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第5話
しおりを挟む数刻後、各自の親たちから叱られたノーマット殿下たちは、元婚約者の邸へやってきていた……らしい。
再度婚約を結ぶため、というのが理由だった。
しかし、私たち5人はすでに愛しい人たちと共に国外へと渡っていた。
御前会議の場で私たちは王命で結ばれた婚約が白紙に戻された。
その場で本来の婚約者と再婚約し、私が代表してノーマット殿下たちに御前会議の決定を報告した。
そして両親と国王陛下の御前で婚姻届にサイン。
その足で国外へ新婚旅行。
そのまま見聞を広めることを理由に国外に滞在。
三ヶ月という長くも短い、それでいて濃密な経験と成果を手に戻ってきた。
「フフフ」
夫となった愛しい人に凭れて、思わず笑みがこぼれる。
「いい結果が得られましたね」
「ええ」
申し合わせたように、私たち5組は共に成功した外交を手土産に帰国した。
それによって、私たちの女当主となるための下地はできた。
実績があれば反対される要素は減る。
当人がいない間に心ないウワサを広めた貴族たちもいる。
「婚約破棄された傷物令嬢」
「国内に居られないため国外へ逃げた」
そんな彼らは全員、貴族の立場を剥奪された。
当然だろう、三ヶ月で外交を取りまとめた実績がある、自分たちより爵位が上の次期当主を侮辱したのだ。
縁座で家族が咎められなかっただけでもマシだと思ってほしい。
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