具で撮影してきてもらうのだ。

《 報酬は? 》
御神体エミリアと飛行旅行なんていかがですか?」
《 乗ったぁ! 》
「勝手に人を報酬に使うな」

教祖ピピンが私を対価にだしてきた。それに即答で了承する妖精たち。

「エミリアは『お空の散歩、ピュリアス島温泉滞在つき』の旅行に行きたくはないですか?」
「……いきたい」
「じゃあいいですね。今回はミリィとルーバーに双子も連れて行きましょう」
「双子は連れて行っても大丈夫?」
「もちろん大丈夫ですよ。事前に連絡しておきましょう」

ピピンはミリィさんたちを巨人族に会わせたいと思っているのだろう。元々私がそう願っていたことだ。
妖精の郵便屋さんに出した手紙の返事で、アゴールたち一家とシエラ一家、コルデさんとフーリさん夫妻とアルマンさんが追加で招待された。

「俺も一緒に行っていいのかね?」
「冒険者お疲れ様だって」

アルマンさんが自分も招待されたことに驚いていたが、届いた返事にそう書かれているのを読んで同行を了承した。
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