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71.
しおりを挟む3階で降りたが、まだ受付はシャッターが閉じていた。
そのため、先にレンタル用品の申請にいくことにした。
「…………どこにいく気だ?」
「どこってレンタル用品の申請に決まってるでしょ」
「ここは3階」
申請は2階。
エスカレーターで降りずに通り過ぎようとした母。
お得意の方向音痴炸裂させていた。
すでに申請書は書いてあるから、あとはさっき聞いたことを母が伝えるだけ。
私は横に置いてある銀行のATMに用事があった。
ヒマだから記帳でもするか、と考えていたら、男性が近寄ってきた。
別に急ぐことでもないので、離れた場所で母の手続きを見ていた。
数分で男性が終わったため、ATMの方を見たら男性が持っていた傘が残ってた。
「おじさん、傘を忘れてる」
そう言った私の声で立ち止まった男性。
まず、左腕を上げて見て、次いで右腕を上げる。
それから振り向いた男性にATMを指差すと「ああ、ありがとう」と言いながら慌てて取りにいった。
持っていってあげることはできない。
感染してる可能性はゼロではないのだから。
感染させる可能性はゼロではないのだから。
それから、通帳を開いて記帳。
…………どれだけ記帳してなかったんだっけ?
近い銀行は統廃合で消えるため今後は不便になる。
区役所の隣という立地を手放す理由がわからない。
ATMはこの病院と車でいく距離のスーパー。
ここは通帳繰越ができるから入院中にもう一度記帳しよう、と考えるほどページがめくられる音が続いていた。
音を聞いていた母が、そろそろ開いたであろう受付へ検体を提出しに向かってくれた。
「終わったら水槽の前にいて」
総合受付には熱帯魚が入った水槽がある。
そこで合流する約束をして母と一旦別れた。
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