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第七章
第203話
しおりを挟む「レッツ、クッキング~!」
《 わ~い! 》
みんなが大喜びで燥ぐ。
今日は久しぶりに自然災害の到来だ。ダンジョン都市に接近している春の嵐が『超ド級』が頭につく強大な砂嵐になっている。
情報部からも『外出禁止命令発動中』になっている。
《 エミリアが出かけるかわからないと、私服守備隊の人が離れられないから 》
そう言われて、外出禁止命令が解除されるまでの間ずっと家からでない旨を伝えると、彼らは安全な場所へと移動した。
そして、調合窯や錬金窯を使っての物づくりを夢中になって続けていると、妖精たちが私の体調を心配する。ということで、始まったのが『今日のクッキング』。ただ、みんなでおやつや夕食をつくる時間を取り入れただけだ。
「では、こちらの砂糖を入れた卵黄をよ~く混ぜ混ぜしてくださーい」
《 はーい、エミリアせんせーい。どのくらい混ぜたらいいですかー 》
小さなエプロンをした風の妖精が手を上げた。
「白っぽくなるまででーす」
《 ……黄色、なのに? 》
「はーい。白っぽくなりまーす」
お菓子作りや料理で卵白を泡立てたメレンゲは作ったことがあるが、黄身を白く泡立てることは一度もなかったため知らないようだ。ちなみに、カスタードクリームを作るときは白くなるまでは泡立てない。
妖精たちは妖力を使わずにかき混ぜる。小さなボウルに小さな泡立て器で混ぜているのだ。みんなは私のマネをしたいらしい。そのため、私と同じようにエプロンをしてボウルと泡立て器を使うのだ。かき混ぜるのは大変なので、私のボウルはピピンとリリンが混ぜてくれている。
《 白くなった! 》
地の妖精が声をあげると、次々に声をあげていった。
「どうかな? みんなも白くなった?」
《 なったよー 》
《 みてみてー 》
みんなは笑顔で見せてくる。
「うん、みんないいね。じゃあ、次は片栗粉を入れるよ。しっかり混ぜてね」
《 はーい 》
小さなヘラで一生懸命に混ぜていく妖精たち。真剣なため、誰も声を出さない。混ぜ合わせが終わると今度は手でまとめていく。
《 ボロボロだー 》
《 エミリア、どうしよう…… 》
「大丈夫。今から牛乳を入れていくよ。よく混ぜてね」
そう言って、みんなのボウルに牛乳を少しずつ入れると、みんなも一生懸命混ぜていく。
《 美味しくなあれ 》
《 美味しくなあれ 》
みんなが口にしているのは、私が口にしながらお菓子作りをしていたからだ。
纏まったものを今度は小さく丸めていく。
クッキングシートに丸めたものを間隔をおいて並べると、オーブンで焼いていく。
《 あ! 色がついてきたよ! 》
《 いい匂いもしてきた! 》
「もうちょっとだね」
《 飲み物を用意するよ 》
《 あ! ラッシーにしよう! 》
《 サングリアも入れよう! 》
「と言ってる間に……できたよ」
私の声に、全員がオーブンによってきた。
完成したのは『たまごボーロ』。沢山作ったのは、ミリィさんやアゴールたちにおすそ分けをするため。
妖精たちが運んでくれるらしい。
「みんなでつくった たまごボーロです。おすそわけでーす」
そうメッセージをつけて。
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