1 / 8
前編
愛情の違いよね
しおりを挟む私の婚約者様は、学園に入学してからオツムのネジがピンッピンッととんでいったようだ。
そして今では、同じようにオツムのネジと下半身の蝶番が壊れた女性たちを侍らせて、同じく下半身の蝶番が壊れた股間を開いて両膝に一人ずつ座らせている。
「ソファーに座って、人間ソファーになって女生徒を座らせて……。ねえ、あの足って痺れないのかしら?」
「ちょっとまって。指摘するのはそこ⁉︎」
「え? 気にならない?」
「たしかに……気になるけど」
「それよりあれは如何なものかと」
私がこの事実を知っても動かないから、婚約者も図にのっている。
そんな私に、待ちに待っていたものが届いた。
「マチルダ・アールス様、お手紙が届いております」
「ありがとう」
手紙を受け取り、チップとして鉄貨を一枚メッセンジャーに渡す。
メッセンジャーは奨学生、もしくは一般の生徒が学生課で小遣い稼ぎとして働いている。
ただし、成績が落ちれば一発でクビだ。
「ありがとうございます」
メッセンジャーはそう言って勢いよく頭を下げると、次の届け先へと早足で離れていった。
差出人は、私の実家と婚約者の実家。
同じ内容の手紙を送ったが、なんて判断したかが楽しみだ。
まず最初に、婚約者の実家から届いた返事を開く。
『浮気程度でグダグダいうな! 結婚したらお前は奴隷同様にこき使ってやるから覚えてろ!』
「あら、まあまあ。私を奴隷に使うんですって」
「「「…………はああ?」」」
「ちょっと待ってね。実家からの返事を読むから」
便箋一枚に脅しと実家への金の無心をしてきた婚約者の実家とは違い、厚さがあるため封筒にマチができてテーブルに立っている私の実家からの手紙。
「相変わらずね、あなたの実家からの手紙」
「愛情の違いよね」
親友たちが、立てた状態で手前から数枚ずつまとめられた便箋を読んでいく。
すべて読み終わり、数枚残してあとは封筒に戻す。
「ちょっと行ってくるわ」
「そのまま帰る?」
「そのつもり」
「じゃあ、この手紙は預かるわ」
「よろしく」
すでに決定が下されたこの報告を、嬌声を上げる女性に気を良くしている元婚約者にお知らせしましょう。
1,159
お気に入りに追加
552
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
全部、支払っていただきますわ
あくの
恋愛
第三王子エルネストに婚約破棄を宣言された伯爵令嬢リタ。王家から衆人環視の中での婚約破棄宣言や一方的な断罪に対して相応の慰謝料が払われた。
一息ついたリタは第三王子と共に自分を断罪した男爵令嬢ロミーにも慰謝料を請求する…
※設定ゆるふわです。雰囲気です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
過去に戻った筈の王
基本二度寝
恋愛
王太子は後悔した。
婚約者に婚約破棄を突きつけ、子爵令嬢と結ばれた。
しかし、甘い恋人の時間は終わる。
子爵令嬢は妃という重圧に耐えられなかった。
彼女だったなら、こうはならなかった。
婚約者と結婚し、子爵令嬢を側妃にしていれば。
後悔の日々だった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
初対面の婚約者に『ブス』と言われた令嬢です。
甘寧
恋愛
「お前は抱けるブスだな」
「はぁぁぁぁ!!??」
親の決めた婚約者と初めての顔合わせで第一声で言われた言葉。
そうですかそうですか、私は抱けるブスなんですね……
って!!こんな奴が婚約者なんて冗談じゃない!!
お父様!!こいつと結婚しろと言うならば私は家を出ます!!
え?結納金貰っちゃった?
それじゃあ、仕方ありません。あちらから婚約を破棄したいと言わせましょう。
※4時間ほどで書き上げたものなので、頭空っぽにして読んでください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
なにをおっしゃいますやら
基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。
エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。
微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。
エブリシアは苦笑した。
今日までなのだから。
今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
契約破棄された聖女は帰りますけど
基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」
「…かしこまりました」
王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。
では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。
「…何故理由を聞かない」
※短編(勢い)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる