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序章
第3話
しおりを挟むこのマンションは、私以外の人はおらず私の部屋以外の荷物も消滅した。
空いた部屋の鍵を開けてもらう事は可能。
すべての部屋の電気とガス、水道を使えるようにしてもらえるか確認したらこれも出来るとのこと。
テレビは元の世界の番組を観ることが出来るそうだ。
BSやCSなどの有料番組を視聴出来るようにもしてもらえるらしい。
各部屋にテレビと録画機器をセットして録画しまくろう!
そして私は本格的な交渉を始めた。
「今まで通りネットが使えるようにして欲しい」
驚かれたが拒否はされなかった。
今まで遊んでいたネットのゲームが遊べなくなるのは嫌だったから。
そして一番の理由は、ネットショッピングやネットスーパーで買い物をしたい。
元の世界並の技術を持っていない世界は不便でしかない。
今まで通りの食事をしたい。
日本人は味噌汁とおにぎりよ!
デザートも食べたいし作りたい。
コンビニデザートは買って食べるものよ。
ジュースもお酒も飲みたいし。
よくラノベで「無いなら似た材料を使って自分で作る」ってあるけど、そんなのムリムリ!
飽食時代の庶民が、職人技の味噌や醤油作りの知識なんか持ってないわよ。
それに失敗して材料を無駄にするより、買えるなら買った方が良いじゃん!
何より生活用品が調っているとは思えない。
電化用品があるとも思えない。
そう訴えたら「分かりました。では『メニュー』が使えるように致しましょう」と言われた。
言われた通りに「メニュー」と思っただけで、目の前にゲーム画面でよく見るメニュー画面が現れた。
『ステータス』『アイテムボックス』など表示された中に『通販』もある。
扉の絵が右上に小さくある。
「この扉の絵は?」と尋ねたら階段前の防火扉と繋がっているそうだ。
どこにいてもこのマンションに戻りたくなれば、扉の絵をタップすれば目の前に鉄扉が現れて帰ることが出来るらしい。
「向こうの人や乙女は?」と聞いたら、この鉄扉は私以外は通れないそうだ。
でも鉄扉自体は見えるらしいので使うときは注意が必要。
でも鉄扉を閉めたら消えるらしい。
そしてアリステイドへ戻る時はマンションの防火扉を開けるだけだそうだ。
船などの移動中に使えないのではと聞いたら、防火扉を開ける時に「戻りたい場所か、もしくは誰かの場所へ戻りたい」と思い浮かべるだけで良いらしい。
なんとも便利な『どこでもドア』だ。
そして『通販』をタップしたら、元の世界で見たショッピングサイトやネットスーパーが写真付きで現れた。
購入にはアリステイドのお金でチャージする必要があるらしい。
ネットに繋がってるから当たり前のように入力画面もあり、検索可能で個人商店の直売にも対応しているらしい。
メニュー画面は何とも便利なもんだ。
「ところで私のスマホやタブレットって、アッチの世界で使える?」
そう聞いたら持って行っても良いけど、出来れば元の世界の機器はアイテムボックスに入れてほしい。
あれはアリステイドには存在しないものだから、とのこと。
防水や充電を気にしたが、アリスティアラが言うには、元の世界の機器はアイテムボックスに入れればアリステイドで使えるようになるらしい。
防水や防塵で壊れないようになる。
故障したり調子が悪くなった時も、アイテムボックスに入れたら回復出来るそうだ。
充電もアイテムボックスに入れるだけで完了するそうだ。
「故障が直るって事は機器が新品同様に戻るということ?」と聞いたらそれに近い状態らしい。
「詳しいことは話せませんが」と恐縮されたが、私は便利なら問題ない。
「マップをアッチの地理で使えるようにして。あと言葉や文字とか違うだろうから、翻訳機能などのツールもアッチの世界用に機能追加して」
アリスティアラの話だと、言葉は通じるがやはり文字は違うらしい。
でも識字率が低く、文字が読めなくても問題はないらしい。
でも読めないと困るからね。
『異世界で迷子』なんてイヤよね。
そりゃあ私には困った時には『どこでもドア』があるけどね。
これはメニュー画面に新しく『翻訳』が表示された。
タップすると目の前に透明なガラスみたいなものが現れた。
そのまま上や下を見ると目の前のガラスも一緒に動く。
今は何もない部屋で目の前は何も変わらないが、この状態でアリステイドの文字を見ると日本語に変換されるらしい。
そしてアリステイドでもスマホのゲームは遊べるそうだが、個人を特定出来るSNSは投稿できないらしい。
まあ「死んでるハズの人間」が投稿してちゃダメよね。
「じゃあ別のアカウントを作ればいいわね」と言ったら苦笑されたが止められなかった。
「ところで『アイテムボックス』ってどう使うの?」
メニュー画面を開いて『アイテムボックス』をツンツンと突っついてみる。
グレーの画面が現れて、中央にはゲームのように「何も入っていません」という表示。
まだ何も入れていないから当然といえば当然なのだが。
「『アイテムボックス』を使うには、まずバッグを登録します。バッグ自体はどのような物でも構いません」
リュックでもトートバッグでもウエストポーチでも巾着でも構わないらしく、登録も制限なく出来るらしい。
登録方法も、『設定』から簡単に登録が出来るようだ。
メニュー画面にある『カメラ』『目覚まし時計』『アラーム』『スケジュール』『カレンダー』『メモ帳』等様々な表示の中に『設定』があった。
『設定』の中に『チャージ』『音量』『接続』等スマホでよく見る設定画面の中に『登録』を見つけ、開いてみると『アイテムボックス登録』があった。
「バッグに触れた状態で画面をタップして頂くだけで登録出来ます」
よし。あとで家にあるバッグを全部登録しておこう。
そして一つだけ残して全部アイテムボックスに入れておけば、壊れたバッグも愛用し過ぎて傷んだバッグも『新品同様』になる・・・
「あれ?履き古した靴やコート等も、『アイテムボックス』に入れたら元のようになる?クリーニングに出していた服や『せんべい布団』でも?」
私の言葉に目の前のべっぴんさんは目を丸くして固まってたがクスクスと笑い出した。
「大丈夫ですよ。酷く汚れていたり千切れたりボロボロになった物でも新品同様に戻ります」
状態によっては数日かかるらしいが、大抵の物は3時間待てば使えるようになるようだ。
「じゃあ、食べ物を入れたら?」
ご飯がお米に、鳥の唐揚げがニワトリに戻ったりする?
「通販で買った冷凍のたこ焼きが生きたタコに戻ってクネクネと~」と言いながら両手を広げて身体をクネクネさせたら大いにウケた。
答えは「食品用のボックスが別にあります」だった。
こちらは暖かいものはそのまま暖かく、冷たいものは冷たいままで保存が可能。
また、温度と時間を設定する事で『煮込み料理を作って保存』も可能。
そして便利なことに食品ボックスには時間設定出来る『レンジ』付き。
「チーンって鳴る?」って聞いたら鳴らないらしい。
その代わり、勝手にメニュー画面が開いて『お知らせ』してくれるそうだ。
流石に周りに「チーン」って聞こえたら大変だもんね。
散々話を脱線しつつ『アイテムボックスの使い方講習』に戻った。と言っても単純だった。
バッグに手を触れたまま、反対の手でアイテムボックスに入れる対象物に触るだけ。
取り出すときは、片方の手のひらを前に出した状態で、メニューの『アイテムボックス』から対象物の名前をタップするだけ。
それだけで目の前に現れるらしい。
そして収納数に制限も上限もないそうだ。
また、元の世界に残してきた私の愛車は、少し時間がかかるがこちらへ持ち込んで貰えることになった。
向こうの世界にはガソリンがないので、魔石で動くようにしてくれるらしい。
ついでにパンクや整備が不要になるようにもしてくれるらしい。
もちろんアイテムボックスが車庫になる。
「さっきも説明に出てきたけど『魔石』ってなに?」と聞いたら魔力を持った石とのこと。
いや、それは読んで字の如くだが。
簡単に言えば『乾電池みたいなもの』だそうだ。
魔石によってランクがあり、ランクが低いほど魔力が少ないらしい。
そして魔力が尽きればただの石。
魔力の充填は出来ない。
その中でも乙女が作り出す魔石は純度が高く、1年は魔力が切れない。
その分、高値で取り引きされているらしい。
私が作った魔石も高値で取り引きされるそうだが、日本円で換算すると一つ500万円を下らないらしい。
元手がタダなんだから稼ぎまくりよね。
これで通販やネットショッピングで、空き部屋に家電揃えまくりだわ~。
自活するのに便利だと思ったら『乙女の館』があり、歴代の乙女たちはそこで生活していたらしい。
「私『乙女』じゃないじゃん」と言ったら、エルハイゼン国の神官に私を乙女と同等に接するよう『神託』を送るらしい。
それって公私混同じゃないか?
そしてメニュー画面に『問い合わせ』を作ってもらった。
というのも、アリスティアラに直接なにか聞きたい、知りたいって時は、わざわざマンションまで戻らないといけないらしい。
アリスティアラを含めた『神様』は、アリステイドの人々に姿を見せることが出来ない。
神官でも見えるかどうか分からない。
声は一部の神気の高い神官にだけ聞こえるらしい。
それなのに普通に会って話をしていては、神官連中にいいように使われてしまう。
神殿に行かない神官も出てくるだろう。
逆に神官という立場が軽視される可能性すらある。
そのため、『チャット』でやり取りをする事になった。
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