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13.
しおりを挟む……さすが、祖父を殺そうとした病院だ。
そう、私はこの病院を一切信用していない。
するはずがない。
「死ななかったから問題ないよなあ」
祖父を殺しかけた研修医3人( 男2人・女1人 )にそう笑いながら言われた。
「死ななかったから許されると思うな。死んでたら間違いなく貴様らを殺している。これからも何かあればお前らの生命はないと思え」
低く、近くの祖父の個室に聞こえないように注意しながら声を小さめにしたら、静かな怒りを含んだドスのきいた声になった。
その声は研修医たちにとって恐怖だったのだろう。
ヘラヘラ笑っていた顔は青ざめて、脂汗まで浮かべていた。
「生命を軽く見やがって。それで医者だ? 殺人専門科? 死ぬまで何人笑いながら殺すんだ? クズ野郎。お前らの方が生きる資格ないんだよ。おじいちゃんに何かあったら……どうなるか覚えてろよ、人殺し」
それだけ言って帰った。
コイツらは、最後まで謝罪しなかった。もちろん病院側も。もみ消そうとして失敗したことも謝罪していない。
もみ消しに失敗したのは、見舞客に『その状況』を見られて、祖父に「( 母に )連絡してくれ」と言われた見舞客が医者たちの制止を振り切って病室から飛び出して母に電話をしてくれたから。
見舞客が来なければ、殺していたんだ。あの研修医たちは。
ついでにもうひとつ。
この病院は、祖父のガンに何年も前から気付いていた。しかし『科がちがう』との理由から見逃されてきた。
この時、追いかけてきて祖父のガンを教えてくれたのが研修医の男性。
「医師は『科がちがう』との理由で伝える必要はないと言われるんですが」
そう言って、自分が咎められるのを承知で伝えてくれた。
研修医の勇気と逆に、医師のクズさ加減が現在の病院の評価を下げまくっている原因だ。
そして、今回の看護師たちによる態度。
信用するに値しない。
それが私の意見。
母はそれを認めている。否定も肯定もしていない。
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