愚かな貴族を飼う国なら滅びて当然《完結》

アーエル

文字の大きさ
上 下
3 / 10

第3話

しおりを挟む

翌日から妹を引き取る準備を始めました。
それとは別に、役人がきて庭に埋められたフランソワの遺体を見つけて連れて行きました。
箱の中に入れられた義弟は腐敗がすすんでいたそうで、私は身内であっても廃籍されているという理由から対面を許されませんでした。

元両親の部屋は空になっています。
義弟が殺された部屋げんばということで家財も含めてすべて運び出されたのです。
そして、義弟だけでなく妹の部屋は何もかも破棄されていました。
すべてを売り払っても、没落は免れなかったのです。


「みんなにも迷惑かけたわね」

私が再雇用した使用人たちに労いの言葉をかけると、執事が首を左右に振りました。

「お嬢様、私たちのためにこの家に戻ってくださりありがとうございます」
「いいえ。フランソワもバカなことをしたもんだわ。自分の立場を弁えていれば殺されずにすんだものを」

フランソワが母の不貞により生まれた子だというのは事実です。
ですが、もっと大事な事実から彼は目を背けていたのです。

「フランソワは自分がだってことを忘れていたのかしら?」
「いえ、フランソワ様は」
「ああ、フランソワは呼び捨てでいいわ」
「はい、あのフランソワは父親はマーガレット様のだと信じ込んでいたのです。あの日も周囲にとって不貞でも自分は子爵家の実子だと思っていたのです。そのためマーガレット様が廃嫡されたため、次期当主は自分だと思われていました」
「次期当主はフランソワでもカトレイヤでもないわ。あの子は母の親友の遺児だもの」

そのことは知っているはずです。
それなのに愚かしいことにカトレイヤを犯し、それを堂々と元両親に自慢したのです。

「フランソワは自分が次期当主ではないと知って、今度はカトレイヤが次期当主だと思い込んで既成事実を作ったんですって? カトレイヤ曰く、行為直後に全裸で両親の前まで連れて行かされたって言ってたわ」
「はい、そのときカトレイヤ様の婚約者様がおいでになっておりました。そのような場に既成事実の証拠として全裸のカトレイヤ様を皆様に……」

それがきっかけでカトレイヤの精神は壊れました。
壊れたカトレイヤをフランソワは『妊娠させたら次期当主は俺だ!』と信じ、腐った元両親もフランソワの行為を笑っていたそうです。
狂った家族のせいで、可哀想なカトレイヤは人生も精神もメチャクチャにされたのです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

結婚式をボイコットした王女

椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。 しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。 ※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※ 1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。 1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)

皆さん、覚悟してくださいね?

柚木ゆず
恋愛
 わたしをイジメて、泣く姿を愉しんでいた皆さんへ。  さきほど偶然前世の記憶が蘇り、何もできずに怯えているわたしは居なくなったんですよ。  ……覚悟してね? これから『あたし』がたっぷり、お礼をさせてもらうから。  ※体調不良の影響でお返事ができないため、日曜日ごろ(24日ごろ)まで感想欄を閉じております。

【完結】ご安心を、問題ありません。

るるらら
恋愛
婚約破棄されてしまった。 はい、何も問題ありません。 ------------ 公爵家の娘さんと王子様の話。 オマケ以降は旦那さんとの話。

家族に裏切られて辺境で幸せを掴む?

しゃーりん
恋愛
婚約者を妹に取られる。 そんな小説みたいなことが本当に起こった。 婚約者が姉から妹に代わるだけ?しかし私はそれを許さず、慰謝料を請求した。 婚約破棄と共に跡継ぎでもなくなったから。 仕事だけをさせようと思っていた父に失望し、伯父のいる辺境に行くことにする。 これからは辺境で仕事に生きよう。そう決めて王都を旅立った。 辺境で新たな出会いがあり、付き合い始めたけど?というお話です。

【完結】あなたを忘れたい

やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。 そんな時、不幸が訪れる。 ■□■ 【毎日更新】毎日8時と18時更新です。 【完結保証】最終話まで書き終えています。 最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)

冤罪を受けたため、隣国へ亡命します

しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」 呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。 「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」 突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。 友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。 冤罪を晴らすため、奮闘していく。 同名主人公にて様々な話を書いています。 立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。 サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。 変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。 ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます! 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

助けた青年は私から全てを奪った隣国の王族でした

Karamimi
恋愛
15歳のフローラは、ドミスティナ王国で平和に暮らしていた。そんなフローラは元公爵令嬢。 約9年半前、フェザー公爵に嵌められ国家反逆罪で家族ともども捕まったフローラ。 必死に無実を訴えるフローラの父親だったが、国王はフローラの父親の言葉を一切聞き入れず、両親と兄を処刑。フローラと2歳年上の姉は、国外追放になった。身一つで放り出された幼い姉妹。特に体の弱かった姉は、寒さと飢えに耐えられず命を落とす。 そんな中1人生き残ったフローラは、運よく近くに住む女性の助けを受け、何とか平民として生活していた。 そんなある日、大けがを負った青年を森の中で見つけたフローラ。家に連れて帰りすぐに医者に診せたおかげで、青年は一命を取り留めたのだが… 「どうして俺を助けた!俺はあの場で死にたかったのに!」 そうフローラを怒鳴りつける青年。そんな青年にフローラは 「あなた様がどんな辛い目に合ったのかは分かりません。でも、せっかく助かったこの命、無駄にしてはいけません!」 そう伝え、大けがをしている青年を献身的に看護するのだった。一緒に生活する中で、いつしか2人の間に、恋心が芽生え始めるのだが… 甘く切ない異世界ラブストーリーです。

ここへ何をしに来たの?

恋愛
フェルマ王立学園での卒業記念パーティ。 「クリストフ・グランジュ様!」 凛とした声が響き渡り……。 ※小説になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しています。

処理中です...