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第九章
第382話
しおりを挟む「いつ呼び戻されるかわかりませんので情報を出していきます。ただ、まだ公開はしないでください」
そう前置きして、メッシュは現時点でもっている情報を公開して帰っていった。
「エミリア……。とりあえずひとつずつ確認していくぞ」
「まず最初にするのは……」
「休憩、だな」
「うん」
同意と共に、ソファーで横になる私たち。色々ありすぎて疲れた、ともいう。
「ねー、ダイバぁ」
「なんだあ?」
「『魔力が残った魔物の目』って人工で作れると思う?」
「それこそ、付与ができる職人が必要だろ」
「んー?」と言いながら仰向けになった。妖精たちが靴を脱がせてくれたため、足を肘掛けに乗せる。
「ダイバって、宝石の鑑定ってできる?」
「んー? ルビーとか種類のことか?」
「んーん。宝石に魔力が残ってるかどうか」
「あー、それは無理だ」
「だよね~。騰蛇にも確認したけど、妖精たちでもわからないんだって」
「エミリアはわかるか?」
「んーん、わかんない」
私が左右に首を振ると「そっか」とダイバが呟いた。
「妖精でもわからない、ダイバたち竜人でもわからない。魅了とはいえ女神が中に入ってた私でもわからなかった。……じゃあ、誰がわかると思う?」
「エルフは……エリー自体が気付かなかったな」
「ミリィさんたちも気付かなかったから巨人族はムリ」
「あと、この都市にいるのはドワーフと獣人と魔人……」
「一番の可能性は鉱石に詳しいドワーフ?」
「そうなるな。ちょうど今回の一件もあるから、ポンタに聞いておく」
今回の一件というのは、レイドンが食い止めていた商品の納入。職人としてそんな物が作れるのか。そして『不審物一掃キャンペーン』中のダンジョン都市の城門を通り抜けられるかどうか。
実は、城門の魔導具は今までダンジョン都市の職人が作っていた。それに不備があるかもしれないということで、ポンタくんの所から試作品の名目で取り替えた。そしてそれをポンタくんに送って調査依頼してあったのだ。
エイドニア王国の職人ギルドのマスターのポンタくんはドワーフ族だと言っていた。だからダイバはポンタくんに確認するつもりだろう。
問題は、ポンタくんにわかるかどうか。職人の中にはドワーフ族もいるから全員に確認するのだろう。
「ドワーフ族でも、木材を得意とする人や鍛治師、鉱石が好きな人。色々いるからね~」
「宝石が得意で尚且つその宝石に魔力が残ってるかがわかるかどうか、か。その魔力が残った宝石自体、珍しいものだろ?」
「現物がないと難しいよね」
「エミリア、持っているのか?」
「うん。私が持ってる宝石の中に一つだけあったの、騰蛇が見つけてくれた」
そういってダイバに渡す。手が届かないから風魔法でダイバに飛ばした。
「『魔力の残った翡翠』ってついてるな」
「騰蛇が見つけてくれたから」
「ああ。鑑定済みのアイテムには、鑑定結果がアイテム名になるからな」
「それで、どう?」
「わからん。見た目も普通の宝石だ。鑑定結果がなければ、そのままで通り抜けそうだ」
「それ、ポンタくんに渡していいよ。中の魔力は少量しか残ってないから問題ないんだって」
「…………問題あったら、ピピンたちに取り上げられているだろ」
ダイバのいうとおり、私に影響がある物だったら絶対取り上げられているだろう。
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