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第七章
第217話
しおりを挟む「もーヤだ~‼︎ アイツらキラーイ!」
庁舎にあるダンジョン管理部の詰め所に着くと、シーズルから連絡をもらっていたダイバとアゴールが飲み物の用意をして待っていてくれた。
「大体のことはシーズルから話は聞いているが……そんなにイヤな連中なのか?」
「アイツら、『聖魔師なら自分たちに協力しろ!』っていう目で見てくるんだよ!」
「協力しなくていいです。聖魔師の方が立場は上です。エミリアさんの足の爪の垢でも煎じて飲んでいればいいんです。連中は聖魔師に群がる害虫です。二度と蘇らないように徹底的に踏み潰してやりましょう!」
「アゴール、お前も落ち着け。それで、エミリア。連中の目的はなんだった?」
「私と聖魔たちの『保護』という名の捕獲と、捕まっている聖魔士たちの無罪放免。そして『聖魔士くずれ』を手に入れる。私には「聖魔師の名を騙る聖魔士くずれじゃないか」って因縁つけて、聖魔が現れたら捕獲しようと魔導具を隠し持ってた」
「そいつは起動直後に都市の機能が作動して瞬時に破壊だな。大体、捕獲と同時に聖魔士くずれ確定じゃないか」
「聖魔を捕まえて人質にして、私の身柄を聖魔士ギルドの所属にするのが目的」
「エミリアさん、証拠は集まりましたか?」
「うん。魔導具を悪用したけど……」
「かまいません。いえ、組織の名を借りた犯罪者の企みを知るためです。それにこれが悪用であれば、この都市に張り巡らされた防衛機能で破壊したはずです」
「そうだな。エミリアの行動が間違ってない証拠だ」
「もし間違っていても大丈夫です。ダイバがその罰を受けますから」
「おい、なんで俺が……」
「エミリアさんから魔導具で監視する案が出された時に最終判断をしたのがダイバだからです」
アゴールの言葉で思い出したのかダイバは苦笑いする。私が彼らに不信感を持ち、新都長とシーズル、彼の補佐ミュレイ、そしてダイバとアゴールに私を含めた六人で話し合った結果、魔導具の使用が許可された。その結果、連中の魂胆を知ることができて対策も可能だった。
「ヨシヨシ。よく我慢したな。ほら、ご褒美のウルール」
「わーい! ダイバ、ありがとう!」
ダイバが出したウルールのビンを受け取って頬擦りをすると二人に苦笑された。
私が一抜けしてきた守備隊の詰め所では、グダグダというかダラダラと話が続いていた。
「彼らを檻から出してほしい」
「犯罪者である以上、檻から出すことはできない」
「罰は自分たちの方で……」
「この都市で起こした犯罪はこの都市で罰を下します」
「いや、しかし……」
「ギルドで罰を下したいのでしたら、後ほど追加でどうぞ」
魔導具で盗聴した結果、彼らはギルドから正規で寄越された職員ではなかった。それ以前に、聖魔士くずれや聖魔士たちがダンジョン都市で捕まったことをギルド本部は知らなかった。
ただし、彼らはギルドに所属している正真正銘の職員と聖魔士たちだと判明した。
「ギルドマスターたちがこちらに向かっています。それまで、彼らを足止めしてください」
新都長の報告で他の四人の表情が険しくなる。
「それが出来なかったら、ガラスのプールに投げ込んでもいいよね~」
私の言葉に五人の表情が強張った。
そして、さすが聖魔士ギルドなだけあり、飛翔系の魔物の協力で翌日の昼には到着した。
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