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後編
言葉にできないだろう
しおりを挟む彼には妹がいた。
男性の間を飛び交う『夜の蝶』として、その手の男たちに有名だった。
彼女は罪の子と呼ばれ、その身を罰を受けるために捧げた。
農民の娘が、街にあこがれ、顔が良かったがために喫茶店に採用され……
その妻子持ちの店主と身体を重ねて、店主の妻子を追い出した。
店のオーナーが貴族なのはよくあること。
平民では営業権や立地などでトラブルが起きるからだ。
オーナーが貴族の場合、爵位の関係もあり出店時点で問題は解決している。
そんなことも知らなかった彼女は……不貞行為と喫茶店の乗っ取りで訴えられた。
店主は彼女に罪をなすりつけたが、採用を決めたのが店主夫妻であり、「不貞行為は一人ではできぬ」とオーナーに言葉で切り捨てられ、彼の身内の誰かに文字通り斬り捨てられた姿で路上で見つかった。
妹の慰謝料は当時まだ存命だった父が捻出して支払った。
当時は水呑百姓、慰謝料の捻出など通常では無理だっただろう。
それに手を差し伸べてくれたのが領主だった。
勤勉な父親の姿を見てきたからこそ、慰謝料を立て替えてくれたのだ。
その借金は妹が背負うこととなった。
妹は身を売り、それを返済にあてた。
当時、避妊薬は流通していたが堕胎薬はなかった。
男たちの性の捌け口となり続けた彼女は、妊娠しても相手が誰か分からず。
苦しんで生まれた子を闇ルートで高く売った。
闇ルートで売られた子の末路など、言葉にできないだろう。
運が良ければ貴族の子に。
もしくは薬剤の実験体で、投与されては副作用を確認される。
亡くなれば、遺体を分解して骨などはすり潰して素材に、内臓や筋肉は薬剤の実験に使われる。
しかし、ほとんどの場合は如何わしい宗教の生贄だ。
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