私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

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第五章

第122話

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シシィさんが指摘した砦は問題なかったのですが、近くの村は3ヶ所すべてが『雪の中』に埋もれていました。調査の結果、魔石が外部から破壊されていたのです。

「状況からオークではない。屍食鬼の可能性が高い」

たぶん、砦の結界は『砦の中』で騎士団しか入れないため無事だったのでしょう。

「『人に化けた』から雪の中で活動出来たんですね」

「まさかそんな方法があったなんてね」

フィシスさんが頭を抱えています。

「エアちゃん。気になっている情報はまだ情報収集中なの」

「騎士団が動いていてね。足手まといの貴族たちが一緒だと混乱するだけだから」

私が気になったのは『他に屍食鬼の被害はないのか』と、『砦など魔物の監視をしている施設が狙われたのではないか』という点です。後者の場合、思い当たるのは・・・。

「魔物の襲撃スタンピードが起きる可能性がある」

「それも春になったらすぐに」

「魔物は同一種ではないですね。屍食鬼だけなら、すでに・・・隊長。王都の魔石は大丈夫なんですか?」

「それならすでに確認したわ。壊れていなかったけど、いくつかの魔石が魔力切れを起こす直前だったわ」

皆さんも同じ考えを持っているようです。

「魔力切れを起こしかけた魔石って・・・」

「それは『何処にあるか』はエアちゃん相手でも教えられないわよ」

「・・・えっと。それは『重要事項』だと思うんで聞く気はないです。ただ、その魔石が『一ヶ所に集中してるのか?』と聞きたかっただけで」

「一ヶ所だけ?」

「魔石に負荷が掛かっているから、魔力切れに近い事が起きたのではないですか?『一点集中』させていれば、其処だけ魔力を使い続けますよね?その分、魔力切れしやすくなります。予定より早く魔力が切れても分かるものですか?『ひと月に一回確認してる』とか。『週に一回、魔力の減り方を確認して記録してる』とか」

私の言葉に、フィシスさんが「ちょっと確認するわ!」と言って離れ、結界石を置いて連絡つうわし始めました。

「あれは騎士団庁に直接聞いてるわね」

「「あー。フィシス おどってるー」」

アワアワと慌てているフィシスさんは、結界の外から見ると確かに踊っているように見えます。フィシスさんのダンスは3分ほど続いていました。

「騎士団庁で調べてみるって。ただ、魔力切れを起こしかけていたのは二ヶ所。そして・・・その二ヶ所の周辺では魔物が目撃されていたわ」

「・・・その下には『魔物を引き寄せる魔導具』がある可能性がありますね。城壁内外の何方どちらでしょう。外にあったら気付かれて回収されますよね。魔導具を探す方法があるのでしょうか?その場合、『魔物よけ』の魔導具と一緒にした方が見つかりにくいですよね」

「ちょちょちょちょ、ちょっと待って!」

「フィシス。ちょっと落ち着け」

厳しい表情のエリーさんになだめられたフィシスさんが「落ち着ける訳ないでしょー!」とさらに興奮状態になっています。

「フィシス。どうどう」

「何時からフィシスさんは馬になったんだろう」

「以前からです」

最初もとからです」

エリーさんの『馬扱い』に苦笑していたら、フィシスさんの元隊員さんたちは真面目な顔でそう返事してくれました。
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