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第六章
第142話
しおりを挟む先々月にもダンジョン都市で『大騒動』が起き、王都が災害に遭い、王家が災厄に襲われた。
「わざわざ撮りに来たのに!」
盗撮する連中にはそう主張する連中がいる。そして必ず誰もが口を揃えていう。
「悪いと思うならスライムを何方か寄越せ!」
「悪いと思わない。呼んでもないのに来られて迷惑。逆に迷惑料を払え」
結界の張られている家に突撃して、逆に取り押さえられた男たちが守備隊の詰め所で大暴れしたことがある。
その中のひとりが殴りかかって来たけど、あっさり反撃を受けました。私が身につけている指輪が出した『炎の壁』に。・・・幻覚魔法と思ったのか。男は止まらずに突っ込み、服と髪を一瞬で全焼させて仰向けで気絶した。私にお股を大きく広げた状態で。
残念ながら私は「イヤーン」と言って赤くならなかった。『あるべきものが、そこにはなかった』から。
すぐに暗の妖精が、男を180度反転させて『仲間たちにご開帳』を見せていた。
《 エミリア。ぼくの言葉を伝えて 》
「うん。地の妖精が説明してくれるって」
私の言葉に『去勢された男』の股間に集中していた視線が私に向いた。
《 その男が去勢されたのは三年前 》
「女好きのその男が『お股をチョン切って、女に生まれ変わって男好きに路線変更した』のは三年前」
私の言葉に吹き出す守備隊の隊員数名。私が『妖精の言葉に色々脚色して話している』のに気付いています。逆にそのことに気付いていない仲間たちは、さらに青褪めて顔を引き攣らせて数歩下がりました。
《 『貴族は何をしても許される』と思ったそこにいるバカどもは、外周部に住む5歳の少女を攫い・・・って。エミリア。どうしたの? 》
「それって・・・あの全員?」
《 そうよ。連中全員が貴族で『男好きに路線変更済み』だよ。まあ、『ナニをしたか』は分かると思うから。それで騒ぎになって家に逃げ帰ったけど、もちろん通報されていて、捕まってチョンッ! 》
「えっと・・・。その連中全員は貴族で、『貴族は神だ』って考えのバカだから、外周部に住む5歳の女の子を攫って『ナニか』して、バレて逃げ帰ったんだって。でもその時に捕まってチョンッ!されたって」
「あれは俺たちのせいじゃない!『外周部にいるのはすべて娼婦や男娼だ』って聞いてやって来たんだ!」
「でも気付かれて逃げた。それは『罪を犯した事実』を知っていたから。そうじゃなければ、その時点でそう言い逃れしていたはずでしょ?」
そう言ったら、悔しそうに睨んできた。
「それに『貴族排除』された店に入れるはずがないじゃない。さらに私の家と店には『犯罪者お断り』がつけられ・・・。ねえ。この人たち。貴族と犯罪者、何方で弾かれたんだと思う?」
《 『性格の悪さ』でしょ。だって、この場に置かれている時点で犯罪者なのに、理解出来ないで睨みつけてるもん 》
《 『頭の悪さ』よ。だって、自分たちが何をしでかして此処にいるのかも、此処が何処かも分かっていないんだもん 》
《 でも『シツケ』の問題じゃない?だって『人を襲ってはいけません』って、人間では常識でしょう? 》
《 ・・・当たり前すぎたから、誰も教えなかったのかな? 》
《 それは親の問題よね 》
《 でも、周りも悪いわよね。間違いを注意しないんだもの 》
《 注意出来ないんじゃない?アレを見れば親の程度も分かるでしょう? 》
《 それって、王都の仕組みが悪いってことよね 》
《 貴族を自由にしてて管理の出来ていない無能な王族もいらないわよね 》
妖精たちが正論を吐いています。内容が過激になっているのが心配です。
「ちょっとみんな。落ち着いて。冷静になって、ね?」
「エミリア。妖精たちは何と?」
「結界に弾かれた理由を『性格の悪さと頭の悪さ』だって。此処が何処で、何故此処にいるのかが理解出来ていないって。それで私に殴りかかったりって。『何を考えているのか分からない』って言ってて・・・。原因が親たちじゃないかって話してる」
それだけで守備隊は理解した。
「コイツらの失態が王都の未来を決める」と。
それでも楽観視しているのは、このダンジョン都市には大きな影響はないと分かっているからだった。
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