私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

文字の大きさ
上 下
130 / 789
第六章

第143話

しおりを挟む

「今回の因縁をつけられた件の罰則は?」

「・・・そうだな。『貴族の権力と切り落とした足りない股間を誇示して聖魔師テイマーを脅した』ということで廃嫡確定だな。廃籍はいせき排斥はいせきのWコンボでこのまま王都周辺の水路建設、てとこだな」

「しかし、隊長。それでは家族きぞくの介入があるのではないかと」

「あー・・・。たしかにそれもあるな」

「いや。大丈夫じゃないか?ただでさえ聖魔師テイマーに手を出したんだ。下手なことをすれば没落確定だろ」

「・・・元はと言えば、貴様が何か細工をしたせいだ!貴族に歯向かって生きていけると思っているのか!殺してやる!殺してやる!今すぐにぶっ殺してやる!!」

《 エミリアに手を出すな! 》

叫んだ男はくらやみの妖精の重力魔法で潰されて、泡を吹いて気絶した。その隙に全員を守備隊の人たちが魔法無力化の付与された枷で手足を拘束して行った。これ以上、妖精たちを怒らせないためだろう。
・・・だから、此処は詰め所なんですが?
結界に阻まれたから迷惑行為だけど未遂ってことで「謝罪するなら刑を軽くするよー」ってことで私が呼び出されたんだけど。謝罪する気がないなら、もう帰ってもいいかな?入浴ボムを作りたいんだよね。

《 エミリアー!光たちが王都に報復しに行っちゃったー! 》

「え!ウソ・・・」

《 ホントだよー。ボクだって報復しに行きたかったのに。・・・あれ?ひい、ふう、みい、よお、いつ、むう。・・・6人いる。じゃあ、ボクも行ってくるー! 》

「キャー!ダメェー!・・・って、どーすんのよぉ~!」

しゃがんだ私に周りが慌てる。私の心配半分。そして・・・。

「妖精たちが、何か・・・?」

「・・・・・・王都を襲いに行った」

「「「 エェェェェェ!!!」」」

「『報復』だって。その人は罪人なのに殴りかかってきたでしょう?あの人たちは睨んできたし。・・・だから『反省の色なし』って判断してたんだけど。さっきのことで怒っちゃったみたい」

「・・・自業自得、と言ってもいいでしょう。だいたい『聖魔師テイマーに手を出さない』のはこの国だけでなく大陸全土で決まっています。その上で、この国には『ダンジョン都市に手を出すな』という勅命も出ています。その何方も違反したんですから罰は必要です」

守備隊の人たちが同意しているが、私は妖精たちが帰って来るまで心配で仕方がなかった。

妖精たちが清々しい笑顔で帰って来たのは、地の妖精が先に行った妖精たちを追いかけて行ってから3分もしなかった。

《 大丈夫だよ~。『人を傷付けない』って約束は守ったから 》

《 約束は破ってない。でも『ただでは許さない』から 》

「・・・・・・何をして来たの?」

《 王都内すべての建物を砂にして来た。もちろんお城も砂にして来た 》

《 私は、その砂を風で吹き飛ばして来た。砂鉄とか、使えそうな素材は地の子が集めて来たから 》

《 帰ったら収納カバンに移しておくね 》

《 私は地面に雷を落として来たよ。エミリアが言ってたでしょ?『雷を落とすと地面がびっくりして植物が成長しやすい』って。だから実験して来た 》

《 私は・・・みんなが終わってから、地面を水で覆って来たの。植物も地面も水がなくてカラカラだったから、すぐに地面に吸い込まれちゃったよ 》

水と光の妖精の順序が逆だったら、どれだけの人たちが感電してただろう。・・・全員が感電したと考えたら、何割の人が感電死してたのだろう。

《 私はね。眠ったら『イヤな夢』を見るようにしたの。今のままなら滅ぶって危機感が必要だと思ったから 》

《 私は、アイツらの関係者全員と王族の髪の毛を焼き払って来た。・・・本当は女の人の髪の毛は焼かないようにしようかと思ったけど 》

《 泣いてる侍女の髪の毛を掴んで廊下を歩いているの見たら許せなくなったんだよね 》

《 うん。「許してください」って泣いてる人に「泣けば許されると思ってるのか」って。「適当な理由をつけて皆殺しにしてもいいんだぞ」って、笑いながら窓から突き落とそうとしてたの 》

「・・・なに?そのクズ」

《 でしょ?それがね。今度の休みにエミリアの作った商品を買いに行くらしいってウワサを聞いて、嫉妬から「死んだら買えないわよねー」って笑って言ってたんだよ 》

《それにね。その話って作り話ウソだったんだよ。『嫌いな奴を自分で手を下さずに消すため』だったの。それも「これはウワサなんですけど」って言って『虚偽罪』がつかないように小細工してた 》

《 そうそう。だから女でも許すのやめたんだ 》

《 ウソき女の髪の毛も『丸焼き』して来たよ!・・・本当ホントは、二度と話せないように喉を焼きたかったけど、エミリアと『傷付けない』って約束したから 》

この時の王都からの報告を守備隊から受けた時に『傷付けない』という約束をしておいて良かったと思いました。

ちゃんと傷付けていないそうですよ。ですが、城の中にあった『国宝やその他のものすべて』は砂になったのか何も残っていないそうです。貴族院の戸籍簿など、大事なものは残っていたようです。
でも不思議ですね~。あの騒動の後、『見覚えのない素材』や解体待ちの宝石がついた悪趣味な装備品が増えたようなんです。書物も覚えがないものばかりで・・・。
気のせいでしょうね。当時は謝罪で色々貰ったから、覚えていないだけでしょう。

ちなみに「悪夢を見ているそうですよ」と聞かされた時に「滅多に怒らない子を怒らせちゃったからねえ」って答えた。どうやら、遠回しに「悪夢を止めて欲しいと言われたが?」と言われて「止める気はないよ」と答えたことになっています。
そのため、今でも毎晩『イヤな夢』を見ているらしい。

《 誰も反省してエミリアに「ごめんなさい」って言いに来ないもん。だから許さないもん 》

暗の妖精は、こういう所はガンコです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

聖女らしくないと言われ続けたので、国を出ようと思います

菜花
ファンタジー
 ある日、スラムに近い孤児院で育ったメリッサは自分が聖女だと知らされる。喜んで王宮に行ったものの、平民出身の聖女は珍しく、また聖女の力が顕現するのも異常に遅れ、メリッサは偽者だという疑惑が蔓延する。しばらくして聖女の力が顕現して周囲も認めてくれたが……。メリッサの心にはわだかまりが残ることになった。カクヨムにも投稿中。

【短編】追放された聖女は王都でちゃっかり暮らしてる「新聖女が王子の子を身ごもった?」結界を守るために元聖女たちが立ち上がる

みねバイヤーン
恋愛
「ジョセフィーヌ、聖なる力を失い、新聖女コレットの力を奪おうとした罪で、そなたを辺境の修道院に追放いたす」謁見の間にルーカス第三王子の声が朗々と響き渡る。 「異議あり!」ジョセフィーヌは間髪を入れず意義を唱え、証言を述べる。 「証言一、とある元聖女マデリーン。殿下は十代の聖女しか興味がない。証言二、とある元聖女ノエミ。殿下は背が高く、ほっそりしてるのに出るとこ出てるのが好き。証言三、とある元聖女オードリー。殿下は、手は出さない、見てるだけ」 「ええーい、やめーい。不敬罪で追放」 追放された元聖女ジョセフィーヌはさっさと王都に戻って、魚屋で働いてる。そんな中、聖女コレットがルーカス殿下の子を身ごもったという噂が。王国の結界を守るため、元聖女たちは立ち上がった。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~

白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。 王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。 彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。 #表紙絵は、もふ様に描いていただきました。 #エブリスタにて連載しました。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。