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第八章

第136話

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町に寄生している冒険者たちの半数が役に立たず、ダンジョンに入る冒険者もほとんどいない。
そのため、シーナたちは魔獣狩りだけでレベルが簡単に上がっていく。
そして、一日の終わりに『反省会』をしている。
野宿でも、その反省会は続けるらしい。
さくらだけは、『二重結界』に守られて早々に眠っている。
獣人の体力を甘く見てはいけない。
不眠不休で食事まで抜いて鍛錬をし続けたら、彼女たちでも3日は余裕でもつ。
大人の獣人なら余裕で10日。
セルヴァンみたいに『武人』なら、20日はもつらしい。

セルヴァンは執務を50日続けたと、ヨルクが教えてくれたことがある。
『体力バカだから』と余計なことを言って、直後にセルヴァンの鉄拳が落ちたけど。
ドリトスから「さくら。今のヨルクは『口は禍の門』と言って、マネをしてはいけない事じゃよ」と教えられた。
直後にヨルクからは「さくら!セルヴァンの暴力もマネしたらダメなことだぞ!」と言われたが、〖 ヨルクが余計なことを言わなければ良いだけです! 〗とハンドくんからハリセンを受けていた。

そんなシーナたちにあわせていると、私の体力がもたない。
ダンジョンでも、ついて歩くだけでも正直しんどい。
『神の館』で体力は回復したけど、ここ最近、連日8万歩は超えている。
まあ、疲れて眠くなったらハンドくんが『しゃぼん玉』を出してくれるから、その中で眠るけどね。
ヨルクが知ったら『緊張感なさすぎだって!』と指摘されそうだけど、ダンジョン攻略の一番の目的は『3人の実践訓練』だから。
それにハンドくんの話だと、体力の少なすぎる私が一緒について回る事で『やる気』が出て、眠る私を守る事で『庇護欲を掻き立てる』そうだ。
もちろん、本当に私を守るのはハンドくんたちだけど、スゥは私を守りつつ戦っている。
シーナやルーナが倒しそこねた魔獣にトドメを刺しているのだ。
それでだろうか。
この町ユリティアを出る今朝の時点で、シーナがレベル21。ルーナはレベル18。そしてスゥのレベルは35だった。
確かに魔獣にトドメを刺せば、獲得経験値は全体の三割が貰える。
それでもルーナの2倍近く差が開いている。

『危険察知と気配察知を完全にマスターしたからでしょう。
そのため、さくらが寝ている時もさくらに敵意を持つ魔獣に向かって行っています。
おかげで、最近は私たちもハリセン片手に警戒する必要が減りました』

そろそろ、スゥには『苦無くない』を使ってもらう?

『苦無はドリトスに渡してあります。
鍛冶の高度技術を持つドリトスに、現時点で可能な限りのランクアップを頼んでいます。
スゥが上手く使いこなして熟練度が上がれば、最高位の苦無になるそうです』

この世界の武器は『成長型』なんだね。

『はい。どんなに弱い武器でも、使いこなせば成長します』

ハンドくんが持ってる『鋼鉄のハリセン』って、最初にザーニがくれた時は『鋼のハリセン』だったよね?
ってことは、練習してランクアップしたの?

『ドリトスとセルヴァンの協力で、様々な魔法を纏わせて戦えるように練習しました。
その上で、ドリトスが武器の強化とランクアップをしてくれました。
ここ数日で、私の武器は『白金プラチナのハリセン』になりました。
攻撃力は2,500です』

つよっ!

真鍮オリハルコンあたりになれば、攻撃力は5,000を超えますね。
日緋色金ヒヒイロカネだと8,500。
アダマンタイトになると、ダイアモンドと同じ硬さですが、ダイアモンドと違って衝撃に強いため、12,000を超えます。
それも、強化を最大まで上げると攻撃力は更に上がります』

ハンドくんが『無敵』になってる!

『何を今さら。
さくらの鵡鳳も、現時点で攻撃力は1,680ですよ』

え?前に見た時は攻撃力300・・・

『それはザーニに貰った時でしょう?
その後『打ち合い』を繰り返しましたし、先日のダンジョンで実戦しましたからね。
ドリトスに強化を頼めば、3,500を超えますよ』

・・・此処の魔獣たちって。

『通常はHP300前後。
ボスは上限1,000でしょうか。
中規模ダンジョンでは、さらに強いでしょうね』

今度帰ってきた時は、どれだけレベルアップしてるんだろう。
ただ、スゥはレベルアップが早いから、獲得経験値が少なくて伸び悩むかもね。

『逆にルーナが心配ですね。
スゥに置いていかれているのですから。
これ以上離されたら、ルーナは焦り、無茶をするでしょう』

年下スゥに抜かれたシーナも、無茶をするだろうね。

『スゥの場合、コツコツと努力した結果です。
最近は寝る時も危険察知を使っています。
その分、眠りが浅くなるので、気付いたら解除させています。
まだ子供なので、成長を阻害させてしまう結果になります』

誰かを正しく導くには、色々と大変なようです。
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