私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

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第八章

第331話

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「で、情報部の方はどう?」
「ああ、フィーメとフォッシュがくだんの境界線に向かっています。目撃者たちの話を聞く限り、当事者の装飾具が複数砕けたらしいです。ただ、それを誰も回収していなかったみたいですね。それに各地で出回っている魔導具をスーキィとグッセムのコンビが送ってきました。そちらは魔導具調査課が調査を開始しました。二人には当事者から聞き出した装飾具の販売店を伝えたので、このままそちらを調査するようです」

メッシュに確認すると、すでに記者たちが複数人で動いているようだ。スーキィとメッシュの二人は、昨年エリーさんが身につけていたアクセサリーが私の店に来たとき、結界を強化して砕けた事件の調査をしている。
ダイバから報告が上がったことで、ダンジョン管理部にある諜報分析部の情報収集管理課ウラチョウはウラドリがとれるまで情報開示を止めた。情報部が表なのに対し、情報収集管理課は裏。庁舎で働く職員でも、どちらも情報部とであり、情報部が流すニュースの真偽を確認するのがウラチョウだと勘違いされている。実際には、情報部の記者たちが集めた情報の中には『故意に流された情報』というのも複数ある。もちろん、間違った情報を流すわけにはいかない。その調査部門が情報収集管理課ウラチョウだ、と信じられているため、誰も疑わない。
チラリと新人記者に目を向ける。彼女は表の記者として採用されたのだろう。活動や行動如何いかんによって、ウラチョウに選ばれる。メッシュたちと彼がさっき言った記者たちはウラチョウに選ばれた記者たちなのだ。

「君は本日休みだったはずだが?」
「はい、そうです」
「だったら何故ここにいて、エミリアさんに迷惑をかけているんだ?」
「情報を得るためです」
「うっそで~す。私をパシリとして使おうとしました~」
「神獣に聞いてこいと命令しましたー」
「一切調査していないことを胸張っていましたー。……胸がないけど」
「先輩記者たちみたいに自分の足で下調べしないことを正当化していましたー。……コイツ、足いらないだろ」
「エミリアが現れるまで、エミリアの悪口を言いまくっていたよなー。……バカなことしか言わない口なんかいらないだろ」

私のツッコミを発端に、周囲からも情報があふれてくる。それに青ざめて周りを見回す新人記者。口を押さえているのは、これ以上余計なことを言えば墓穴を掘ることは自覚しているのだろう。
冒険者というものは、相手の不正はどんなに小さくても許さない。見逃して自滅するのは本人たちの自業自得だが、影響を受けて巻き込まれる可能性もある。1番ダンジョンや170番ダンジョンの崩壊事件は記憶に新しい。
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