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第十章
第236話
しおりを挟む「お二人は何故スゥたちが振り回すんだと思いますか?」
部屋に入ろうとしたジョシュアたちは、隣の部屋を借りているロンドベルに質問された。
「何故って・・・『揶揄われている』としか」
「夜はどうです?
よく眠れていますか?」
「よくというか・・・『疲れて寝る』という方が近いかと思うけど」
ロンドベルが何を聞きたいのかが分からない2人は、困惑した表情で顔を見合わせる。
「お二人は『何も考えずに悩まずにぐっすり眠れている』のですね」
ロンドベルの言葉に2人は驚く。
『自分たちはこのまま優しさに甘えてていいのか』
『弟がしたことを償うために一緒にいた方が良いのではないか?』
『自分たちは弱すぎる。
このまま一緒にいたら足手まといじゃないか?』
2人は毎日そんなことを悩み、夜もよく眠れていなかった。
それが、ここ最近スゥたちに振り回されるため、夜もベッドに入るとそのまま何も考えられずに眠っている。
「・・・私たちが疲れて、何も考えずに眠れるように?」
「貴女たちは『いろいろ』と抱えています。
ですが、今は気にするのを止めませんか?」
ロンドベルを含めて、自分たちのことを知っている人たち。
それでも偏見なく受け入れてもらって、こうやって心配して気遣ってくれる。
「少しずつ『慣れて』いけばいいと思いますよ。
まあ、クヨクヨ悩んでもいい考えは出ません。
だったら『悩むだけムダ』です・・・と、私もハンドくんに叱られたクチなんで。
大きなことは言えません」
ロンドベルの言葉に2人はクスッと笑った。
「私たちは『ツバサ』のメンバーです。
ですから、受け入れてくれた仲間を信じてもいいのかも知れません」
ロンドベルの言葉にジョシュアは頷いた。
「そうですね。
私たちは『仲間』ですから・・・
これがダンジョンやフィールドだったら、悩んで眠れず迷惑をかけたら生命を落とす可能性が高くなります。
特に私たち姉妹は一番弱いのですから。
足を引っ張らないようにします」
「たぶん、悩んだらハンドくんやヒナルク様に相談するといいですよ。
私も軍師として間違っていたことを指摘されました。
今でもお二人の『作戦会議』に参加させて頂きますが『目から鱗』状態です。
スゥたちが『作戦には全面的に信頼をおいている』と言っていた理由が分かりました」
「そんなに・・・いえ。
実戦で何度も的確な指示を出しているわ」
「だから、ヒナルクさんの動きにムダはない。
・・・ダメだな。
ヒナルクさんはムダな動きがないから強いのね」
2人は改めて『実力不足』を痛感していた。
「それも相談してみるといいですよ」
「ええ。明日にでも相談してみます」
翌日、話を聞いたさくらたちは、ダンジョンに入る前にフィールドで模擬戦をすることにした。
「私は別に・・・」
そう断ったロンドベルだったが、「問答無用!」とスゥに襲われた。
そして、サクッと負けたのだった。
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