私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

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第四章

第87話

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こっそり隠れて王都周辺のダンジョンへ潜りに行くため、すでに「日帰りにしてください」と言われています。ちゃんと食堂で『ダンジョンに入って食材をって来る』と宣言していたのを皆さんも覚えていました。

「止めて聞く子じゃないのは分かっているけどね。ルーフォートでは虫の襲撃スタンピードでダンジョンどころかテントからも出られなかったし。王都に戻ったら、女漁りのバカ一行が彷徨うろついてたせいで一人歩きも出来なかったし。最近になって、やっと権利だパーティの申請だって騒動も下火になったからね」

「それでは今は『日帰り』でお願いします。そろそろセイマールに向けて出発することになりそうですよ」

先日、エリーさんとキッカさんが城に呼び出されたのは、「国王に直接、交渉決裂を突きつけてください」とのことでした。

『ろくに交渉をしてもらえず、王太子は退行症状で回復の見込みもない。これも全部、交渉を放棄した交渉相手が悪い!国宝の無償返還と慰謝料として国の半分を明け渡せ!じゃないと宣戦布告と見做みなす』

驚いたことに、セイマール国王がそんな内容の書簡を送りつけて抗議して来たそうです。そのため「叩き潰して来ていい」と許可が出たそうです。
ちなみにエリーさんは、交渉が決裂した際に城で正式な手続きを済ませていたそうです。国交が絡むような問題が起きるからです。

「私はダンジョンのこともあるから王都に残ることになりそうだわ」

「私もお留守番・・・」

「出来るわけないでしょう」

「エアさん。途中の町や村で買い物が出来ますよ」

「買い物・・・」

「行きに寄れなくても帰りはゆっくり帰れます。通る町や村に全部寄りましょう」

「セイマールにあるサボテン。果肉は食べられるかなー?」

「エアさん。サボテンは表面がトゲに覆われています。それを食べてみようとする人は今までいませんでしたよ」

サボテンの果肉は飲み物やデザートに入れると美味しいんですけどね。実際に見て試してみましょう。

「国境を渡るでしょう?護衛でキッカたちを同行させるけど、何があるか分からないからエアちゃんは『結界の指輪』を着けていて」

「結界を張ると同時に、『悪い人』限定で感電するように作り直しているのですが・・・。敵味方関係なく感電させるのは簡単なんだけど。味方には感電しない指輪を着けて貰えばいいでしょうか」

私の言葉にキッカさんが苦笑しました。エリーさんは顔が引きっています。

私の指輪を購入した女性が暴漢に襲われました。暴漢は結界に弾かれた時に自分の持っていたナイフを自分の顔の中心に突き刺してしまい、失禁と脱糞して白目で気絶した状態で発見されました。目撃者がいたため、女性に有利な証言がたくさん集まったそうです。
そして、女性たちが『結界の指輪』を求めて職人ギルドポンタくんのところへ殺到したそうです。結界石はともかく、素材に使う『きんのゆびわ』がないと作れません。金の産出量も少なく、きんのゆびわも少ないのです。魔物のドロップアイテムには金塊があるのですが、いまは冒険者も少なく流通も減っています。
ちなみに金貨を使ってきんのゆびわにすることは出来ません。金貨自体に『加工不可』の魔法が掛けられているからです。元々『偽造防止』のためにつけられた魔法のようです。
私には『専用の宝箱』があるため、『きんのゆびわ』を取り出し放題でしょう。・・・すでにきんのゆびわを500個出してもらいました。その後で希少だと知ったため、外部に出していませんが。
さらにいうと『きんのゆびわ』でなくても結界シリーズは作れます。ただ、最初に作ったのが金だっただけです。

女性のことがあって、結界を張るだけではダメかな?と思ったのですが、エリーさんは『結界を張るだけで十分』だと思っているようです。ただ結界の持続を5分までに伸ばせないか、と。そして途中で結界の解除が出来るようにならないか、とのことです。

何とか努力してみましょう。
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