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第七章
第274話
しおりを挟むそして次の機会に可愛い奥さんと可愛い子供たちに会わせてもらえた。めちゃくちゃ可愛い子供たちで、彼の妖精が可愛がっているのもよくわかる。この時は『妖精の庭』は使えなかった。そのため、結界の張られた安全な場所だったが、ミャウリさんは不参加だった。
「はじめまして。あの……『夫と同じ世界が見られる方』なんですね」
そう言われて気付いた。妖精たちは普通の人では見られないことに。つまり、ルブランは誰にもわかってもらえない苦しさを抱えて生きてきたのだ。それを考えたら、ダンジョン都市で当たり前のように最初から理解してもらえている私はなんと幸せだったのだろう。
「あなたがいたから、ルブランは人としての道を外れなかったのね」
私の言葉に目を丸くして固まった。彼女の私に向けたセリフには妬みが含まれていた。それは仕方がないだろう。彼女が『彼と同じ位置から世界を見てみたい』と願っても頑張っても叶わなかったことを、私は難なく見ることができるのだから。
「ルブラン。妖精の同調術は使える?」
「いえ、使ったことはありません」
「じゃあ教えるわ。ルブランは風と水の妖精だよね。じゃあ、ふうちゃん、みぃちゃん。手伝って」
私がそう声をかけるのと二人だけでなく妖精が全員寄ってきた。
《 な~に? 》
《 なにするの? 》
「ルブランに同調術を教えるの。ルブランの妖精も一緒に手伝って」
《 私たちも? 》
「これができるようになれば、ルブランの家族にも姿を見てもらえるよ」
《 話もできるよ 》
私の言葉に目を輝かせたルブランの妖精たち。もちろんそれはルブランたちも同様だ。
《 やる‼︎ 》
《 話ができるようになるんだったらやる! 》
「ボクたちも みえるようになるの?」
子供たちも同様に目を輝かせている。
「みえるよ。実際に私の周りの人たちと同調術を使ったことあるもん。ただ、血が繋がっていないと長くは続かない。でも、その度に同調術をかければいい」
前半は子供たちに、後半はルブランと奥さんのフローリアに。
妖精たちはまず自分たちだけで同調術を練習し始めた。ルブランの妖精たちは知識を持っていても術を使うのは初めてだったようで最初は大騒ぎしていたが、感覚で覚えたのだろう。すぐに慣れたようで、十分後には二人だけでも同調術ができるようになっていた。
ルブランの役割は妖精たちの妖力を安定させて借りる。一体なら『乗り移らせる』ことで外見を変えることが可能。それに一番安定させやすい。
今回教えた同調術は、望む相手に使うことで『自分と同じ感覚を共有できる』というもの。この時に大事なのは、最初に妖精たちと同調すること。それから同調させたい人たちと同調をする。もちろん聖魔師ではないため妖精の力は使えないが、妖精の姿が見えるし声も聞こえる。触ることもできる。
……問題があるとしたら、自分たちを認識していることに喜んだ妖精たちのイタズラが悪化することだ。一番の被害者がダイバだ。同調できる時間を確認するのに、信用できるダイバたちに協力を頼んだ。血族ではないため半日、最長で十八時間だった。大人と子供でも時間に差が出た。子供の方が同調時間が長かった。ただ、男女差は出なかった。
ルブランには、一回の同調術で自分の子供たちと何時間同調できたかを確認してもらうことにしたのだ。
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