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しおりを挟む祝福の鐘が鳴る。
あれから5年、フェリアの卒業式の翌日にこの国では2つの結婚式が開かれていた。
主神殿で開かれた結婚式の主役はソルバイト子爵の三男とフェリア。
セリーナの婚約者だったルドルフの弟は『召喚獣のお世話役』に就任したフェリアを娶った。
ルドルフの弟の名はエルドノーズ。
10歳から史上最年少の召喚師という肩書きを持ち子爵位をも賜っていた。
そんな彼の肩書きは2年前から『王国専属召喚師』だ。
「あのとき、フェリアの希望を聞いていてよかった」
フェリアは『召喚獣のお世話役』を受けるにあたって、ひとつの約束を取り付けた。
「形だけでもいいです。ノーズ先輩、私の婚約者になって私への縁談話から守ってください」
「私でいいのか?」
「召喚師とお世話役が一対でいた方が、私利私欲で寄ってくる連中からお互いを守れます。少なくとも、私の争奪戦はすでに始まっているんですよね。あの両親のことです。私の配偶者という地位を高く売ろうとするでしょう」
フェリアの言葉に一考したノーズだったが、すでにフェリアはサンドビエッター家と縁を切って王家に保護されている。
それは王家から適当な相手を見繕って王命という形でフェリアを束縛する鎖になりかねない。
フェリアの持つ『心の光』を曇らせる結果にもなる。
フェリアを守られるのは召喚師であるノーズ以外に適任者はいない。
ノーズは私利私欲で寄ってくる大人たちから身を守るため女性の姿になっていた。
学園側も理解していたため、王族用の寮に住まわせていた。
そして事情を知るフェリアが特別に使用が認められたのだ。
互いの意思を確認すると、ノーズとフェリアは貴族院へ向かい婚約届を提出した。
翌日に王城から呼び出された二人は、自分たちの立場が悪用されるのを恐れての婚約であること。
そして、王命による婚姻は世話役の心を闇に落とし、召喚獣たちに悪影響を与えるとも告げた。
「それは王家を侮辱することだ!」
「不敬罪に問うぞ!」
「今すぐ婚約を白紙撤回しろ!」
「フェリア嬢には王子の誰かをあてがってやる」
彼らの暴言はそれまでだった。
小さな召喚獣たちが同行していたが、彼らもまたエバンス同様『何もできない』と高を括っていた。
そしてサクッと椅子ごとバックドロップ。
意識を刈り取られたのは男女の貴族だけでなく国王陛下も含められていた。
キュポッと油性ペンのフタを取って楽しいお絵かき。
今度は顔以外……ボディーペインティングを楽しんでから魔力を流して固定した。
今回の期間は20年。
誰もが既婚者な上、すでに成人した後継者もいる。
フェリアたちは知らなかったが、一部は『コウロベッガー家の夜宴』の参加者だった。
数週間後、顔にペインティングを施されたエバンスを見て自身たちが奴隷落ちまでいかなかったことに深く感謝し、二度と召喚獣の機嫌を損ねないよう家族に言い聞かせた。
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