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第九章
第413話
しおりを挟む見た目、ピピンはイケメンのお兄さん。リリンは黙って微笑んでいたら絶世の美女…………なのに
《 触手はしまいなさい 》
「出していた方が、私がリリンだって一目でわかるでしょう?」
「ある種の性癖の人が泣いて悦ぶな」
「……手は写さないようにしましょう」
ということで、不自然にならないように下は腰の部分までとなった。
「見えてないよね」
「見えないな」
「大丈夫ですね」
リリンは『トンボのお腹に凧糸を繋いで飛ばしている』ように、火の妖精のお腹に触手を巻いて遊んでいる。背後に飛ばしていたが、妖精の姿は見えず、触手も影になって見えなくなっていた。
「あの……恥ずかしいのですが」
「はーい、すぐに終わりますね」
メッシュが椅子に座った白虎を写真に撮ろうと魔導具を手にしている。しかし、白虎の表情は固い。真っ白な獣の耳にフサフサな尻尾。そのどちらも不自然に見せないため、椅子に座っているのだ。立って撮影しようにも、尻尾が隠れてしまうのが座って撮る一番の理由だ。
《 白虎、笑ってー 》
「白虎ぉ、んっばあ~」
《 アガガガガガ…… 》
「フフフ」
「あ、いい笑顔です!」
私が目の前にいた風の妖精の顔をムニッと掴んで変顔をして見せたことで白虎が笑ったのだ。
自然の笑顔は白虎の愛らしさを最大限に引き出していた。それは白虎の人気を上げる結果になったが、獣人になっても盗撮はやはりできず……。あのケモミミとフサフサ尻尾は一部の男性たちの精神を破壊するようだった。
三人の姿はすんなり受け入れられた。
事前に事情を知っているダイバがメッシュと相談した結果、メッシュは「取材させてください!」と目を輝かせ、その方が説明が一回で済むとピピンは了承した。ただし取材はピピンのみ、撮影は身長差を確認するため、私を含めた四人一緒のと個別の一枚。妖精たちは同調術を使っても記録に映らない。でも、同調術を使わなくても見える人の記録には残る。
時々、私たち以外の妖精たちの写真を撮って魔石に移してからメッシュに渡している。もちろん、それを前提で妖精たちに集まってもらうが、《 うつりが悪い 》と言って嫌がる子がでたら、それは『月刊妖精ニュース』に掲載されない。
周囲でも良い方向へと変わりつつある環境、それの一部は妖精たちが増えたことが原因だ。との公的理由から、妖精たちの情報を精査して、月一回『妖精たちからもらった情報』をニュース化している。もちろん騰蛇たちが隠している情報もあるため、あくまで妖精たちからの情報公開となっている。その内容は、事情を知っているダイバとメッシュによって決められている。
その関係で、今回の取材も二人が管理するようだ。
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