9 / 120
8.
しおりを挟む受付を済ませて一時間後……
消化器内科に移動して受付を済ませてさらに一時間後。
やっと診察室から呼ばれた。
その間に看護師からの問診と体温測定があった。バイタルは腕を通すだけの機械があり、測定後に紙が吐き出されたものを渡した。体温は36度8分。今朝まであった37度の熱はどこ消えた?
触診とエコーを受けてから、血液検査とCTスキャンへ。
最初は同じ階にある血液検査から。の前にトイレへ。
トイレの個室は荷物置き場はなく、小さな百均で購入したネジ込み式のフックがひとつ刺さっているだけ。
『これの耐久って3キロなかったはず。不親切だな』
耐久性は使用していれば落ちていく。
『耐久3キロ』というのは、壁に正しくつけられた未使用の場合だ。そして、そのフックに帽子などの1キロにも満たない荷物を掛けられた場合と、毎回2キロ3キロと重いものを掛けられた場合。さらに、つけられた場所がガッシリした壁と、緊急時に蹴り破れるように作られたトイレの扉。そして一番重要な、『荷物を支えるネジの長さ』。
ひと目見て分かったとおり、これは百均で見たことがあるインテリア用品。ネジの長さは短い。
……そう、インテリア用なのだ。荷物をそれもカバンなど重いものを掛けるためのものではない。
病院への評価はさらにマイナス下降……
10
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる